見出し画像

夫婦のはなし

ここ数年、父と母の仲がギクシャクしている。昨年結婚し夫婦生活2年目を迎えた娘として、ふたりを見ているのが辛くこのnoteに考えをつづろうと思う。

私の母

母は昔から家族の中心的な存在で父よりも威厳と影響力があった。そして、ここ数年家を守らねばとよりたくましく、その反動で傷つきやすくなったように感じる。

この数年、父が単身赴任のあいだ、私を含む3人の娘には様々なターニングポイントがあった。大学受験・就活・ひとり暮らし・結婚…初めての朝帰りも。

母は、自分の幸せよりも家族の幸せを本気で願っている人だ。末っ子として姉兄よりも受ける愛情が少なかったこともあり、転勤族の夫と一緒に慣れない土地で気軽に身内や友達に頼れないなか、25歳の若さで私を産み、その後も必死に家族を守ってきた。
そしてとにかく繊細で、ルールやルーティンが沢山あり、それが崩れることを何よりも嫌った(ルーティンのストイックさは凄まじく、毎日の運動やマッサージで50代とは思えない体型を維持している)。

私が朝帰りをした時は朝まで起きて待っていたし、そのあと半年以上ろくに会話できないほど怒りを抱えた(これは私も意固地になり絡みに絡まった結果ここまで壮大な喧嘩となったのだが)。いつも娘たちのことを第一に考えて25年以上生きていたと思う。

私の父

6年前から単身赴任していて以前は連休の度に帰ってきていたが、今は3ヶ月に1度ほどのペースで実家に帰ってくる。どこまでも優しい性格で、娘たちからも好かれていると思う。洋服をはじめとしたセンスはやや悪いが、お願いしたことを忠実にやり遂げる真面目さがある。(ただお願いしないとやってはくれないという難点がある。)

ふたりのこと

父は、母の行き過ぎた繊細さを分かっているようで和らげるという対策をないがしろにしてきたと私は思う。

私は母の決めたルールに納得が行かずよくケンカしたが、そのケンカを仲裁する父は「お母さんはああゆう性格だから」といつも私を諭した。今思うと、母を理解しているようで、それ以上は決して踏み込まないスタンスでいたと思う。母にこういう所を直した方が良いといったアドバイスはもちろん、自分の想いや考えも年々言わなくなった。そして、必要最低限、何がする時だけ母に恐る恐る確認をとるようになった(母のルールに沿っていないとあとでひどく機嫌を悪くさせてしまうので)。

それは、優しい性格もあると思うが、家族のことを任せている罪悪感も多少はあると思う。そして、母の絶対的な発言力と強い家族への責任感、それに反比例するように指摘・反論された時の壊れるように憔悴する姿を思うと、つい何も言えなくなることは私も理解できる。

こうして、父はただでさえ単身赴任で蚊帳の外にいるが、母とコミニュケーションをとることが酷く疲れる作業となり、家族のことを知らなくなった。自分も男兄弟で育ち、高校時代から寮生活で独立が早かったこともあり、そこまで子どもたちを気にかける必要性も元々感じていなかっただろう。

そして、母は父の言われたことは忠実にやるがそれ以外のことは何も出来ないこと・家族への無関心さに苛立つようになった。

私は、父と母の育った環境や考え方をある程度理解してきてどちらのスタンスも間違えではないし、どちらのことも正解だと思ってない。

ただ、こうした家族への熱量の違いから、母のたくましい鎧と繊細な心を育て父の家族への関心のなさにひどく傷つき、父の触れない優しさ・常に気を使わなくてはいけない状況に磨きをかけたように思う。そして、数ヶ月1度しか会わないこの関係性がよりふたりをギクシャクさせている。


妹たちが独立し父の単身赴任が終われば、ふたりきりの生活が待っている。
今のところ2人とも相手を心から憎いとは思ってないようなので離婚というワードは出ていないが、こうもギクシャクしていると娘としても居心地が悪い時があるし、母が父を嫌いになるまでは時間の問題な気もしている。父がいつ萎縮しなければならない状況にしびれを切らすかも分からない。

離婚が悪とは思わないが、何かできることはないだろうか。後悔する前に、互いの本音を聞く場を作ろうと思う。

そして、傷ついたとしても夫婦自身が向き合う必要があると思う。私が場をつくることは出来るが、向き合うのは夫婦しか出来ない。

いいなと思ったら応援しよう!