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ファンを楽しませるにはまずは自分が楽しむ

最近立て続けに2冊読んだファンベースに関する本のまとめ。
『ファンベース』
『ファンベースなひとたち』

ファンベースとは

▶ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を上げていくこと
▶ファンマーケティングやコミュニティビジネスと混同してはならない。

「ファンベースなひとたち」より引用

なぜいまファンベースか

情報過多の時代で、企業の情報が人々に届かない
⇒ そんな中でファンはその情報を見つけてくれる
⇒ さらに口コミによって価値観の近い人に情報を届けてくれる

パレートの法則にあるように、一部の顧客が大半の売上につながっているので、その一部をしっかり押さえ、そこから輪を広げていくことが(結果的に)効果的なアプローチになる

ファンの支持を強くする3つのアプローチ

一人一人のファンをよく見て、「共感」「愛着」「信頼」という感情を刺激する。ファンの支持がより強くなると、
 共感 → 熱狂
 愛着 → 無二
 信頼 → 応援

にアップグレードされる。

提供する3つの価値

企業が提供する価値を、機能価値+情緒価値+未来価値の3つに分けると、
 機能価値:真似される、陳腐化しやすい
 情緒価値:真似しにくい、支持を強くする
 未来価値:未来の変革・希望・貢献といった強い共感を生む

企業が提供すべき価値は誰が知っている?

それはファンが一番知っている。
今までの市場調査では理解できないため、濃いファンを集めた「ファンミーティング」をはじめとしたファンベース施策が効果的。

『ファンベースなひとたち』の方はタイトル通り、企業側のひとびとにスポットを当てて、いろんな企業のファンベース施策の事例を知ることができる。

面白いなと思ったファンベース施策

カゴメの事例:
「&KAGOME」
プレゼントした苗のコミュニティを「&KAGOME」内で立ち上げて、ファンと一緒にコンテンツ「トマコミ」を作り上げた事例。今まで配って終わりの一方通行に近い形だったものが、苗の成長報告の場を作ることで双方向のコミュニケーションに変化。

✅カゴメの場合は杞憂だったようだが、プレゼントキャンペーンは非ファンが集まってくる可能性もある諸刃の剣。
✅コンテンツの充実を考えると、社内に味方を増やしていくことも非常に重要。
✅KPIは登録者数ではなくアクティブユーザー

スープストックトーキョーの事例:
「サムシングイエロー」

「Curry Stock Tokyo」というイベント時に、何か黄色を持ってきたり身に着けたりしてきたお客さまに「ちょっといいこと」をプレゼントする企画。すべてのカレーをコンプリートしたお客さまには黄色のバンダナをプレゼント。2020年の例

✅プレゼントしたバンダナが次のサムシングイエローアイテムになる+「自分がファンであること」をわかる人にわかってもらえる

「バーチャル社員制度」
退職した社員、アルバイトが登録するネットワーク(1,400人!!)。割引や先行試食会への招待を実施。

✅アルムナイを大事にすることで辞めてもファンでいてもらえる(共感性の持続、OB・OGならではのオーガニックリーチ)

ファンベースについて考える

ファンベースの本を読んでて思い出したのは、数年前の中国・シャオミ(小米)の話。ユーザーと掲示板でコミュニケーションをとりながら製品をアップデートしていて、急激に中国市場での存在感を増していた。海外での例ではあるけど、あれも一種のファンベース施策にカテゴライズできそう。

私自身は鉄道会社に勤めているが、鉄道会社にとっての「ファン」の定義は容易ではない。鉄道ファン、街のファン、観光地のファンなど様々な切り口が考えられる。東武鉄道が取り組むオンラインサロンや、JR東の撮り鉄コミュニティはその試行錯誤の一端なんだろうなと思う。

本を通じて感じたのは、社員側が楽しんでいないとファンが楽しむわけない、ということ。熱量をもって物事を進めるには、自分自身がまずはファンであることが重要だと思った。「ファンベースなひとたち」で紹介されているひとびとはまさにそんな熱量を持った人ばかり。
そういう意味では、ファンベース施策の成功は何をやるかではなく、誰がやるかということも非常に重要

あと、多かれ少なかれ企業はファンベースを実施しているとも思った。鉄道会社だと、駅係員がホワイトボードを使っていろいろと発信しているのはその一例かもしれない。ただ、その施策が個人の熱量に頼っていて企業としてフルに生かし切れていないというのも事実(特定の駅を使う人以外にはホワイトボードを知ってもらえない、とか)。そういった端々にあるファンベースの芽を見つけるところからファンベース施策の第一歩は始まるのかもしれない。

以上

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