昭和の香りがした働かないおじさん
45歳定年の勧めや、早期退職等で話題となることが増えた「働かないおじさん問題」。話題になる背景として、高収入の割に成果発揮していないのではないか、という論点があるのではないでしょうか。
話題の書籍「働きかないおじさん問題のトリセツ」(難波 猛さん著)「働かないおじさんが御社をダメにする」(白河 桃子 さん著)によると、“働かないおじさん”とは、企業の期待とギャップがある人や変化に抵抗する人のことで、必ずしも男性のミドルシニアだけとは限らない、とも言えます。
企業によっては、“働かないおばさん”や、“働かない若者”もいるということです。
そして、かつての「収入は高いが、会社にいるだけの窓際族」ではなく「こつこつ真面目に働いている人」が該当しているという事実にも驚かされます。こつこつ真面目…だけれど、時代の変化や企業の期待の変化に対応しなかったり、ギャップを認めようとしないということなのです。
また、それらは社会構造や企業側の問題が大きいとも言われています。突然、そのような状態になるのではなく、環境がそうせざるを得ない状況を創り出していたり、周囲も見て見ぬふりをしていたということなのです。
20年ほど前ですが、「会社にいるけれど何もしないおじさん」に出会ったことがあります。出向先の企業が合わず、次が決まるまでの待機と称して、一日中本を読んでいるのです。その背景として「勤務先が自分に合わなかったのは、その企業に行くように指示した会社の責任である」とおっしゃっていました。
若手だった私や同僚たちは、その方の姿を見るのが本当に嫌で嫌で仕方がなかったことを想い出します。これからキャリアを積んでいこうと考える若手にとっては、モチベーションを下げる要因だったからです。毎日、その方ではなく、その上司への憤りが満載でした。その方も、上司からの言葉を待っているように感じました。
日本では平均年齢が高くなり、団塊ジュニア世代が50代に入る今、ミドルシニアの活用は企業にとって優先順位が高い課題の一つです。そして、ミドルシニアの動態は若手に大きな影響を与えます。
当人だけではなく、企業にとってもこれから向き合うべき課題ですね。
チームでミドルシニア向けの組織開発も担当しています。