月曜モカ子の私的モチーフvol.262「インボイスのこと。インボイスより恐ろしい敵」
ダラダラ引っ張りたくないので結論からいく。
インボイスのこと。本当の敵。
インボイスより恐ろしい敵。それは「分断」である。
インボイスのこと。先日税理士さんのところへ装幀家の松本さんも一緒に、インボイスの講習を受けにいった。わたしが前世神主と呼んでいるその先生の事務所では友人など連れて行ったりすることに別途お金は取られない。その人が今後も税理士を雇うつもりがなく単に「教えてほしい」という理由であっても嫌な顔一つせず、むしろ困ったことがあれば担当のさくらさんにいつでも電話してくださいね、そんな感じ。
先生がそれをしているのは単なるお人好しなだけでなく日本経済全体を見ているからだ。元銀行員の彼は金融の仕組みを理解し尽くした上で選択を顧客の判断に委ねる。同時に「正しい理解」は「正しい選択」につながり、それは最終的に経済の活性につながるのだと言った。だから契約に繋がりそうな人だから教える契約しなさそうだから教えないまたはお金取る、
は目先の判断すぎると言った。
実際先生のその行動が経済にどう影響しているかはわからないけど少なくとも先生はそう言う考えを一貫して貫いておられる。
そしてわたしもこの日、インボイスのこと消費税の仕組みを、ちょっとした博士(の助手)になれるくらいには詳しくなって、総合的に考えると、今はこれしかベターな政策はないのだろうという結論に至った。
けれどもこれ、経済的にこれがどうかということは正直わたし達の生活、ライフ、人生そのものにはソフトキリング(もしくはソフトヘルプ)的な影響であり目先のことでいうと、わたしの人生の目の前にはこれまでいい関係を保ってきた友人や知人である取引先との「分断」という信じられないくらいに恐ろしい課題が迫っている。敵はすぐそこまできている。
そしてその「敵」が「敵」でなくなるためにわたしが切実に訴えたいことは、個人事業主、フリーランスの人たちこそ本当にお願いだから全力で一生懸命インボイスの仕組みを勉強してほしい、それである。
「インボイス」という制度そのものを仮想敵にどうかしないでほしい。
その仮想敵をよく調べもせず「国」とか「制度」とか「税金」という大きなものを憎み、迎合しないし!と怒ったり『しょうもなすぎて勉強する気もない』という「知識の放棄」の方向へ行かないでほしい。
あなた(誰か知らんけど今そう思っている人)がそうしている間にその「知識の放棄」が大切な誰かとの縁を切らせ、分断を生んでゆく。
なぜなら↑あなたが仮想敵にしている「富裕層」「税金を横取りしている悪い奴ら」こそこの仕組みのことを隅々まで理解している。
仮想敵でなくとも、オリンピックの談合やらなんか電通とか、悪いことしてるでかい企業は税金や補助金の仕組みを隅々まで理解している。
わたしのように「みんな困ってるし」と支払いを現金にして経費からはねられたりするようなことを、奴らはしないのだ。
そしてそんな奴らが上手に脱税をしていくのに、こっち丸腰で「インボイスするの? へえ”そっち派”なんだ」と友人と揉めてる場合かよ。
店をやるまでも役者志望、ホステス、小説家、と、ずっとフリーランスだったので、その場所ではほとんど同じ人たちが同じ方向を向いて税金のことを話していた。つまり税金をいかに払わずして生きていくかということである。払わずしてというか悪巧みしてるんでなく区民税とかも払えないレベルの生活状態の時とかあるから分割にして、とか(区民税は分割できるんだよ、知ってた!?いま↑例のエルピス事案でお店に現金全然なくなっちゃったから、わたしも区民税は分割で払うことにした)、この報酬は法的には計上しなくても問題ないのかなとか、とにかくみんな所得を減らし税金を少なくしようとしていた。
そんな状況だから顧問税理士など雇っている人などほとんどいなくて、なんとなくみんな聞いた話で「こうらしい」「ああらしい」を交換しあって自分で申告をしてきた。けれどそれらは全部低所得と無学、また社会というものへの敵対心による「漠然とした情報」で本質的ではなかった。
社会というものへの敵対心が生まれるのは仕方なくて、ちゃんと所得があっても住むところを借りるとか一つとっても困難で「自分は社会の機能に組み込まれてその富を受ける時はつまはじきになるのに、税金だけはとられるんだ」という気持ちになった。
(実際、作家として一番稼いでいるとき、月収は平均すると40万くらいあったが、作家は安定職じゃないという理由で家賃11万の賃貸も借りれなかったんだ!→その後実際に、家賃が払えない事態になりその不動産の判断は正しかった)
