財務諸表
概要
アカウンタビリティ(説明責任)
・企業が資金の提供者に対して報告する責任のこと
財務会計
・外部に報告する目的の会計
管理会計
・内部の管理に活用するための会計
貸借対照表
役割
・「一定時点の財政状態」を示すこと
・ある時点における資金の調達源泉とその運用状態を表す
・貸借対照表の右側(貸方)が資金の調達源泉、左側(借方)が資金の運用形態を表す
・「資産の部」、「負債の部」、「純資産の部」の3つの部分がある
・語では Balance Sheet、略して B/S と呼ばれる
資産の部
・資金の運用状態が表現される
・「流動資産」と「固定資産」、「繰延資産」に分類される
流動資産
・比較的短期に現金化できる資産
・現金預金
・受取手形:商品を販売した後、売買代金として手形を受け取った場合の額
・売掛金:商品を販売した後、代金をまだ受け取っていない金額のうち、受取手形の額を除いたもの
・貸倒引当金:債権の貸し倒れリスクに備えて、あらかじめ貸し倒れの見積額を計上しておくもの
・有価証券:会社が保有している株式や債券のこと。会社が保有する有価券のうち売買目的有価証券、および決算日の翌日から 1 年以内に満期の到来する債券の合計額が表示される
・商品:期末における未販売の商品の在庫金額
・短期貸付金:会社が他の企業などに貸し付けしている資金の額のうち、決算日の翌日から1年以内に回収予定のもの
固定資産
・企業が長期間保有する資産のこと(1 年以内に現金化しない資産)
・有形固定資産:建物や土地など物理的な資産のこと
★減価償却累計額:建物のような有形固定資産は、年月が経つことによって徐々に価値が減っていくと考えられる。この価値の減少分の金額。
※土地は、使用することによって価値の減少が起こらないため、減価償却は行われない
・無形固定資産:物理的な形が無い資産のこと。のれん、ソフトウェア、知的財産権(特許権、意匠権、商標権等)
繰延資産
・実質的には費用だが、その支払の効果が複数年にわたって期待されるため、一度に費用化せずに一時的に資産として計上しているもの
・「株式交付費」「社債発行費」「創立費」「開業費」「開発費」など
負債の部
・将来返済する義務がある債務(他人資本)
流動負債
・企業の通常の営業サイクルに含まれており、比較的短期間に返済する項目
・支払手形:商品の仕入や材料の購入などを行った際に、手形で支払った額
・買掛金:商品の仕入や材料の購入などを行った後で、代金が未払いのもののうち、「支払手形」の額を差し引いた金額
・短期借入金:金融機関等からの借入金のうち、決算日の翌日から1年以内に返済義務のあるもの
固定負債
・返済義務が1年を超える債務の項目
・社債:企業が社債券という有価証券を発行することで、長期的な資金を調達するもの
・長期借入金:金融機関等からの借入金のうち返済義務が 1 年を超えるもの
・退職給付引当金:将来の退職金の支払に備えて、毎期分を引き当てておくための科目
純資産の部
・「資産の部」から「負債の部」を差し引いた差額
・返済義務のない株主からの資金調達額や利益の留保額などが含まれる
株主資本
・資本金:企業が株式を発行し、株主から払い込みを受けた金額のうち、資本金として繰り入れられた金額
・資本余剰金:「資本準備金」と「その他資本剰余金」が含まれる
・利益余剰金:「利益準備金」と「その他利益剰余金」が含まれる
・自己株式:自社が発行した株式を、自らが取得して保有しているもの
新株予約権
・あらかじめ決められた価格で株式を取得できる権利
貸借対照表のルール
流動・固定の分類
・正常営業循環基準:通常の営業サイクルで生じる資産や負債については、流動に分類する
・一年基準:決算日の翌日から1年以内に決済期日が到来するものを流動項目に分類する
損益計算書
・Profit and Loss Statement、略して P/Lと呼ばれる
・損益計算書の役割は、「一定期間の経営成績」を示すこと
・損益計算書は、「収益」と「費用」、「利益」から構成される
・5 段階の利益:
売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益
売上総利益
・「売上高」から「売上原価」を差し引いた利益の額
・売上高:商品・製品の販売額のこと
・売上原価:販売された商品・製品の原価
・売上総利益の大きさは、商品力の高さを表している
営業利益
・「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引いた利益の額
・本業での儲けを表す
経常利益
・「営業利益」に「営業外収益」を加え、「営業外費用」を差し引いた利益の額
・経営活動全般を通じた利益を表す
・資金調達にかかる費用を含めて計算した利益
税引前当期純利益
・「経常利益」に「特別利益」を加え、「特別損失」を差し引いた利益の額
・特別利益:臨時的/例外的に発生した収益
・特別損失:臨時的/例外的に発生した費用
・臨時的な利益/費用を含めた、企業の最終的な利益を表す
当期純利益
・「税引前当期純利益」から「法人税、住民税及び事業税」を差し引いた利益の額
・前期繰越利益を合わせて、貸借対照表の「繰越利益剰余金」となる
損益計算書のルール
現金主義
・収益は現金収入があったときに、費用は現金が支出されたときに計上する考え方
発生主義
・現金の受払いとは関係なく、収益や費用を「発生を意味する経済的事実」に基づいて計上する考え方
・原則、費用については発生主義で計上する
実現主義
・収益の認識で使用される基準
・企業が(企業外部に)商品・サービスを提供し、その対価として現金または売掛金・受取手形などの現金同等物を受け取った時点で計上する考え方
株主資本等変動計算書
役割
・「貸借対照表の純資産の変動状況」を示すこと
構造
・新株の発行
・余剰金の配当:株主への配当を行ったもの
・剰余金の配当による利益準備金積立
・当期純利益
・自己株式の処分:企業が保有する自己株式を、市場などで処分すること
・当期末残高:「株主資本等変動計算書」の列に表示されている各項目の当期末残高と貸借対照表の純資産の部の各項目の残高は一致する。また「株主資本等変動計算書」の当期純利益と損益計算書の当期純利益も一致する。
今回はここまで。ありがとうございました。