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「依頼は出したけど相手から返信がありません」だけでは、何も仕事をしていないのと同じ

以前、私がディレクションを担当していた開発プロジェクトでの話です。

とある機能を開発するために、社内向けに提供されているAPIを利用する必要がありました。そのAPIを利用するには所定の申請手続きが必要だったので、プロジェクトメンバーである若手エンジニアに申請を出してもらえるよう依頼しました。

それから1週間後。そのエンジニアに状況を尋ねたんです。

「API利用申請のステータスはどうなっていますか?」

彼の回答はこうでした。

「申請は出しましたが、担当者からまだ返信がありません」

1週間というのは、まあまあの長い期間です。

おそらく、彼はわざと怠けていたわけではありません。
利用申請のJIRAチケットはちゃんと起票して、先方からの返信をマジメに(?)待っていたのです。

ただ、何も状況が動かないまま1週間が経過してしまったことを考えると、この時の彼の対応は、残念ですが不十分だったと言わざるをえません。

「待つ」だけなら小学生でもできる

仕事をしていると、誰かに何かを依頼したけどなかなか返事が返ってこない…という場面に出くわすことはしょっちゅうです。

返信が無いのには何らかの理由があるわけですが、いずれにしても、その状態のままなんのアクションも起こさずに放置してしまうと、プロジェクト全体のスケジュールが遅延する原因になってしまうケースもあります。周りのメンバーに迷惑をかけることにもなる。

先ほどの若手のエンジニアが取るべきだった行動を考えてみましょう。

1. 担当者にリマインドする

まず最初に彼がやるべきことは、申請の受け側となる担当者が「申請を見落としていないか」を確認することでした。

担当者が忙しい場合、JIRAチケットなどでの申請は見過ごされることがよくあります。なので、先方からの返信がない時は、リマインドの連絡をすることが必須です。「様子はいかがでしょうか?」などと丁寧な姿勢で問い合わせれば、悪い印象も与えないでしょう。

2. 進捗状況を確認する

先方が依頼を見落としていたわけではなく受領していることが確認できたら、次は、現在の進捗状況を具体的に尋ねるべきです。「どのくらい進んでいますか?」と聞くことで、こちらが急いでいることを暗に相手に伝えることもできます。

3. 完了予定日を聞く

もし完了までに時間がかかりそうな気配がしたら、「いつ頃に対応が完了しそうですか?」と具体的な完了予定日を必ず確認しましょう。この情報が分かれば、あとに控えている他タスクのスケジュール調整もスムーズに対応できます。

4. あまりにも遅れそうなら、対応を早めてもらうよう交渉する

例えば「対応完了が1か月後になってしまいそう」など、スケジュール的にありえないような回答が返ってきた場合には、対応を早めてもらう余地がないかどうか、必ず交渉するべきです。

もし仮に、このAPIを利用する開発が、このプロジェクトのクリティカル・パスになっていたら…? APIの利用申請だけで1か月もかかっていたら、プロジェクト全体の進捗への影響はシャレになりませんよね。

「お忙しいのは承知のうえでのご相談となりますが、なんとか優先的に対応していただけないでしょうか?」と聞いてみましょう。交渉に慣れていなくても、相手の状況に配慮したうえで丁寧に相談すれば、思った以上に早く動いてもらえることもあります。

もしも交渉が難航しそうになったら、プロジェクト・マネージャーやディレクション担当者に交渉に入ってもらえるよう依頼しましょう。

プロを自負するなら、自分ができるだけのアクションは実行しよう

ここであなたにお伝えしたいのは「待っているだけではプロとは言えない」ということです。

「自分は利用申請をちゃんと出した。返信がないのは相手の責任だ。自分のせいではない」

理屈として間違ってはいないし、1週間のあいだ1回の返信も返せない先方の運用フローに問題があるのも事実なのですが、「ひとりのプロジェクトメンバーとしての責任をまっとうする」という観点だと、これだけでは物足りないのですよね…。

大切なのは、責任の所在を明らかにすることではなく、自分がアサインされている開発プロジェクトのボトルネックになりそうな要因を早めにつぶすこと。

相手から返事がない時には、じっと手をこまねいているだけではなく、「自分にできることはないか」を考えて、「できることはやる」が鉄則です。

ひとりひとりのプロジェクトメンバーの、このような小さな行動の積み重ねが、結果的にプロジェクトの成功を左右することになるんです。

もし、今、あなたが誰かに何かを依頼していたとして、相手から返事がないのであれば…試しに、次のアクションを試してみてください。

  • リマインドする

  • 進捗を確認する

  • 完了予定日を尋ねる

  • 必要であれば交渉する

大切なのは、どんな小さなことでもよいので、「自分にできることは何か」を考えて、行動に移すことです。


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