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声を届けにきたんだ

きみの声を届けにきたよ

だけどきみは もうそこにいない

ここに確かにあるのに

これさえあれば

きみはまた ぼくに微笑みかけてくれると信じていた

だけどきみは もうそこにいない

どんなに美しい声も

どんなに嬉しかった日々も

ここになければ

みんな涙のひとつぶひとつぶになって

落ちてゆく

ひとつのまとまった小さくて細い

ただの流れを描いて

ただどこかへと吸い込まれてゆくだけだ

きみの声はここにあるんだ

でも きみがいない

ただの無機物のかたまりだけあっても

そこに時は流れない

きみが恋しい

生きているきみが

ぬくもりが

この手から流れて落ちた

ぼくの心の中では

笑っているきみがいる

かわいらしい声で笑っている

だけどそれはきみじゃない

ぼくの心のきみだ

無機物の声があっても

写真があっても

やっぱりきみはここにはいない

どんなに走ってももう追い付きもしない

ただ 目の前に いて欲しかったのに

声も もうない

見るための目も

聞くための耳も

無機物の箱にしまってしまおう

せめてきみの声とともに

宜しくお願い致します。 励みと生活の糧になります。