食料廃棄を減らすには
以前に大量に食料廃棄が出ているのに、今日食べるものがない人がいることっておかしいよねといったnoteを書きました。
今回は食料廃棄について、最近自分なりに考えていたことを書こうと思います。
自分はまず何よりも、分配面に問題があるのであって、食料廃棄自体にそれほど反対というわけではありません。(分配面の改善無くして、この問題の解決はあり得ません)しかし、相対的に食料廃棄を減らす取り組みは無理のない範囲で進めていくべきだという立場です。
例えば、お米。
極端な例として、お米の廃棄をゼロにしてみようと考えてみます。
ではまず、あなたやあなたの世帯が来年消費するであろう米の量を役所に申告してください。
役所はあなたが申請した来年の米の量を農家さんに報告します。
農家さんはあなたの申請した米の量を生産できるだけの稲を作付けします。
この世界では米の廃棄量をゼロに目標をおいているので、米は自分を担当してくれてる農家さんからのみ購入できるのであって、米はスーパーでも、コンビニでもネットでも買うことができません(というか、申請された分しかつくっていないので、そもそも余分な米は存在しない)
しかし、この年は天候条件が悪く、あなたのために作付けした稲からとれた米はあなたが申請した90%分しか出来ませんでした。
ですので、あなたは一年間を通して、自分が想定した90%の米しか食べることができません。
以上を踏まえて、ここでふたつ質問です。
1.あなたはあなたが来年消費するであろう米の量を正確に把握できますか?
2.あなたはあなたが来年消費するであろう米の量を正確に把握することができたとします。では、その正味の数字を作付け依頼しますか?それとも少し、余裕を持たせた数字を依頼しますか?
ここまで書いて、何が言いたいかというと、
1.自分が消費するであろうすべての農作物、水産物、畜産物の量を把握することは極めて難しい。
2.農作物、水産物、畜産物の生産は様々な影響を受けることがあり、決められた通りに生産できるとは限らない。
3.供給ルートは沢山あるほうが食料を手に入れやすい。
結論。
食料品はある程度余裕をもって生産するべき。(そのある程度の量がどれくらいかを把握、決定することは極めて難しい)
これが自分が食料廃棄自体に反対ではないという主な理由です。
当たり前の話かつ、食料廃棄を減らすとった取り組みは上記のような絶対的なゼロを目指すためのものでもないので、いちいち書く必要もないのですが、まあ、書いてみました。
では、リンク先の農水省の記事にもある年間東京ドーム5個分の食料廃棄のうち、半分以上を占めているスーパーやコンビニ、レストランでの食料廃棄を減らす取り組みを考えてみましょう。
実際に自分の生活圏内にはおよそ2万人弱の人が住んでいて、スーパーマーケットは4店舗あります。コンビニエンスストアはおよそ10店舗、住宅街なので外食は少ないので、数は分かりませんがその他としておきましょう。
つまり、この2万人弱の食料はスーパーマーケット4店舗、コンビニエンスストア10店舗、その他外食によって、供給されていることになります。
ここで、考えなければならないのは、このそれぞれの店舗で食料廃棄はどの程度まで出していいのかということです。そして、それは主に店舗の発注担当者の仕事になるんじゃないかなと思います。(自分が知らないだけで、スーパーには廃棄量を減らすための担当者や部署があったりするのかも知らないけど)
では、この店舗の発注担当者は何に基づいて、発注しているのかというと、
在庫です。
発注量=在庫-売れた在庫です。ここでの在庫は売り場に陳列された商品と倉庫に保管されている商品の両方を合わせたものを指します。
例えば、スーパーの野菜売り場にある大根で考えてみましょう。売り場にある大根が売れたとします。担当者は冷蔵庫に保管してある大根を持ってきて、売り場に並べるはずです。そして、本部、市場、または配送業者などにその日に売れてなくなってしまった分の大根を補充する形で注文をするはずです。(大手スーパーなどではコンピュータによって、在庫管理がされていて、自動的に発注数量が決定されているところもあります)
つまり、廃棄量の裁量権は発注担当者には基本的にないということですね。(というか、食料廃棄自体が非裁量的なんやね)
