価格・チャネル戦略
価格の影響要因
①消費者の需要
★需要の価格弾力性:価格が変化したときに、需要が変化する割合
価格弾力性 = 需要の変化率/価格の変化率
②製品のコスト
③競合の存在
④法的な規制
価格設定
価格の基本戦略
【コスト志向の価格設定】
・製品の原価に一定の利益を上乗せすることで、価格を設定する(コストプラス法)
・流通業ではマークアップ法とよばれることもある
【需要志向の価格設定】
・消費者の需要に合わせて価格を設定する
【心理的価格設定】
・消費者の心理を重視して価格を設定する
・名声価格:威光価格とも呼ばれる。あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があるということを認識させるような価格
・端数価格:980円など、あえて値段を端数にした価格設定
・慣習価格:消費者が慣習的に一定の価格のみ受け入れているような価格
【競争志向の価格設定】
・競合の価格を重視して価格を設定する
・実勢型価格設定:競合企業の実勢価格に従う方法
・入札型価格設定:契約が入札で決定される場合に用いられる価格設定
新製品の価格設定
【上澄吸収価格戦略(スキミングプライス)】
・新製品に高い価格を設定し、価格にそれほど敏感でない消費者に販売する方法
・メリット:利益率が高く、新製品のコストを早く回収できる
・デメリット:価格を高く設定すると、あまり売れない恐れがある
【市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライス)】
・新製品に安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを高める戦略
・メリット:一気にシェアを高めて、競合他社よりも、規模の経済性や経験曲線効果を早く発揮できること
製品ミックスによる価格設定
【抱き合わせ価格】
・複数の製品を組み合わせて、セットで販売する方法
【プライスライニング】
・プライスラインという段階的な価格帯に沿って、製品を販売する方法
【キャプティブ価格】
・メインの製品を安く設定し、付随する製品を一緒に購入してもらう戦略
価格の調整
割引
【現金割引】
・現金で支払う場合に価格を安くする制度
【数量割引】
・大量に購入する場合に適用される割引
【季節割引】
・需要が停滞する季節に適用される割引
販売促進による価格設定
【ロスリーダー政策】
・採算を度外視した値段をつけた目玉商品を設定し、その商品目当てに来店した顧客に、目玉商品以外の商品も購入してもらうことで、利益を確保する方法
【エブリデーロープライス政策(EDLP政策)】
・常に商品を低価格で販売する方法
販売チャネルによる価格設定
【機能割引】
・販売相手が遂行する流通機能によって割引をする制度
【アローワンス】
・メーカーが流通業者に対して行う割引
【リベート】
・取引の時に割引するのではなく、取引が終了した後の一定期間後に現金などが支払われること
【メーカーの価格】
・メーカー希望小売価格:メーカーが小売段階での参考価格を表示している
→必ずしもメーカー希望小売価格で小売が販売する必要はない
チャネルの機能
流通の機能
・商流としての製品の所有権を移転する機能
・物流として製品を輸送したり保管する機能
・情報流通として需要や供給などの情報を伝達したり、販売促進をする機能
・流通業者が掛けで仕入れることにより、支払いが一定期間猶予される金融機能
・製品が消費者に売れないリスクを流通業者が負担する、危険負担機能
取引数最小化の原理
・メーカーと小売業者の間に卸売業者が介在することで取引の数が少なくなり、流通が効率化するとされる
チャネルの種類
チャネルの長さによる種類
【直接流通】
・メーカーが直接消費者と取引を行うチャネル
【間接流通】
・メーカーと消費者の間に流通業者が介在するチャネル
チャネルの幅による種類
【開放的チャネル政策】
・メーカーが取引する流通業者を限定せずに、幅広く製品を流通させる方法
・メリット:幅広く製品を流通させることで、たくさんの製品を販売できる
・デメリット:メーカーがチャネルをコントロールすることが難しい
【選択的チャネル政策】
・メーカーが取引する流通業者を、一定の基準によって選択して、業者の数を絞り込む方
・メリット:流通業者を絞り込むことで、販売の努力が集中できること。得意先の管理がしやすいこと。
・デメリット:流通業者の販売やプロモーションへの協力が不十分な場合があること
【排他的チャネル政策】
・製品の流通を制限し、専売店のみに販売権を付与するもの
・メリット:自社のブランドを高めるのに向いている
・デメリット:チャネルを極端に絞り込むため、消費者の認知度が低下し、売り上げが低下する可能性がある
垂直的マーケティングシステム(MS)
・メーカーや卸売業者、小売業者を含めて垂直的に組織された流通システム
【企業型システム】
・チャネル全体が一つの資本によって垂直統合されているもの
・チャネルリーダーの支配力が最も強いのが特徴
【契約型システム】
・独立した企業同士が契約によって結びつくシステム
・フランチャイズチェーン:本部であるフランチャイザーと、加盟店であるフランチャイジーが契約を結んで事業を行う
・ボランタリーチェーン:独立した企業同士が結合して、経営の合理化をはかる仕組み
・コーペラティブチェーン(小売業者主宰):小売業者同士で水平的に統合し、共同で本部を設けて共同仕入れや、在庫管理などを行う
・ボランタリーチェーン(卸売業者主宰):卸売業者が小売業者に対してリテールサポートを行う。
【管理型システム】
・チャネルリーダーが他のメンバーを契約によらず組織化するもの
【流通系列化】
・メーカーが卸売業者や小売業者などを自社の流通に組み込むことで、競争優位を獲得しようとすること
・専売店制度:メーカーが流通業者に自社製品のみを取り扱うように制限する制度
・一店一帳合制:メーカーが小売業者に対して自社製品を仕入れる卸売業者を一つに制限すること
物流戦略
物流の機能
・ものを輸送するだけでなく、保管や荷役、包装まで含んでいる
ロジスティクス
・物流業務を効率的に行うための管理方法
・材料の調達から、生産、顧客への配送などの一連の物流活動を、個別機能ごとではなく全体最適で計画的に管理するプロセス
サードパーティーロジスティクス
・ロジスティクスを自社で行わず、第三者にアウトソーシングすること
・輸送や倉庫業務といった個別の業務だけではなく、ロジスティクス全体をアウトソーシングする
今回はここまで。ありがとうございました。