今が1番ひどいやってお話
人生には波がある.こんな事を最初に言い出したのは一体誰なのだろうか,多くの意味で的を得ていると思うし,結局は個人かどう感じるのかという問題でしかないような気もする.
僕も既に20年余り生きてきて,大なり小なり波があったと思うし,程度の差こそあれいくつかの挫折も味わってきたと思う.人間何の落ち度もなくったって病気になったりするし,交通事故に遭って亡くなってしまう人もいる.結局は運が良いか悪いか,それに尽きるのかもしれないけれど,それで片付けてしまうのはどうも納得がいかない.
だけど今は断言できる.僕の人生,今が最も最悪だ.
結局のところ何をやってもうまくいかないのである.飽きっぽいとかやり方が悪いのかもしれないけれどうまくいっている感覚がないのだから仕方がない.うまくいかない人の多くはうまくいくやり方を取れていないという事も頭では理解している.だけど,上手くいくやり方とはいったい何なのだろうか,AからBへと移動する時にたどり着けないのは,道に迷っているか,思わぬアクシデントがあったからなのか,はたまた目的地を間違えているのか.様々な要因が考えられる.たどり着くにしても色々なルートがあるのかもしれない.特定のルートでたどり着かなければならないルールなんて無い.口ではそういう言いながら果たして実践できているかなんて分からない.どこかに理由があるはずなのにそれが見つからない.
なりたいものがあった,目指したものがあった.切磋琢磨し合うことのできる仲間がいた.失敗を恐れずに立ち向かえる勇気があった.自分でも気づかないうちにそれを失くした.
ゴールのないレースなどできない.いつか終わるから走り続けろ.そんなものはナンセンスなのだ.だけど走る理由を見失ったレーサーに走る資格などない.かつては自分に期待し,それに応えていた自分がいた.だけどいつしかそれができなくなり,過去の話ばかりをするようになった.まるでどこかの年寄りだ.そんな自分がたまらなく情けなくて悔しくて,俺は僕から逃げ出した.
いまが一番ひどいと思うのはそういう経緯があるからだと思う.だが僕も男だ,負けて逃げてばかりでは失うばかりだ.
逃げるのも,失うのも,もう終わりにしたい.僕にだって守りたいものはある.大切な人たちが生きるこの世界を,見守り続けていたい.そう思う.
失うのはもうたくさんだ.ここからは借りを返す時間だ.終わったのならばまた始めればいい.逆境こそが人を育てる.僕は強くなるんだ.全てを変えてもう一度,守りたいものを守れる人に.
だから僕は確認する.忘れないために.いまが最悪だ.