その頃そこには低所得者のフリーランスしかいないので、
世の中には信じられないほどの税金を払っている人たちがたくさんいて、自分たちの収めている税金など本当に零細なものであることには気づかない。し、相対的に零細であってもこちとらそれさえも払えないほど困窮しているので「安いなわたしの税金」という感覚にはとてもなれない。
きっかけはいくつかあって、一つ目は「持続化給付金」の時に、幾人かの知り合いが「後からくる税金が怖いので申請してない」と言ったこと。
それはもう「所得を減らして税金を少なく」の全体からその感覚だけが残ってしまい、生活に困窮し仕事が全部キャンセルになっているのに税金が怖くて国からお金貰うのが怖いってなってること。これを読んでいる高所得者の方(じゃあそれほど困窮してなかったんだね)って思わないで違うんだ。
漠然とした怖さから手元に数万もないのにそういうことをしているんだ。
持続化給付金もらっても全部使わないで置いておくだけで税金は払えるのに……
同じ要領でコロナ特例貸付も「借金は・・・」と言ってやらなかった人が多かった。でお金にまだ余裕がある人たちーー知り合いの弁護士さんとか事業やっている人たちーーの方が早めに準備して「とりあえず借りておく」ということをしていた。
わたしはいま毎月税理士さんにお金を払ってお店をやっている。
お店をやっている人たちの中にも「えーもったいないね自分でできるよ」って言う人もいっぱいいるし、ここはもう個人の考えなので各々の選択だけども、わたしは無知ゆえに「受けられる社会保障が受けられない」とか無知ゆえに「払い忘れていた税金がドドドドとくる」とかの方が税理士さんに払う月々の支出よりも怖い、という考えのタイプである。
先生は装幀家の松本さんには「やれそうなら税理士さんをつけなくてもいいと思います」とはっきり言っていた。
同時に世間でよく言われるような「有能な会計ソフトが流行っていて税理士という職業がなくなるのではないか」
という質問(わたしがした)には「それはない」と言い切っていた。
「あれね、結構酷いモノもたくさんあって、僕とかちょっと見たりしたけど怖いなあと思うよ。これ、絶対追徴課税来るなあと思う感じの設定になっていたり、計算がね、そもそも間違っているモノもあって、あれが僕たちの仕事を奪うってことはまず考えられないね」
人はどうしても自身の立場から国や制度を見る。
なので所得が低い人たち(自身のことでもある)は税金が増えると「弱いものイジメだ」と言う。そして「金持ちからとれ」と言う。
でも実際、国は年々、金持ちから多くとってる。
(詳細割愛しますが自身もいつか相続する世界で1つしかない美しい絵画のため、ここにサクッと書けないほど膨大な税金を払っていくことになります、最近話題の家の終活とかもそうだよね。思い出があるから手放したくない、でも相続税は払えない)
消費税そのものも、消費した分に掛かっていくから高い買い物をできる人にこそ掛かっていく。イーディのお客さん、最高級AI博士のワサビ、りさこ先生、若社長江古田氏。彼らはおそらく我々(低所得者)層が聞いたらもう目の玉がどっかへ飛んでくような金額の税金を払っている。
「だけどね、たくさん稼いでるんだから仕方ないじゃない」
ってみんな言うの。
先週の土曜、りさこは言った。
「稼いでるけど、それは寝る間もなくたくさん毎日働いているの」
りさこの所得だと家族の未来の介護にかかるお金も莫大(ほとんどが実費になるらしい)それらを考えると子どもを産むのも不安。これが本人言う所の”中途半端な”高所得者の悩み。
自粛のとき、スペイン人のワサビは言った。
「僕が払っている莫大な税金で飲食店は店閉めて金もらって、中にはそれで飲み歩いているやつとかいるよ。そんな僕には選挙権も永住権もない。一旦国外に出たら帰って来れないからコロナが心配だけど親にも会えない」
たくさんの人がりさこに「お金持ちなんだから」「先生だもの」「お稼ぎなんだし」って言う姿や、りさこから奢ってもらうお酒のことも、
「あなたの役割」みたいな、
なんて言うのかな「お金持ちが経済回しなさいよ」って感じに言うの、
この目でみてきた。
で、そういう人こそ「国が何もしてくれない」とか「完全な弱者になって国に保護して貰いたい」と言う。
でもじゃあ、あなたは納めてないんだからさ、
そのあなたの手元にきた持続化給付金はさ、誰の払った税金だと思うの。
「杉田さん、納税は最大の社会貢献ですから」
去年の誕生日に、智子はわたしに言った。
その言葉に至極考えさせられ、ユニセフとか募金とか「目に見えて自分が善人に思えること」よりもただきちんと納税していこう、そう思った。
(節税は、します!!!)
