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オフィスデザインを手掛ける建築会社から、ワーケーションカーが生まれたワケ -mobica開発秘話 前編-

「行きたい場所が、今日のオフィス」をコンセプトに掲げる「mobica(モビカ)」。30年以上オフィスデザインを手掛けてきた株式会社コスモスモア(以下、コスモスモア)が、市販車をワークスペースに架装したワーケーションカーのカーシェアリングサービスです。

建築会社であるコスモスモアから、どのような経緯でワーケーションカーが誕生したのでしょうか。mobicaのプロジェクトに携わる、中村正典(mobica推進室室長)、堤博章(mobica発案/設計者)、小倉麻衣(mobica推進室メンバー)の3人に開発秘話を聞きました。

mobica sand(ハイエースタイプ)の社内で打ち合わせをするmobica推進室メンバー。

ーーmobicaは、社内の新規事業提案コンテストから生まれた事業だと伺いました。改めて、プロジェクト発足までの経緯を教えてください。

中村:mobicaのプロジェクトは、新規事業を募集する社内コンテストから発足しました。当時私はmobicaのプロジェクトメンバーではなく、コンテストの事務局として審査員を務めていました。テーマは限定せず、社員自身が自由に発想した事業の募集をしたので、空き部屋が多いアパートの再生方法やお寺をコミュニティの拠点に活用するアイデアなど、多様な案が72案集まっていました。

堤:mobicaの事業案は、「自由にいろいろなところへ移動しながら、車の中で働けたらいいな」という発想からのスタートでした。72案のなかから最終候補として選ばれた6チームは、約4ヵ月後に行われる最終プレゼンに向けて、外部パートナーと共に事業計画を作成することになりました。僕はずっと設計をやってきた人間なので、事業計画書の作成は未知なことだらけでしたが、プロジェクトメンバーや外部パートナーと約4か月間毎週のように打ち合わせを重ね、アイデアをひたすらブラッシュアップしていきました。

小倉:コンテストの最終審査に進んだ6案は全社員に広報され、魅力を感じた事業案のチームに後から参加できるようになっていました。私は旅行や車が好きだったこともあり、自由度の高い働き方を提案するmobicaに面白さを感じて、そのタイミングでプロジェクトに加入した形です。

中村:結果として、mobicaは最終審査でグランプリを受賞しました。mobicaのカーシェアリング事業が単体で利益を生むというよりは、mobicaに付随して自社の事業が発展するイメージを持てたことが、高く評価されていた印象です。また、最終審査ではチームとして新規事業を進めていけるかを重要視していたので、mobicaはそういった点でも高評価でした。

ーーコスモスモアはオフィス構築を中心に事業を展開されていますが、オフィスの外に出て、好きな場所で働くというアイデアはどのように生まれたのでしょうか?

堤:昨今はオフィスの中、いわゆる不動産の中で働くことが一般的になっていますが、働く場所には不動産以外の選択肢があっても良いのではと思ったんです。カフェ、ホテル、ワーケーション施設、移動中の新幹線や飛行機、キャンピングカーなど、働き方のバリエーションをメンバーでリサーチした結果、「動くワーケーション施設」に新しいワークスタイルの可能性を見出し、「ワーケーションカー」という方向性が定まりました。可動産である車の中で、仕事もするし、合間にしっかりライフも充実させる。そういった働き方の新しい選択肢を、皆で考えて形にしていきました。

海辺で作業をするなど、働く場所の選択肢はさまざま。

ーーグランプリに選ばれてから事業化するにあたって、大切にしていたことはありますか?

堤:我々はずっと建築や内装の業界で仕事をしてきたので、全くと言っていいほど車業界の知識がありませんでした。自分たちが経験したことのない業務ばかりだったので、架装する車探し一つとっても、メンバーがそれぞれ情報を持ち寄ってブレストをするなど、手探りで進めていきました。車のこともワーケーションのことも、分からないからこそ、まずは皆でやってみる。月並みではありますが、振り返ってみると社内のチームビルディングは大切にしていたように思います。

ーー皆さんで試行錯誤しながら、事業を進めてきたのですね。mobicaの車両を選定・設計する際には、どういったところにこだわったのでしょうか?

中村:車両にワークとライフの機能を等しく取り入れたら、見え方としてライフの要素が強くなってしまうと感じていたので、「働きやすさ」を軸に据えるよう意識していました。軽自動車タイプは僕と堤で車両の選定を行いましたが、ライフに偏りすぎるとキャンピングカーで仕事をするのと変わらなくなってしまうので、何より働きやすさを優先して、mobicaらしい車両や機能を選びました。

堤:車両の選定・設計を行う際には、「車内の限られたスペースでも、快適に働ける」というところにこだわりました。車の中はどうしても限られたスペースなので、頭が天井にあたったり、幅がきつくなったりしてしまうこともあります。そういった制約があるなかでも、いろいろな車両を乗り比べて、軽自動車でも快適なワークスペースを確保できるHondaのN-VANを選びました。座面やデスクの高さ、膝とデスクの間隔などのハード面は、オフィス構築で培ったノウハウを活かしています。「好きな場所を選んで働いてほしい」という思いから、ワーク重視の設計をしているところに、mobicaならではの価値があるのではないかと思っています。

mobica forest(N-VANタイプ)での作業イメージ

ー完成した車両を見た時はどんな気持ちでしたか?

堤:いろいろな苦労を経て出来上がったものなので、完成した車両を見た時はとても嬉しかったです。

小倉:完成したmobicaを使ってみて、想像以上にオフィス空間だなと思いました。N-VANは軽自動車ではありますが、一般的なオフィスで使われている横120㎝、奥行70㎝のデスクが丸ごと入っているので、車内でもオフィスと同じようにデスクを広く使いながら働くことができます。デスク前に座っても閉塞感がないので、車の中とは思えない新しい体験ができると思います。秘密基地のような、自分だけの特別な書斎のような、車の中独特のワクワク感を味わえると思うので、ぜひ多くの方にmobicaを体験していただきたいです。

mobica forest(N-VANタイプ)のデスク
リアドアを開けて風景を存分に楽しみながら仕事することもできる。

長年オフィス構築で培ってきたノウハウを活かして作られた、「働きやすさ」に特化したワーケーションカー「mobica」。チーム一丸となって、試行錯誤しながら作り上げた新しいワークスタイルを、あなたもぜひ体験してみませんか?

インタビューの後編では、mobicaのロゴやカラーに込めた思い、そしてプロジェクトメンバーがmobicaを通して提案したい新しいワークスタイルについてのお話をお届けします。

▼mobicaを利用したい、詳細を知りたい方はぜひ公式サイトをご覧ください。

文/橋本彩香

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