そして、在庫量=店舗の面積ともいえます。
このことから廃棄を減らすためのひとつの案として、店舗面積を小さくすれば必然的に保管できる在庫量が減り、廃棄は減るのではないかと思います。ただし、スーパーが地域の畑のような役割を果たしているとすると(そして、おそらくそうだろうな)、畑自体を小さくすることになり、最初に書いたお米と同じ理由で、その日食べるための食料にリーチできない人が出てくる可能性はあります。(次の日にはトラックが届けてくれると思うけど、そもそも在庫として蓄積できる絶対量が少なければ、食料にリーチできない人が後を絶たない可能性はある)
つまり、
スーパーに保管できる食料在庫量>そのスーパーを利用する人たちが必要とする食料の量
である必要があります。
もっと言えば、食料を必要とする人たちに安定的に食料を供給するためには、
ベンダーに供給できる食料の量(一次産業の従事者が生産する食料の量+ロス)>スーパーに供給可能な食料の量(ベンダーで生産される完成食料品+ロス+在庫など)>スーパーに保管できる食料在庫量(その日売れた食料+在庫+ロス)>そのスーパーを利用する人たちが必要とする食料の量である必要がある。
発注担当者は在庫管理、つまり、売り場を空にしないために、売れた分と捨ててしまってなくなってしまった分を補充する形で発注をしているのであり、廃棄量には直接的な裁量権はない。(発注担当者は単に廃棄を出したくないから、発注を少なくするといったことは基本的にできない。もちろん、売れていない商品などを仕入れないようにするといったことはできる)そして、その店舗の在庫の総量は、店舗の売り場面積と強い相関関係にあり、地域の住人たちが必要とする食料の量を超える食料を蓄えておく必要がある。スーパーが蓄えておく食料の量と地域の住人たちが必要とする食料の量を均衡状態にすると、必要な食料にリーチできない人が出てくる可能性がある。つまり、地域スーパーの店舗面積の縮小というのも現実的には難しく、リスクがあるということです。
では、廃棄までの時間を長くするといったことで廃棄を減らすというのはどうでしょうか。
食料品というのは、それぞれに賞味期限というものがそれぞれあり、魚や食肉類といった生鮮品や惣菜類は作ってから廃棄するまでの時間が短く、缶詰やレトルト食品などは作ってから廃棄するまでの時間が長い傾向があります。生鮮品類の比重を減らして、消費期限の長い加工品を増やすと廃棄は減るかもしれません。
ほかにも、売れていない商品は取り扱わないといったことも廃棄を減らすうえで重要ですが、これは発注担当者が日々の業務で行っているはずです。
ベンダー、または開発担当者たちも市場のトレンドやニーズにあった商品を作っているはずですから、人気がないために捨てている食料品は自然と減っていくはずです。(それでもゼロになることはないでしょうけど)
そして、貨幣性経済ではこういった食料廃棄を含めて生産された食料がそれを生産した、または販売した人、企業の売り上げになり(小売りで売れ残って廃棄したものは小売りの人たちの利益にはならない)、所得となります。
生産を減らすということは、生産者やベンダーにとっては売り上げが下がるということですから、もしかすると彼らの所得に下降圧力をかけることにもなりかねないですし。
そして、最悪、その会社の末端の従業員の人たちが解雇されるといったことも起こりえます。
そういった、貨幣性経済の特徴をふまえたうえで、みんなが安全に幸せに暮らせる社会を目指すべきですね。
最後に自分たちが日常生活の中でできる取り組みでスーパーの廃棄を減らすことができるかもしれないものはないか考えてみました。
それは消費期限の古い順に買っていくということです。
たとえば、卵や牛乳、食肉類を買う際に古いものを買うということです。
製造業では先入れ先出しといったりするかもしれません。
とにかく、古い材料から使えということです。
製造業ではわりと当たり前のことなのですが、自分が消費者の立場になると、意外と難しいかもしれませんね。
というわけで、今回はここまで。
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