そうなんだな。もう今時代は、わたしが小学校の頃みたいに、
だいたいな同じような生活水準で暮らして、だいたいの家にはお父さんとお母さんがいて、だいたいのお家にお姉ちゃんかお兄ちゃんか弟か妹がいる、
そういう状況じゃないんだ。
貧富の差が開き、
りさこやワサビや江古田氏に掛かる税金は増え、
低所得層の収益が減りインフレが進み卵とかが信じられない価格を叩き出すいま、低所得者は納税すらも困難である。でもその敵は「互い」じゃない。
敵はその制度を利用して大きな脱税をしている「本当の悪い奴ら」である。
そしてそういう奴らから「的確に徴収」するためには今インボイスが必要なのだという側面がある(ご意見色々あると思いますゆえ”側面”とさせてください)。
そしてわたしたち弱者は(誰かわからない、社会的弱者と思う人すべて)、
弱者が持ち得る一番大きな砦、自身を守る盾こそが「知識」と「叡智」なのである。自分が弱者で社会のつまはじきにされていると思う人こそインボイスを絶対に勉強してほしい。
その知識がなければ、知識があって悪い奴に買い叩かれてしまうし、
買い叩いているわけじゃない取引を「悪いようにされた」と思ってしまう。
そこで大切な人との分断が生まれる。
インボイス制度そのものよりも恐ろしいのは無知による分断だ。
心からそう思う。
今自分はインボイスを理解している。なので話し相手がインボイスを理解している人となら何の問題もないことがわかる。
もし揉めてしまう相手がいるとしたらそれは不理解な相手だ。
インボイスを頭ごなしに仮想敵にして学ぶ気もない相手だ。
先日ある人がインボイスのことを
「みんなでやらないって決めたらいいんですよ」と言っていた。
インボイスは職種によって選択肢が変わってくるので彼はそうできるのかもしれない。けれどわたしは無理だと思った。わたしは自分を反グローバリストと言ってるしワクチン打ってないし、プーチンを極悪人に仕立てたウクライナ侵攻の黒幕はビクトリアヌーランドおよびアメリカだと思っている。
けれどそれは個人の思想であって、相手にもそうなってもらう必要はない。
けれどインボイスはそうはいかない。
わたしが反グローバリストでも、お客さんには直接迷惑がかからないが、
わたしがインボイスをしないと、領収書で飲んだりするお客様は実費になってしまうか、経費ではイーディに来れなくなってしまう。
「みんなでやるのやめません?」
は、わたしにはとても言えないなと思った。同時に気軽にそういうことを言えちゃう人を、自己中心的な人だなと思ってしまった。
(そしてダメだダメだ、これは分断という仮想敵にわたしが侵略されている・・・と思い直した)
インボイスは基本的にはこれまで曖昧だったブラックボックスから消費税をあぶり出し納税させる仕組みです。そしてそういう意味ではこれまで免税事業者だった人にはこれまでと何かが変わる仕組みなわけではなくて(益税の問題ありますが向こう3年の措置など考えると開業したばかりの人にもそこ前影響はないでしょう)、同時にイーディなどには”見直す点”が出てくると同時にあぶり出される消費税が今後出てくる。そしてその零細な消費税が、今の末端運営に厳しいのは事実。
同時にそれらで国にとって大きな税収となるのはやはり大きな企業からのブラックボックス解体分ではないのかなと思います。
その過程において契約が解除されてしまう免税事業者が出てきて、ここは問題、問題というかまさにわたしが直面している一番心痛している問題です。
知り合いの食べ物屋さん飲み屋さん、それこそ神楽坂ボスのお店から近所の和食下駄寅兄さんのところまで、関わりがある人全部に「今年からインボイスをする予定があるか」を聞かなくちゃいけないし、
「免税事業者でいく」と言われた場合に、今後そこに伺う機会が減ることをどう告げたら良いかも難しい。相手が免税事業者でも向こう3年は8割還付があるとはいえ、その2割も年間で考えたら結構大きなお金じゃないか、
気にしないと言えるほどイーディは儲かってないしむしろ赤字なのである。
ともかくインボイスの導入に伴い一番苦しいことは親しい人たちとの摩擦。
なるべく摩擦をなくしたい。そのためには理解しててほしい、この仕組みと制度のこと。そしてインボイスの制度全体への意見は皆自由に持っていたらいい。大切なのはその互いの選択を尊重しながらも今後もいいお付き合いが大切な人たちとの間で、してゆけること。
今後、思想の分断を余儀なくされるような国策が防衛費増税や改憲含めたくさん出てくるように思う。けれど今一度立ち止まって、それによって分断されることこそが「誰か本当に悪いやつら」の思うつぼだと考え、丁寧に情報を集め冷静に対応して行きたい。アンガーマネージメントは引き続き今年も、重要な目標の一つになりそうです。
月モカvol.262「インボイスのこと。インボイスより恐ろしい敵」
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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。
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