今日気になったニュース 2023/4/24
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この戦争はどこに向かうのか、ロシアは矛を収めるのが先かはたまたウクライナの主張する領土を奪回して停戦を迎えるのか、それとも第三国へ飛び火しなし崩し的に戦火が広がるのか。今のところで確実な事を言える人は誰一人いないと思う。
軍事支援の量が今までの10倍必要なのだという発言は十分に理解できる。ありとあらゆる物事に対して準備が完全に完了していることはないと思うからだ。たいてい準備というものは整う前に物事は動き始める。攻め手は守り手の準備が完了することを待たないし、守り手は攻め手が準備できてしまったら守る手段が足りているのかわからない。状況次第でどちらが攻め手になってもおかしくない状況で優位に立つためには取り得る選択肢の数を最大化する必要があると思う。先手必勝という言葉があるように後手に回っては準備の時間も質も量も不足してしまう。その不利を覆すためには圧倒的な質か圧倒的な量のどちらかが最低限必要だ。
第二次世界大戦が良い例だと思うが、当初質的優位に立っていた枢軸国は連合国の圧倒的な生産力と兵站能力に叩き潰された。圧倒的な量の前に質的優位は次第に削がれ、最終的には質も量も劣るという結果になり日本を含めた枢軸陣営は敗北した。
第二次世界大戦期のような圧倒的な生産力は今の西側諸国には無く、むしろ東側諸国の物だと思われてきた。しかしいざ今回の戦争が始まってみるとロシアでさえ前線に十分な兵器を行き渡らせることはできていないように見える。もちろん侵攻した先で兵站の点と線を作りながら進んでいくのだから簡単な話ではないが、侵攻から1年が経過しロシアの支配地域はむしろ縮小傾向にある今でさえ困難を迎えていることはもうロシアにも数的優位はないという事なのかもしれない。
対してウクライナは質と量の両方について当初劣勢であったが、欧米からの軍事支援によりすべての面ではないものの一定の質的優位を獲得し始めている。また量的優位についてもロシア側の疲弊という要因がありつつも次第に優位になりつつあるように見える。
尤も、今回の戦争は完全に陸軍力の力比べであり、双方とも地上部隊上空の制空権獲得必要な空軍力が不足しているように見える。空軍力の十分な支援があれば陸上戦力の動きはもっと良いはずだと思うし、その整備が時間的にも現実的でないからこそドローン部隊の整備にウクライナは力を入れているように見える。ウクライナにとって面している海が黒海のみで黒海全域を射程内に収めるミサイル等があれば海軍力の優先度が低いことも強みだが、ダーダネルス海峡を抑えているのはNATO加盟国であるトルコであり、モントルー条約に基づき軍艦の通貨を認めないと宣言したという事も要因の一つだと思う。
すなわちロシアの黒海艦隊は損失を恐れて黒海から逃げ出すことが実質的にできない状態であり、ウクライナにとって目下脅威となり得る海軍力は陸上からの攻撃で以て対処するというのが現実的な方法だと思う。
これらの要因がありウクライナは陸軍の整備に注力できる。これはロシアと違い有利だと思う。ロシアは日本やアメリカと対峙する為太平洋艦隊や北方艦隊や戦略空軍、核戦力の整備を継続しなければならないし、現状を考えればむしろ増強が必須になってくるという足かせを持っている。この足かせはこの戦争が長期化すればするほどロシアを苦しめることになると思う。
ウクライナのそうした優位をもってしても、反攻作戦の為の準備を行うのに十分なリソースは既にないと思う。このタイミングで追加の支援を要求することは自然なことだし、むしろしない理由がない。ただ反攻作戦を行うことはロシアも理解している。作戦の発動までにどちらの準備が先に整うのか、どちらも準備が整わないのかシュレーディンガーの猫状態は作戦が発動するまでわからない。