主人公には、なれなかった。
人は、その人の人生の主人公だ、とはよく言いますが、
自分は、いまのところ、自分の人生の主人公になることができていない。
学校でも、いろんなコミュニティでも、私は主人公にはなれない。
グループを仕切り、「みんな」に慕われる主人公に、なりたかった。
なにかのリーダーとか、代表とか、私だってやってみたかったけれど、どうにも私は人望がないし、そんな努力もしようとしても疲れるようになってしまって。
からっきし、リーダー、主人公、というものから手を引いた。
やっと、自分はそれに向いていないことに気づいた。
小さい頃よく絵をかいていました。小学生の頃はクラスで一番絵がうまいのは私でした。休み時間に、家族団らんの時間に、父の実家に帰省した時にだって、いつだって自由帳と鉛筆と、消しゴムが私のそばにはありました。
模写が嫌いでした。「自分の」絵じゃないから。
それは、誰かの絵で、私の絵ではないから。
中学生になって、自分より何倍も絵がうまい子に出会う。上には上がいることを知る。悔しい、悔しい、「いちばん」は私じゃない。
SNSに絵を載せ始める。
あの人より絵はうまいのに、いいねがもらえない。なんで。
私が欲しいものは承認だと気づいてからは筆を折りました。
何か/誰かの圧倒的「いちばん」が欲しい。
そうやって私を承認してくれるものに執着をしはじめる。
こんなんじゃ誰かの上に立つことなんてできないし、自分を苦しめるだけなのだけど。
人には向き不向きがあるのに、私は不向きな世界にあこがれを持ってしまった。
それに気づくまでに何度も間違える。
リーダーをやろうとしても、「副」リーダー、「副」委員長、「副」部長…
上を見て思った、私はできない。
それになってみたかった、という気持ちと、
でもそれは自分を苦しめることだ、という気持ち。
いまは気づいたし、なんでも「副」な人も、それはそれで必要なのだから。とも思っている。
「副」な主人公の生き方を、うまくするための過程なのだ、いまは。
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