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ボーダー柄上級者VSかぼちゃ
ハロウィンの飾りつけが怖可愛いくてこの時期は心がざわつく。
かぼちゃをくり抜くにしてもなんだろう、もうちょっと子供が泣かない程度にできなかったんだろうか。
もうすっかり大人のわたしでも怖いのだ。
と思ってちょっと調べてみるも諸説ありすぎで全く理解が追いつかず、
ただ頭が混乱するだけで終わった。
頭が悪くてジャコランタンが怖い大人、それがわたしです。
でも、あの怖い顔はわざとそうしている、ということだけはわかった。
そうか。わざとそうしているのなら仕方がない。甘んじよう。
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若かりし頃にランチのバイトをしていた飲食店で、ハロウィン近辺の数日間だけ仮装をして接客をしたというレア体験がある。
当日、スタッフ全員が着替え終わって集合してみると、
セーラー服・ナース・女装・謎の美少女戦士・ などなど・・・。
えーとそうやな、これは仮装をはき違えたコスプレやね?
仮装とコスプレを混同していた我々だったが、誰もくちには出さなかった。何故なら楽しかったから。そう、楽しかったのだ!
楽しいは正義だ!
わたしはというと、一目惚れして買った、スリットが爆入りしてる金の刺繡入りの黒のチャイナドレスを着た。
外国人にどえらくモテた。
チャイナガール!ヒュ~~!ピクチャー撮ろうぜトゥギャザー!
と列ができた。
えー(笑)恥ずかしいよ~ と言いつつまんざらでもなかった。
そしてわたしの人生のモテ期はこれが最初で最後だった。
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そういえばずっと前だけど、
ボーダーの服を着ている人は高確率でモテない、
という説が話題になったことありますよね。
うるせーよと言いながら、そんな統計は無視して今もなおボーダーの服を着続けている。便利やねん。ボーダー柄。
ここへ来て先日、自分のコーディネートがついにボーダー上級者に認定
(わたし判断)されました。
何気なく着た黒×白のボーダートップスの首元から、
これまた何気なく着た黒×白ボーダーのタンクトップがチラ見えしていた。
ワンランク上の着こなしですね。
ボーダーって、何気なく着られるお助け服だと思っていたのに。
何気なく着ていいボーダーは一回に1点のみ!
勉強になりました。
でもこの説、なかなかあなどれなくて、
自分史上一番、がむしゃらにボーダーの服ばかり着ていた時期があったのだけど、
そういえばその時はトホホなエピソードが続いた。
飲み会で知り合ったイケメンから後日連絡がきてテンションぶち上がったその数秒後、
送り先間違えましたごめんなさい、と謝罪メールが届いて情緒がどうにかなりそうになったり、
一人飯していたら知らない人からメモ紙渡されて、
よかったら連絡ください・・・と連絡先が書かれてあったので、
興味本位で連絡してみた。
「聞いて!ラブレターもらってん!」とはしゃぐわたしに、
そんなことする奴はちょっとおかしなヤツだからやめておけと忠告されたが、そんなものは全力で無視して後日会う約束したら案の定、怪しげな会に入会させられそうになったり。
おわかりいただけただろうか。これがボーダー上級者の実力である。
そして、持つべきものは的確な判断を提供してくれる友である。
まぁこんなわたしなので、モテたのはチャイナ服を着たあの時ぐらいで
他に特筆すべきモテエピソードなど何ひとつなかったのだが、
ついにこの後、胸キュン事件が勃発したのだ。
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相変わらずボーダーの何かしらを身につけて生活をしていた、全くもってうだつのあがらなかったこの頃だったが、
わたしのちいさな胸をときめかせる出来事が起こった。
仕事中のこと。
とある面識の無い若い男性のお客さんが、わたしの名札とわたしの顔を交互に見ながら、
「〇〇さん、、」
と急に言った。
「え? あ、、はいそうです。 ○○です」
と、思わずわたしも目線を下げ自分の名札を見て、名札をつかんで相手に見せるような動作をした。脳内では志村けんの声で「そうですわたすが〇〇です」と言っていた。
するとその男性が、
「かわいいですね」 とひとこと。
ねぇ待って
なにが?
コンマ数秒の間に「何が?」を何度も連呼した、そうもちろん頭の中でね。
とりあえず、 あ、ありgがとtうごzいぃぃまsssu と、
噛み噛みでお礼は言っておいたものの、その後は全部が上の空。
やばい
かわいいやて・・・
名前がかわいいの?まさか苗字の方?
それとも名札がかわいい?
かわいい名札とかある?別に普通ちゃう?
名札の素材がかわいいとか?素材がかわいいてなんやねん
面と向かってかわいいなんて言われたのは38年ぶりぐらいだったので
咄嗟に「あは☆ そんなことないですよぉ♪ キャピ」 とか言えない。
かわいいとか綺麗とか言われ慣れてる人はきっと、
他人に「かわいいね」 と言われてまず、
何が?とは思ったりしない。
名前か? 名札か? 制服か? と、
自分以外の選択肢が際限なく出てくる、
これがボーダー上級者だ。(ドヤァ
とは言え、
わたしにかわいいと言い放った、初めて会ったその人のことを考えないわけにはいかず・・・
次に「かわいい」と言われた時の状況をシミュレーションしておいた方がいいかな。何回目の「かわいい」でデートに応じるべきかな。カレンダーを常に持ち歩いて「この日空いてます」と先に言うのも面白いかな。いやきもいやろ。
とかなんとか。
正直顔も覚えていないそのお客のことをぼんやり考えていた数日間だった。
が、
それっきり姿もなしw
あれは夢?
うけるw
って全然おもんないし!!
わたしの心をかき乱しておいて、どう責任取ってくれるのよ・・・!
と、それから数日経った頃。
そういえばこの時期だけ名札にジャコランタンのストラップをぶら下げていたのを思い出した。
名札の横から怖可愛い、ちっこいかぼちゃがぶら~んとぶら下がっていた。
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いやかわいいっておまえのことやったんかーい
あれから一度もお話することはなかったので真相は闇の中ですが・・・
デートすることになったら何着ていこうかまで考え始めていた自分が
きもかわいくて愛おしいですね、ここまできたら。
わたしにとってハロウィンの季節はいつも、
かぼちゃスープをすすりながら、このほろ苦珍事件を思い出す仕組みになっている。
めでたしめでたし。
本日もありがとうございます。