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【MOOV,products】大阪のものづくりが産み出したイイモノ大集合。奇抜なカタチやデザイン、機能美も豊かな製品を紹介。
※この記事は、2013年6月30日に発行された内容です。
■【A】コンパクトで、よく切れて、握りやすくて、美しい。
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八内刃物製作所
商品名:YAUCHI
手作業で両側の刃を均等に研ぐ高い技術を持つ八内 靖夫氏は「両刃研ぎの名人」と呼ばれる。
そのように研ぐと鋭い切れ味が長く続き、後の手入れも容易になるという。
同社が扱う刃物は、各種包丁からハサミまで多岐にわたる。
購入商品への名前の刻印も受け付けている。
最高級の黒檀を柄に採用し独特の八角形にすることで、手にしつくりなじむ捏りやすさを実現した、鋭い切れ味が自慢のコンパクト包丁「YAUCHI」
八内刃物製作所の2代目研ぎ師、八内 靖夫氏は、「鍛冶屋」から原型を仕入れ、砥石で刃を作る「研ぎ屋」の職人として50年以上技を磨いてきた。
「いつかは自社でオリジナル製品を」との思いがあり、いつも消費者の声が気になったという。
オリジナル製品のアイデアは、包丁を購入する機会の多い新婚家庭や、買い替え需要のある高齢者の家庭に着目して3代目剛志氏とともに練った。
そんな時、消費者の声で「一番よく使うのはベティナイフ」と聞いたのを思い起す。
ターゲットはキッチンがそれほど広くないであろう家庭。
使いやすいサイズというコンセプトが決まる。
そして、刃と柄の長さを同程度にしたコンパクト包丁「YAUCH|」が生まれた。
今後は色の美しい木材による柄のカラーや、サイズのバリエーションも増やす予定。
■【B】キッチンやお風呂、トイレやフローリングはもちろん、川や土壌までキレイにするのが、この洗剤の仕事です!
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株式会社アドバンス
商品名:とれるNO.1
同社はエコ製品のほか、ホルムアルデヒドの吸着性能がある梅炭、セラミック多孔質体を用いた消臭除菌スプレー、化粧品など、天然のものを使った商品開発に力を入れる。
学生のインターンシップを受け入れたリ、小・中学校や大学へ講袈に出向くなど、環境意識を高める活動も積極的に行っている。
「例えばお皿を洗うとき、合成洗剤は川に汚れや化学物質を運ぶ。この『とれるN0.1』は化学物質を使わずに微生物の力で汚れ自体を分解します。流れた先の汚れも少しずつ分解し続けるので、使うと地球までキレイになる」と、会長の安川 昭雄氏。
高い洗浄力を誇るこの洗剤に、合成洗剤によく含まれる界面活性剤などの化学物質は全く入っていない。
会長は、1983年に同社を設立する以前は印刷用ゴムローラーの企業に勤務し、海外を飛び回っていた。
原料を混ぜ合わせて多彩な製品を生み出すゴムの世界にいたことが、どのように微生物を混ぜ合わせて洗剤を作るかという発想の源にあるという。
今後について安川氏は、「停電のない国内とは違い、環境問題が深刻な東南アジアなどの発展途上国には電気をあまり使わない簡易な水の浄化装置が必要。
地域の事情で求められる内容が異なる世界の環境課題に、きめ細かく応えていきたい」と語る。
■【C】糸からオリジナルにこだわった涼やかで艶やかな絣染めサマーニット。
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株式会社アイソトープ
商品名:絣染め森林和紙ニット
2000年創業。
受注生産ではなく「まず作り、それから売る」という業界の常識破りを実行。
2013年現在、社員は100人超、年商は12億円を突破。
「夢は全国展開の大手SPA (製造小売業)と取引すること」と語る金沢氏。
今後のさらなる成長が楽しみな企業。
わが国有数のニットの名産地、泉州エリアで急成長を遂げている株式会社アイソトープが送り出す“マダム御用達”の定番サマーニット。
抄繊糸(しょうせんし)と呼ばれる和紙から作られた糸を使用し、涼やかさ、肌触りの良さに加え、カラフルで個性的な絣染めの風合いが女性達の心をとらえて離さない。
抄繊糸は元来高価な素材とされるが、同社は製紙、撚糸、染色の各工程に関わる会社と独占契約を結ぶことで素材づくりのワンストップ化を図り、低価格化と安定した品質維持を実現。
「品質、価格、商品バリエーション、どれをとっても外国製に負けない」と金沢 克哉社長は自信満々だ。
米国ラスベガスで開かれた展示会でも反響を呼び、美しいボディラインを際立たせる素材感と色調の豊富さといったところが特にアフリカ系アメリカンの注目を集めているようだ。
■編集後記
ものづくりの企画力とそれを実現するための技術、それこそが戦後日本の復興と成長を動かしてきたエンジンであることを、巻頭特集のディスカッションに同席して改めて強く感じた。
知的財産、特許と言うとどこか遠い世界のことのように思っていたが、それは特に世界をマーケットに技術・商品開発挑戦する企業の命綱であり、知財を守るための戦略・戦術の体得はものづくりの必須のリテラシーであることを読者の皆様と共有したいと思います。(山蔭)
■スタッフ
企画・編集
株式会社ショーエイベストコーポレーション
編集長
山蔭ヒラク(ショーエイベスト)
ライター
工藤拓路(ショーエイベスト)
写真
岩西信二(JPS)
アートディレクター
高谷朋世(キューブデザイン)
印刷
昭英印刷株式会社
■発行
MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)
https://www.m-osaka.com/jp/
大阪府商工労慟部商工振興室ものづくり支援課
〒577-0011 東大阪市荒本北1丁目4番17号(クリエイション・コア東大阪内)
【TEL】06-6748-1011 【FAX】06-6745-2362
2013年6月30日発行
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