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イルルカ3DS・SPにおける行動順について
兼ねてよりインターネット上に誤った情報が多く存在していることや、正しい情報だとしても散在しているために一覧性に欠けていることから、初学者にとってはどこを見ればよく、何が正しいのかという判断を個では下し難かったはずだ。
そこで、それらの問題を一挙に解決すべく、イルルカ3DS・SPの基礎的な情報のうち、ここでは行動順に関わるものを纏めることとする。
行動順が決定されるタイミング
行動順が決定されるのはラウンド開始前である。
つまり、ラウンド開始前の霧や選択した行動によって予め決定されるため、基本的にラウンドが開始してから行動順が変化するということはない。
素早さによる行動順
その他に行動順を左右する要素を除けば、初学者が最初に突き当たる問題は素早さ(以下、適宜「S」と略記する)による行動順かと思われる。
これに影響を与えている要素は主に2つあると考えられ、
①ポケモンのようにSが1違うだけで行動順が変化するゲームの存在
②オンタコ産などによる過度なS調整が常態化している現状
この2つが大きいと思われる。
しかし、実際のところは①の仕様は本ゲームには存在しない。
(※ただし、Sを極限まで絞ったS1とS2の比較となると話は変わる。)
また、②に関してはSを極限まで絞ったり、種を与えて微調整できることもオンタコ産が用いられる主たる理由だが、オンタコ産が流行った理由の原点はSを絞りつつ他ステータスを自己産よりも高く、通常のLv100個体と同じものを使用したいというところに起因している。
それでは、実際のSのみによる行動順の変化について、まずは以下のグラフを見ていただきたい。
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このグラフにおいて特筆すべきは、
・自分のSが相手のSの2倍であると確定で先制できる
・自分のSが相手のSの1.5倍ほどでも9割超の確率で先制できる
この2点だろう。
また、上記の性質から、素早さの値が小さくなるほど1の数値の差に重みが付くということもわかる。
余談だが、このグラフを数式で表す場合の導出過程については以下の記事を参考のこと。
特性による行動順
通常時・リバース時
特性による行動順の優先順位を通常時(リバースorシャッフル以外時)とリバース時に分けて表にすると以下の通り。
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いずれの場合にもスモールボディが優遇されているというのが見て取れる。
この項については、説明をせずとも直感や経験から理解していただきやすいと思われる。
シャッフル時
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シャッフル時は場の全員の行動順が素早さの値や行動順を変える特性の有無に関わらず、ランダムに決定される。
ただし、スモールボディの特性を持つモンスターのみこの影響を受けずに優先順位1となり、素早さによって行動順が決定される。
また、スモールボディを持つ個体はその他の行動順を変える特性、即ち超行動早いや行動遅いの有無に関わらず行動の優先順位は1となる。
特技毎の行動順
同様に、特技毎の行動順の優先順位を表にすると以下の通り。
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上記表について2点補足を行う。
①優先順位が同じ行動を2体以上のモンスターが行う場合は、各モンスター が持っている特性に応じた優先順位で行動する。また、持っている特性による優先順位も同じ場合は、素早さによって行動順が決定される。
②アストロンの無敵効果、捨て身の被ダメ倍化効果、予測の反射効果は優先順位2の時点から発揮される。つまり、ジバリア系呪文はアストロンと予測を貫通し、捨て身を選択したモンスターへは等倍でダメージが入る。
行動順を理解した上での応用
以上までの内容を理解している前提の下、基礎的な内容からはやや逸脱した内容をいくつか扱うこととする。
リバアンカー
アンカーナックルはリバース以外時に優先順位6で行動し、通常攻撃の1.3倍のダメージを与える斬撃である。
これがリバース時になると、優先順位が2になる代わりに威力が通常攻撃の0.2~0.4倍(疾風突きと同じ)になってしまう。
※ただし、そもそもの性質として疾風突きは武器効果の系統キラー、ダメージ加算、ミラクル、状態異常付与が乗るが、アンカーナックルはそれらが一切適応されないため、全く同じというわけではない。
以上の情報からリバース時にアンカーナックルを選択するのはやや不合理ではないかと思うかもしれないが、ここで肝になってくるのはアンカーナックルが発動する時点での霧である。
結論から言うと、「ラウンド開始前の霧がリバースの状態で、ラウンド開始後の特性が発動し終えた段階で霧がリバース以外になる」ことを期待してアンカーナックルを放つことを一般的に「リバアンカー」と呼ぶ。
