「ファイアー&レイン」選手権レポートと、次回のお知らせ。
去る5/28のミッドナイト・ランブル・ショーは「ファイアー&レイン選手権」をお届けしました。
ジェームス・テイラーのセカンド・アルバム「スイート・ベイビー・ジェームス」(1970年2月リリース)に収録された名曲「ファイアー&レイン」。8月にはシングル・カットされ3週連続全米3位の大ヒット。シンガー・ソングライター時代の幕開けを告げ、たくさんのミュージシャンがこぞってカバーし始めました。ご紹介していきます。
抑えておきたいのは、この曲は当時自殺してしまったJTの地元の親友、また崩壊してしまったかつてのバンド、フライング・マシーンなど、かなりドギツイ心象風景が歌われている、という点です。
1970年のカバー
リリースされたその年のうちにもうカバーがリリースされています。このスピード感は素晴らしい!どんどんやるべきですねー。
まずはブラッド・スウェット&ティアーズです。全員大卒、特にドラムのボビー・コロンビーは後にコロンビア・レコードの副社長にまで上り詰めるほどのインテリ集団だけあって、IQの高そうなジャズ・ロックに仕上がってます。原曲もなかなかの複雑なコードですが、更なるリハモナイズでJTもビックリだったんじゃないんでしょうか。
続きましてはなんとジャマイカのザ・ゲイラッズ!レゲエ創世記からのスーパースターにもこの曲の魅力が届いていたんですね〜。レゲエ・ミーツ・JT、かなり意外な組み合わせですが、ソウルフルな歌声とメロディはマッチしてますが、歌詞的にはどうなのか!?
1971年のカバー
1971年ともなると、ニューソウルのムーブメントも本格化してきます。内なる自分と向き合うソウル・ミュージック、つまりシンガー・ソングライターのムーブメントと呼応した動きなのであります。というわけで、錚々たるソウル・ミュージシャンたちも「ファイアー&レイン」を取り上げるように。
ラスト・ソウル・マンことボビー・ウーマックもその1人。こんなにサングラスに映り込んでるのは鈴木雅之かウーマックかといったところ。アルバム「Communication」ではマッスル・ショールズ録音のディープ・サザン・ソウルとして仕上げています。冒頭に牧師調の説教が挿入されているように、ゴスペルとして捉えているのかもしれませんね。
後にJT自身も、ボビー・ウーマックの「Woman's Gotta Have It」をカバーする意趣返し。
JT自身にもソウル/R&Bの要素があるが故、ニューソウル勢のカバーもしっくりくるのかもしれません。
モータウンのスター、グラディス・ナイト&ザ・ピプスのカバーも大変素晴らしいです。イントロのギターを完全再現しているのも珍しいですし、コーラスを折り重ねることで楽曲にコントラストを付けています。二番からのグラディスのテンションも最高です!
ただアイズレー・ブラザーズは指導対象でしょうか。冒頭のダブ・ミックス調は一体どういうつもりだったのか、アコギを弾けないのにこのジャケットはどういうことなのかなど、ツッコミは尽きません。
指導対象といえばイエスのリック・ウェイクマンも大分やらかしています。まあ、本来はここにボーカルが入るはずだったのがお蔵入りになり、イエスが売れたので勝手にリリースされたという情状酌量の余地はあるのですが、リチャード・クレイダーマンと間違えてるんじゃないかとさえ思ってしまいますね。
優勝候補たち
みんな大好きシェールもカバーしております。当時のシェールはレコードの売上も傾き、一方でTV番組が思わぬ形でヒットしてしまうなどキャリアの転換期でしたが、プロデューサーのスナッフ・ギャレットと組んだことで大成功。歌手としての復活作となった「シェール」(1971年リリース)に「ファイアー&レイン」が収録されています。
曲の意味や背景などを凌駕するシェールのパワー。まるで「曲が私に合わせてくれる」とでも言いたげな力強いカバーです。
そしてインターネットには音源がなく、会場でシングル盤を流したジョージィ・フェイムも大好評でした。祈・サブスク入り!
で、ラストはやっぱりこちら。
何をやってもアル・ジャロウ。めちゃくちゃ楽しそうにスキャットしてますねー。さすが元カウンセラー。圧倒的な癒し効果ですが、歌詞の内容は把握しているのか!?
まだまだたくさんの「ファイアー&レイン」カバーが存在するようなので、そのうち第二回も開催したいと思います!
次回は6/25
なかなか予定が立てにくいですが、次回のランブルは6/25の夜帯です!詳細決まり次第お伝えしますが、テーマは久々の西海岸モノです!お楽しみに!