アヒルとカモは人気がなかった①
小学生の頃、わたしは飼育係だった。
うちの学校は、うさぎ、ニワトリ、アヒル、カモを飼っていて、動物のために新しく建てた飼育小屋もあった。
面倒なアヒルとカモ
わたしはアヒル・カモ(数羽が同室にいる)の小屋を担当することが多かった。
なぜなら、誰もやりたがらないからだ。
毎回うさぎやニワトリの小屋掃除をする人から決まり、アヒルとカモは人気がなかった。
誰もやりたがらない、
にはワケがある。
アヒル・カモの小屋にはプールがある。
大きな容器に水を入れているだけだ。
小屋に入ると濡れる。
プールの水の出し入れなど力仕事が多くて面倒。
うんちも水も混ざってグチャグチャ。
しかも、アヒルとカモは自由奔放だった。
さらに、見た目も体が大きめ。
つまり、うさぎやニワトリと違って、アヒルとカモはあまり可愛げがなかった。
汚い。
面倒。
しんどい。
可愛くない。
など、掃除をやりたくなくなる理由しかない。
でも、わたしにはなぜか苦にならなかった。
等身大のアヒルとカモ
掃除をするときには、プールの水も全部床に流して、ホースで小屋全体を水で濡らしてからブラシでゴシゴシとこすっていく。
毎回大がかりにやるので、掃除をする前にアヒルとカモを小屋から外に出した。
出口には少し段差がある。
体が特に大きめで重いアヒルは自分で外へ出ることができないので、飼育係が持ち上げて手伝っていた。(カモは自分で出ることができた)
掃除だけでも力仕事なのに、この作業も発生し、腰を痛める要因となる。
いろいろと手間がかかるが、それでもわたしはアヒルとカモが好きだった。
前述のとおり、小屋掃除も嫌いではなかった。
アヒルとカモのメッセージ
アヒルとカモはいつも、目の前に障害があると、まわり道をすることなく躊躇なく向かう。何度も失敗を繰り返すが、諦めずに前へ進む。
ひたむきな姿に、
自分もがんばろうと勇気をもらうのだ。
等身大で、
全力で前へ進め。
言葉は分からないけど、
そんなメッセージを果敢な行為で伝えてくれているように感じた。
そんな彼らを
好きにならずにはいられなかった。
君たちの小屋掃除ぐらいやってやるさ!
となるのだ。
つづく。
馬場香織(ばばかおり)