これが罷り通ると、ラウンド開始前の霧がリバースであるためにそのラウンドは優先順位2でアンカーナックルを使用できるものの、発動時の霧はリバースではないため、リバース以外時の威力、即ち通常攻撃の1.3倍をそのまま通すことができる。
実戦では、アストロンを妨げるときどき黒い霧と合わせて使用される場合が多い。
リバアンカー自体の流れとしては以下の動画を見ていただければ、文章で論理的に落とし込むよりも直感的にもご理解いただけるかと思われる(が、リバアンカー本来の美しさはあまりない)。
ラゼロ vs パーチェン
優先順位5のラウンドゼロを使用することで、優先順位9のパーティチェンジを使用される前にラウンドを終了してパーチェンの直通を避けるというテクニックである。
また、パーチェンを選択しているラウンドにラゼロでラウンドを終了された場合、次ラウンドからのパーチェンの使用権を失う。
パーチェン vs パーチェン
パーティチェンジは相殺も発生する特技である。
故に基本的にどちらかのパーチェンが通るか、相殺でパーチェンが止まる場合が多い。
しかし、4枠モンスターは相殺が発生しないため、対面の片方、或いは双方が4枠で同時にパーチェンを選択した場合、パーチェンが相殺せずに双方のパーチェンが通るという局面が発生することがある。
この場合、双方ともに交代権を失い、先にパーチェンを使用した方のみパーティが入れ替わる。
チェンジ vs チェイン
チェンジとチェインはともに優先順位7であり、消費MPも36で同値である。
ここで殊更にこの2つを取り上げた理由は、チェンジでチェインを不発にさせるというテクニックが存在するためである。
しかし、一口にチェンジを使うと言っても、MP18のモンスターにチェンジをさせるという限定的な用法である。
チェンジするモンスターは最大MPを18まで絞り、且つ賢者SPなどのスキルで消費MP半分の特性を取得した上でチェンジを消費MP18にして使用し、チェインを不発させるという仕組みだ。
チェインパーティのチェイン役は基本的に消費MP半分の特性を持たないため、これが直通するのである。
ただし、この戦術を実行する上で気を付けなければならないのは、チェンジとチェインの優先順位が同じであるために、特性や素早さに気を遣わなければチェインを使用された後にチェンジを当ててしまうという事態が起きかねないことだ。
嘗て、この戦術は3DSで使用されていた(しかし、その数は決して多くない)が、その際はダークスライムやパペットこぞうのように、亡者で確実に場に残りつつ、スモールボディの特性の優先順位によってチェイン役の上からチェンジを当てるという場合が多かった。
まねまね vs 捨て身
まねまねと捨て身はともに優先順位4の特技である。
よって、これらも特性と素早さによって行動順が決定されるわけだが、まねまねはそれ自体が実行されなければ特技の記憶を開始できないため、まねまねをされる前なら捨て身をいくら打っても後で返されることはない。
しかし、まねまねをされた後に捨て身を打つと、優先順位10できっちりと返されることとなる。
また、まねまねで覚えた特技はアストロンを貫通するため、捨てアスでこれをやってしまうと無傷で捨て身を通すつもりが痛い目に遭うこととなる。
捨て身 vs 斬撃予測
斬撃予測もまねまねと同様に捨て身と優先順位が4で同じ特技である。
ただし、予測系共通のまねまねとの差異は、予測の反射効果は優先順位2の時点から発揮されることにある。
よって、斬撃予測さえ押しておけば、相手に上から捨て身を打たれようが反射できることになる。
また、上から捨て身を打たれる場合、白霧下でもラウンドが開始してから体技予測を実行して不発するまでの間は反射の効果は適応されているため、白霧下で予測を選択するというテクニックも存在する。
捨てアス vs 捨て身
捨て身を打ち合うとき、アストロンの無敵効果がラウンド開始時点から適応されるため、互いに捨て身を打ち合う場合には自分の捨て身だけ相手に通しつつ、相手の捨て身を無効化することができる。
また、捨てアス側がアストロンを実行する前に相手を落としてラウンドが終了した場合、アストロンの使用権を失わない。
ただし、S4で捨てアス vs 捨て身が発生すると相殺になってしまうため、これが実際に発生する場面は主に相手が4枠モンスターの場合となる。
体技予測 vs いては
イルルカSPの所謂”赤庇う”の構築を使用する際に発生する事案で、ラウンド中で2番目以降に実行したモンスター(主にはぐれメタルが使用される)の体技予測は特性のいてつくはどうを反射するが、1番目に実行された体技予測では反射しないというものだ。
特性いてはをはぐメタが被弾すると、前ラウンドに掛けたスクルトやバイメリトが消えることで突破されやすくなってしまうため、赤庇うの使用者はこれを嫌った。
負けず嫌いSPで無駄に被ダメージ倍率を増やすわけにもいかないので、赤カブのはぐメタは一般的に自己産のLv1が使用されたが、一部のプレイヤーは確実に下を取るためにオンタコ産のはぐメタを使用することもあった。
なお、赤庇うの詳細については、以下に示す考案者によるブログを参照のこと。