個人的に気なった記事を【要約】や【選定理由】付きで紹介します。
気になった記事
今月は防衛3文書の話題が多く、特にサイバー関連では「能動的サイバー防衛」との文言が記事を賑わせています。
■サイバー防衛、法整備へ
【選定理由】
まさに、日本のサイバー政策の転換期にあると言えます。2023年からの法審議に注目です。(16日に防衛3文書が閣議決定)
注意したいのは、政府案では、監視対象は「国、重要インフラ」と限定している点です。攻撃されると広く国民の生活に影響を及ぼす組織のみが対象となります。つまり、これが実現しても(重要インフラ分野でない)民間企業や市民個人を直接的に守るミッションではないことは理解しておきたいです。引き続き、自分の身は自分で守るとの考え方が必要になってきます。
■戦争「武力以外が8割」-日本 法整備なく脆弱-
※12/20 日経新聞の1面記事でした。
【選定理由】
「能動的サイバー防衛」における法的が壁がクリアできたからと言って、すぐに防衛力が上がるわけではありません。相手への「逆侵入」「探知」のための「専用装置の導入」はその後に始まるものと思いますし、手段の具体的な検討と人材育成、能力の向上など、、、実現はまだまだ先になりそうです。
そもそも、それまでの間に責められたら日本は対抗できないだろう、と、この記事が警鐘を鳴らしています。「敵」が待ってくれるでしょうか。
■15年前の「戦争」糧に サイバー防衛で世界リード―専門家育成へ英才教育・エストニア
【選定理由】
人口130万人の国がサイバー大国に成長している理由の一つが、幼少期からの教育にあるとこの記事から垣間見えます。一方の日本では、ただでさえ少ないサイバー教育の機会のほとんどを「守る」ことや「攻撃を受けた後」(インシデントレスポンス)に割かれており、「攻撃手段」を学ぶチャンスはほとんどありません。
日本政府は「アクティブディフェンス」や「能動的防衛」の実現に向けて動きだしていますが、それができる人材を国内で育成することも重要です。日本がエストニアに学ぶことはとても多いと感じます。
■サイバー攻撃 事業継続計画なく…大阪の病院、「災害」は作成
【選定理由】
多くの場合、BCPは自然災害を念頭に置いて作成されているはずで、このように、サイバー被害は性質が異なるものとの認識を持つ必要がありそうです。この大阪の病院の事案はサイバー用のBCP策定の必要性について考えさせられる事例として、後も使われそうです。
■Z世代の6割がSNS上のフェイクニュース・デマを信じた経験
【選定理由】
情報過多の世界では、デマか事実かを判断する「ファクトチェック能力」が求められてきます。ただこの調査によれば、特に若い世代で「コメント内容」や「いいね数」で判断されてしまっている傾向があることに懸念を覚えます。ただこれはどの世代でも気を付けるべきことですし、特にYahooニュースのコメントも非常に危うい場合があります。各自、正確な情報にたどり着くための「調査手段」を備え、情報リテラシーを養っておきたいです。
■ZIP and RAR named most prevalent malware carriers(ZIPとRARが最も一般的なマルウェア伝搬手段として選ばれた)
https://cybernews.com/news/zip-rar-malware/
【選定理由】
英語×セキュリティエンジニアを学ぶ人にとってはどちらも勉強になる記事であり、文章も短く読みやすい。launch attacks(攻撃を開始する)、masquerade(成りすます)、conceal(秘匿する)といった”ならでは”の単語が出てきますので、押さえておきたいです。