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心の葛藤

小さい頃から私はお父さん子だ。

これ父が好きやな、これ父喜ぶかなと、常に頭に父を思う気持ちがあって、毎月のようにお取り寄せとか、珍しい季節の物を送っていました。

実家に帰る理由は大好きな父に会いたいから。毎度、博多のお土産を両手に抱えきれないくらい持って帰ります。


高速バスを降りると、いつも父が迎えに来ていて、私を見つけると笑って「ヨ!」と、手をあげる。

「おとぉ〜!早かったね!」
「おぅ^ ^」

「おとぉ、これいつものめんたいこ、これ!人気の回転饅頭!おとぉ好きやろ?並んで買ったんよ!で、これが、、」
「おぅ^ ^  博多の方は今日は雨か。」


子供の頃から大好きなおとぉに、たくさん話かけるけど、おとぉは「おぅ」しか言わない。

自分の事は何も話さないから、何を考えてるか分からないと母はいう。

人の心情を読み取れない母には分からない事が、昔から私には通じていて父の心を理解した。

若い頃は遊び人で母を泣かせてばかり、ろくでもない父だったけど、誰よりも純粋で人に騙されてばかり。


親とはぐれた仔犬や捨て犬を拾ってきては、母に怒られ「お前は黙っとけ!俺が面倒みる!」と逆ギレして飼い始め、面倒は一切みない漢w

「おとぉ、この犬飼うん?」
「おぅ^ ^」
「名前は?」
「サブよ。」

北島サブちゃんが大好きな父。サブは人を見ると何もしていないのに、下駄箱の下に隠れてキャンキャン鳴いていた。

「サブさ、誰かにいじめられてたんやろか。」
「おぅ。どっかの親父がのぉ、サブを蹴り倒しよったから、俺が連れて帰るいうたんよ。」

ぱぱ!だから好き!!と、いつも心の中で思っていた。

自由奔放で子供に好かれる父。父が子供のままの人だから、気が合うのだろうなきっと笑。


私が結婚する時、知り合って3ヵ月だし10も下の相手で、周りの人はみな揃って反対や心配をした。

「むらさきが決めた人やから、間違いねぇ。」

と、父だけが味方になってくれた。
実際、父のいう通り、夫は穏やかな人でケンカする事もなく、人生の中でとても貴重で幸せな時を過ごした。


パニックの事は父には直接知らせていない。弟へは発症して1年後、ある程度回復してから伝えた。

去年の夏。まだパニックの事は知らないはずの弟から1枚の写真が送られてきた。

弟の家で犬を抱っこして、満面の笑みで犬のお尻をカメラに向けて差し出しだす無邪気な父の写真。コメントはない。

弟から父の写真が送られてきたのは、人生で初めての事。ああ、パニックの事を知ったんやなと察した。

私が犬の尻フェチだから、おとぉはお尻見せれば私が喜ぶと思ったんやな。

弟に関しては、私が大好きなおとぉの写真を送れば、元気になると思ったんやな。

2人とも何も言わないけれど、私には分かります。心配している事が。

その時以来、私はその写真を見られないでいる。父には寛解して心から元気になった姿で会いたいのだ。

だから、もう少しだけ待っててね。おとぉ
リハビリがんばるからさ

おとぉは、実はあおさぎさんのモデルだったりします🤭

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