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まごころを包むパッケージの抜型製作に、社員一同たましいを込めて
※この記事は、2017年6月27日に取材した内容です。
今回インタビューした社長はこちら!
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■社内に“技術部門”を作り、顧客からの多種多様な要望に対応
創業は1971年。
トムソン職人だった先代社長が立ち上げたという大創株式会社は、紙器・段ボール箱用抜型製作、抜型関連資材開発・製造・販売を中心に事業を展開している。
大阪府大東市の本社と工場を中心に、6カ所の国内拠点を持ち、さらに海外にもビジネスを広げているという。
現在の社員数はおよそ140名。
会社の舵を握るのは、前社長(現会長)の長男である大塚 雅一 氏。
2011年より代表取締役社長を引き継いだ若手の経営者だ。
「私たちのお客様は、主にパッケージ会社や紙器・段ボール会社、印刷会社など、紙製のパッケージを作っている会社です。お客様はメーカーなどから“このようなパッケージを作りたい”との依頼を受け、その製作に必要な抜型を弊社に発注されます。私たちは要望に基づいた抜型を製作して供給するほか、お客様が打ち抜き加工時に必要な副資材の開発・製造・販売も行っています」
紙箱といっても大きさや形状、使用する紙の厚さなど、案件によって内容はさまざま。
さらに「こんな工夫がほしい」「もっと生産効率を上げたい」「不具合を解消したい」など、顧客からの要望は多岐にわたるという。
「紙という素材は、元来とても不安定な素材です。種類や厚みによって水分の含み方や反り方がそれぞれ異なり、また天候や保存状態などによっても変わります。パッケージ100種につき100様の課題があると感じますね。そんなお客様の悩みや要望に応えるために、大創では社内に“技術部門”を設けて対応しています。これは同業者の中でもめずらしい部門ですね」。
日本には「まごころを包む」という独自の文化があり、商品パッケージに細やかな心づかいや工夫がなされているという大塚社長。
それがきちんと機能するかどうかは、抜型の設計が左右するという。
「例えばティッシュペーパーの箱を思い浮かべてください。使い始めに取り出し口を開けるとき、最近では紙蓋を上に引いても横に破れにくくなっているはずです。ティッシュペーパーの箱は、“特許の宝箱”のようなもので、このような目に見えない工夫に抜型の設計が大きく関わっているのです。大創では営業部や技術部の者がお客様の問題をヒアリングし、現場に立ち会い、相談に対してフィードバックしながら製作しています。そのためにはコミュニケーション能力、技術力のどちらも欠かせません。言われたものをその通りに作るだけではなく、お客様の悩みや要望を理解した上で、私たちの持つ技術をきっちりと組み込んでいく。社員一同、魂を込めたものづくりに徹しています」
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打ち抜かれる紙の種類や型の形状などによって異なる。
■価格や納期だけではない、会社としての新たな価値を
他のものづくりの現場と同様に、価格競争の波が激しさを増すパッケージ業界。
しかし、めまぐるしく変化する環境の中でも、それに適応しながら常に進化していきたいと語る大塚社長。
社内では若手の人材育成に力を入れ、各部門のスキルと専門性を高めている。
中でも年に一度の社内コンテスト「D-1グランプリ」では、抜型製作技術の能力を若手社員同士で競い合うことで、切磋琢磨しているという。
さらに力を入れているのが、全国で開催している業界向けセミナー「DAISO Success College(DSC)」だ。
異業種企業とのコラボレーションセミナー、工場見学や基礎講演などを含む研修プログラムを、年10回、全国各地で行っている。
受講料はいずれも無料。
事業は2014年からスタートし、2017年5月時点で業界のべ320社、580名が参加したという。
「これは先代の“常にお客様視点で考える”という信念を受け継いでいる事業です。同じ業界で仕事をするお客様の視点に立ち、どんなことが知りたいか、学びたいかを考えて企画をします。セミナーの内容は、ハード面、ソフト面、サービス面と多岐にわたり、参加対象者も営業職、管理職、オペレーター、新人とさまざまですが、参加者のみなさんは課題や悩みをそれぞれに抱えて来られます。それに対して私たちは誠意を持って向き合いたいと思うのです。ものづくりの現場は、価格の安さや納期の早さだけで競争をしていると、やがて限界が訪れます。そうではない価値を私たちは生み出したい。そして“おつき合いをしていてよかった”とお客様に感じていただけるような会社でありたいのです」
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今年度優勝者が設計した抜型について熱く語る大塚社長。
目標は「60周年には年商100億」公言して、実現したい。
2017年、大創株式会社は創業46年を迎えた。
現在、抜型製作と関連資材の開発・製造・販売というコアビジネスを中心に、フィルムパウチなど軟包装用の抜型も手がけ、さらにイノベーションビジネスとしての商品も開発中だ。
そして14年後の60周年に向け、大塚社長には目標があるという。
「60周年に向けて年商100億をめざしたいと、公言しているんです。口に出さないと、想いは実現しませんから。幸いにしてこうして目標を話すと、共鳴してくれる経営者仲間がいる。このようにお互いに高め合えるつながりを私自身も大切に、また社員たちにも大切にしてほしいと考えています。会社の理念は“人間学の経営、夢企業の実現”です。人間学とは、つまり“幸せになること”。大創で働いているすべての社員が幸せな働き方ができるように、それぞれが持っている可能性を最大限に伸ばせるように、本当の意味でお客様のお役に立てるように、そしてみんなの夢が実現するように。そんな想いの込められた理念なのです。この言葉を胸に、目標に向かって一歩ずつ歩んでいきたいですね」
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なかでも大創オリジナル商品は、顧客の課題解決のために開発された資材だ。
■MOBIO担当者 阪上のコメント
「主役である中身を守り、引き立てるのがパッケージであり、良いパッケージ作りには抜型は大きな役割があります」という大塚社長の御言葉には、顧客の役に立つ商品とサービスの提供に徹する意気込みを感じました。
また、「会社の使命は人の幸せに尽きる」ときっぱり断言される時の瞳は、輝いておられました。
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