人を笑顔にする方法についての考察
スターバックスのニューヨークチーズケーキ。
用意してくれる店員の所作をつい、見やってしまう。
トレーにどんな向きで載せるのだろう。
手や口を拭く物はどの種類をどの程度載せるのだろう。
フォークを置く向きは。
つい見てしまうのは自分もまた、かつて接客をしていた。
多くの場面を高度にマニュアル化されていたマクドナルドで。
かつてマクドナルドの創業者であるレイ・クロックは新店舗の視察をした際、こんな事を言ったと聞いたことがある。
この店に君は大木を置いておくのかね?
この言葉を聞いて大木とはどんなものだと想像するだろうか。きっと人それぞれではあろうが、きっと多くの人は柱とかホームセンターで売っている木材が想像されるのではないだろうか。
レイの真意は計りかねるが、清潔さや快適さというのはきっと見えない場所、触れない場所に裏打ちされて初めて発揮される物なんだろう。
彼の指したのは、床の隅に落ちている一本のマッチ棒だ。
本当にレイ・クロックが発した言葉なのかどうかは分からない。このようなニュアンスの事を言ったのかもしれないし、別の人がレイ・クロックならこう言いそうと話したのかもしれない。
高度にマニュアル化されてもなお、明文化されていないホスピタリティがある。それがある限り接客業がロボに取って代わられることはない。
テイクアウトのお客様の商品はカウンターの外でお渡しする。ドライブスルーのお客様へはバッグを開けた瞬間に何処に何が入っているか一目でわかるパッキングをする。ダストボックスの清掃をするときは店内音楽の音量を少し上げる。そんな些細な事が人を少し快適にする。
フォークの向きも、ウェットティッシュも完璧だった。
特にオーダーを受ける短い時間の間に利き手は右でもスマホは左手で操作するという独特の癖を見抜いた観察眼は脱帽でしかない。
充分なサービスであったが、敢えて言うのであれば2枚の紙ナプキンと、ケーキとコーヒーは同時に出来上がると人をもっと笑顔にできると思う。混んでる時間でもなかったしね。