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地域から愛される建築を目指して
mocAが目指すところ
「いきいきとした環境づくり」テナントビル編
前回は「いきいきとした環境づくり」住宅の場合について、お話させていただきました。今回は、テナントビルや共同住宅、オフィスビル等、少し住宅よりも公共性のある建物で考えていることをお話させていただきます。
住宅においては、クライアントの希望・要望をフルに表現することが最も大事だと思いますが、少し公共性のある建物をつくるときには、クライアントの要望を織り込むことはもちろんですが、街づくりの観点においても設計者から提案させていただくようにしています。
規模が大きい場合は、公開空地や外構の作り方など、考える点は様々ですが、規模が小さいときはファサードデザインが街とのつながりでもっとも大きい部分なので、今回はファサードデザインに絞ってお話します。
テナントビルの場合において、
「いきいきとした環境づくり」を別の言葉で言い換えると、
・地域から愛される建物
・街の人の記憶に残りやすい建物
・建物利用者の思い出に残りやすい建物
・テナント等の利用者の想いと方向性が合致する建物
・土地に根差す想いが伝わる建物
というワードを日頃から考えています。
必ずしも、建物発注者が直接的に望むものではないものでも、結果的・間接的に望むものになった、となるよう心がけています。
清住白河のテナントビルの事例
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清住白河では、駅から徒歩2分、駅の目の前ということで、「街のシンボルになるような建物を目指す」ことを念頭に置きつつ、澄白河の街を代表して、街の特徴をファサードに表現することで、街とのつながり、街の記憶とのつながり、人の記憶に残りやすいものを目指した提案です。
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何を表現するかどうかは、ビジネスの観点で、発注者側はあまり気にされないケースもありますが、今回は店舗区画があるテナントビルのため、
〇目立つこと ⇒ テナントの入居付けにつながる
〇目立つこと ⇒ テナントへの来訪客の動機付けにつながる+ テナントの継続賃貸につながる
〇建物コンセプトが明確に感じられること
⇒ そのコンセプトに共感するテナントの入居付けの動機につながる
等、きちんと収益にもつながっていくと考えています。
設計側発信の「いきいきとした環境づくり」を目指した提案が、間接的に発注者の一番の目的にもつながるように説明できること、実際にそうなることを狙って提案ができればと思っています。
清住白河の事例では、結果的に、建物のデザインの方向性に共感していただいた方から入居の申込を複数頂くことができ、最終的にはオーナー様側で選ぶような形で話がまとまりました。
豪徳寺のテナントビルの事例
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もうひとつの事例は、豪徳寺のテナントビルです。
豪徳寺は、招き猫発祥の地として有名な場所です。
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井伊直弼が江戸郊外に鷹狩りに出たときの帰り道、弘徳庵の前を通った際に、飼われていた猫に手招きをされたそうです。猫に従い門に入った途端激しい雷鳴と豪雨が立ちこめましたが、井伊直弼は猫のおかげで難を逃れました。猫と弘徳院に感謝した井伊直弼は寺の再建に尽力し、やがて猫が亡くなると、院の和尚は猫を祀ったお堂を造り右手を挙げた猫の姿をかたどった「招福猫児」を作るようになりました。これが不運を避けて福を呼び込む招き猫の由来とされています。
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「いきいきとした環境づくり」を目指して、豪徳寺でもファサードデザインと街のつながりを考えたいと思い、街の歴史とつながるデザインを提案しました。
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豪徳寺のテナントビルも、立地的に、豪徳寺駅からつながる商店街に面しており、商店街エリアがちょうど終わるぐらいの位置だったため、
・とにかく目立たせて
・そこまで足を運んでもらえるように
周囲の建物群から際立つものにしようと意図しています。
結果的には、
1階に入居された歯科さんでは、こちらも街にちなんで招き猫をロゴに取り入れるということまでされていて、街に根付く思いを共有できたのかなと思い、街にもオーナーにも少しでも貢献できたのかな、と思っています。
テナント用途については、入居してもらえるといいなという用途をイメージしながら、デザイン検討をしていました。
・カフェ
・ヘアサロン
・イタリアン等のレストラン
・クリニック(全フロアクリニックでメディカルセンター)
結果的に入居頂いたのは、2階:クレープカフェ、3階:ヘアサロンと、ほぼ当初のイメージ通りのテナントさんから申し込みを頂き、大変ありがたい結果となりました。
これからも、デザインで想いはつながっていく、と信じて提案を続けたいと思います。
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最後まで、お読みいただきありがとうございます。
続編もお楽しみに!
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