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一人ひとりが力を発揮する従業員主体の経営
※この記事は、2023年3月15日に取材した内容です。
今回インタビューした社長はこちら!
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■難しい注文にも果敢に取り組む、それこそが技術力
18歳で株式会社中農製作所に入社した西島 大輔社長が、経営者にならないかと打診を受けたのは26歳のとき。
その場で「やります!」と即答したという。
理由は「人生においてこの経験が必ず自分を成長させてくれると思ったから」
西島 氏が33歳で三代目社長に就任すると、同社はそれまでの同族経営から非同族経営になった。
それから10年。
自身の強みについて西島 氏は「非同族だからこそ従業員に近い感覚で、一人ひとりが最大限に力を発揮できる職場環境を提供でき、従業員と一緒に会社をつくっていくことができる」と語る。
その言葉どおり、同社では社員一人ひとりが自分の技術力やアイデアをフルに発揮し、常に新しいことにチャレンジしている。
例えば創業時から行っている部品加工においては、高技術・高難度のものづくりに積極的に挑んでいる。
厳しい公差を要求される半導体部品で難度の高い加工に応えたり、何度も試作を繰り返して限界まで精度を高めたり、専用の機械を使わなくても加工できる方法を考案しコストダウンを図ったり、もちろん依頼があれば難削材や複雑形状の金属加工にも対応する。
「機械が進化すれば高精度化は可能になる。でも、それで製品をつくることだけが技術ではなく、いかに難しい課題に自分たちで考え取り組んでいくか、その姿勢やプロセスも含めて技術だと我々は考えます。リスクを恐れてやらないよりは、チャレンジしたほうが会社として成長できるし、成功すればお客様にも喜んでいただける。当社の経営理念の1つ『ものづくりの一流企業をめざす』にはそういう意味があります。」(西島 氏)
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■チャレンジ動画をきっかけに展開の幅が広がった自社製品
課題に取り組みチャレンジする精神は、オリジナル事業にも反映されている。
自社製品「洗浄小町」は、もともと自社の自動車部品加工ラインの作業効率化を目的に開発された小型部品洗浄機。
工場を訪れた取引先のメーカーが興味を示し購入してくれたのをきっかけに、販売を開始した。
おもしろいのは、そこからの展開だ。
社員の発案で『洗浄小町TV』という動画配信チャンネルを作り、洗浄小町を使っていろんなものを“洗ってみた”動画を配信したところ、それを見たメーカーから「塗装のときに使うマスキングゴムを洗えないか」という依頼がきたのだ。
バイクなどを塗装する際、ネジに塗料が付かないようフタをするシリコンゴムは、今までは何度か使うと捨てるしかなかったのだそう。
そこで、シリコンゴムを入れて洗浄機にセットする容器の素材や形状、水圧などを工夫して、マスキングゴム専用の洗浄機を開発。
水だけで洗浄できて、汚れた水を垂れ流すこともなく、マスキングゴムに付いた塗料をきれいに落として再利用することを可能にした。
この業界にニーズがあるとわかったことで、今後は塗装展にも出展する予定だ。
「洗浄機に関しては、当社は完全に後発。それでも他社と一線を画すカスタマイズを軸にすれば、困っている人から相談がくる。そのニーズをもとに、新たな業界にアプローチすることが可能になるんです。メンテナンスにも力を入れて他社と差別化すれば、リピーターも獲得できる」と、西島 氏は今後の可能性に期待を寄せる。
加えて、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の運営参加特別プログラム「Co-Design Challenge」に、象印マホービン株式会社との共創で提案したマイボトル洗浄機が選定され、開発に向けて動き出している。
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他社への用途に合わせたカスタマイズ製造販売も可能
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■従業員の声でベトナム進出も。一人ひとりの“考える力”を伸ばすユニークな経営手法。
2014年にはベトナム進出も果たした。
実はこれも、同社で働くベトナム人スタッフの声がきっかけになっている。
まずは駐在事務所をつくり、当時からベトナム人を雇用していた強みを活かして彼らを現地に派遣。
ローカル企業に技術を教えることで初期費用を抑えて売上を上げるしくみを構築し、2017年に法人化した。
今後はベトナムにもう1拠点つくり、いずれはベトナムを起点としたグローバル展開も考えている。
さらに、社員一人ひとりが力を発揮して一緒に会社を作りあげていくための取り組みとして、3年前からOKRという経営手法を導入している。
これは1970年代にインテルが導入した手法で、短期間で自分たちが楽しめる目標を設定して取り組むというもの。
中農製作所では“今までにやったことのないまったく新しいこと”を条件に、6部門に分かれて各部門3テーマ/年間ずつ目標を設定し、3か月で取り組むこととしている。
「売上の達成が目標だと毎年取り組むことは同じ。ところがOKRでは毎回新しい発想が次々と出てくる。たとえそれが仕事に直接関係のない内容だったとしても、楽しみながらチャレンジすることで自信や学びにつながり、結果的に仕事にもいい影響を与えると実感しています」と西島 は言う。
先述した動画配信も、そこで生まれたアイデアの1つ。
ほかには、この世にない作業台を作る、顧客がベトナム視察に行きたくなるようなガイドブックを自作する、CMやカタログを自分たちでデザインするなど、それぞれの得意分野や、やりたいことが次々と形になっている。
「費用や労働時間との兼ね合いなど、問題もいっぱいあるんですけどね」と苦笑いしつつも、頼もしくて仕方がない様子の西島 氏。
「多様化する今、経営はもはや経営者だけの考えではなく、社員みんなで考えていくべき時代。当社では従業員主体の経営を実践し、社員の成長をバックアップしていきたい」と笑顔で語った。
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■MOBIO担当者 村井のコメント
若き経営者、しかも非同族という中小企業でも稀な存在の西島社長。
中農魂を継承しつつも社員に寄り添い、全社一丸となって国内にとどまらずベトナムを中心としたグローバルな海外市場へも視野が拡がっていました。
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