9月のランブル増刊号「ランブル通信9月号」レポート
不定期にお送りしている「ランブル通信」。谷口と吉村の2人が、最近お気に入りの新譜や気になるレコードについてざっくばらんに語らいました。アーカイブも是非お楽しみください!
今年のアナログリイシュー、すごくない?
そう、すごいんですよ、今年は。特に、ミッドナイト・ランブル・ショーおなじみのミュージシャンたちが、続々と初アナログ化や待望のアナログ再発を繰り出しており、お財布が大変です!
我々が気になる主なリイシュー・リストです。特に10月以降のトム・ペティ、ニール・カサール、ジェームス・イハといったオルタナ・カントリー名盤勢は、オリジナル盤が高騰したりそもそもCDしか出ていなかったりと、本当に待望のアナログ再発なのです。トム・ペティは9枚組or3枚組というヘヴィな選択肢しかないようですが。
そして放送のわずか3日後には、ロン・セクスミスの名盤ファースト・アルバム初アナログ化の知らせが飛び込んできました!積年の願いがついに!
実は吉村さんとは常々「絶対にアナログ化して欲しい名盤特集」をやろうと話していたのですが、そのほとんどが今年叶ってしまい、見事企画倒れとなりそうです。嬉しい悲鳴。というわけで、この夏のナイスなアナログリイシューをいくつかご紹介。
George Jackson "In Memphis"
ご存知サザン・ソウルのソングライター。ジェイムズ・カーやキャンディ・ステイトンなど、名だたるソウル・シンガー達が彼の曲を取り上げてきました。先日ランブルレビューで紹介したオズモンズ「ワン・バッド・アップル」も彼のペンによるものです。
シンガーとしてもFame、MGM、Hiといったレーベルに十数枚のシングルを残していますが、彼の黄金期である70年代の音源がLPとしてコンパイルされるのはこれが2枚目(CDは何枚か出ています)。歌声がやや地味なゆえか、当時はシンガーとしてなかなか評価されにくかったようですが、素晴らしいシンガーソングライター作品だと思います。
さすが名門リイシュー・レーベルKENT!惜しむらくは、大名曲「Aretha, Sing One For Me」が収録されていないことですが、まだまだ未LP化のシングル盤がたくさんあるので、KENTの頑張りに期待したいところです。
Dan Penn & Spooner Oldham "Moments from this Theater"
ソウル繋がりで、この夏のアナログリイシュー大本命を!昨年のビルボードライブも大好評だったサザン・ソウルの伝説的ソングライター、ダン・ペンとその相棒スプーナー・オールダムの1999年のライブ盤が待望のアナログ化!
アナログの太い音で聴くと、より滋味深さが増して、まるで目の前で歌っているかのよう。UKの名エンジニア、BazzaことBarry Grintによるリマスタリングも素晴らしい仕事!10月にはダン・ペン久しぶりの新譜「Living on Mercy」のアナログ盤も発売予定。発売に合わせて、ランブルでも配信またはnoteにて特集できればと思います。
声、出てんな〜!御年78歳驚異の新譜、もはや年齢は関係ない!
Jack Nitzsche "Jack Nitzsche"
打って変わって西海岸より、マッドかつユニーク、唯一無二のジーニアス・アレンジャー、ジャック・ニッチェのお蔵入りソロ・アルバムがアナログ・リイシュー!
1974年にジャック・ニッチェ初のシンガーソングライター・アルバムとして制作され、その余りにドラッギーな内容からか当時のリプリーズ社長、モー・オースティンがストップをかけ、お蔵入りとなったもの。2001年にこちらも名門リイシュー・レーベルであるライノ・ハンドメイドが発掘し、通販限定でCDリリースされるも余りの人気に即廃盤に。そして2020年、まさかのアナログリイシューと相成りました。
オープニングを飾る「Lower California」の巧みさよ…かなりウェルクラフテッドかつ、ニッチェのインナースペースが投影された一枚で、キャス・マッコムズファンにも勧めたい一枚です。
Andwella/Dave Lewisまさかの再評価⁉
こちらはまだフィジカル化されていないものの、シカゴの名門リイシューレーベルであるNumero Groupより、70'sUKの天才ソングライターDave Lewisおよび彼がソングライティングとフロントマンを務めたバンドAndwella/Andwella's Dreamの諸作がデジタル・リリースされています。
Andwellaは、僕たちも「イギリスのアメリカ」特集で触れたように、イギリスのザ・バンド的扱いを受けることが多いですが、同時にソウルへの深い理解も感じます。
同時期のヴァン・モリソン(ちなみにデイブ・ルイスとは同郷で、近年も活動をともにしている模様)を想起させるメロディラインや、同じトライデント・スタジオで録られたデヴィッド・ボウイ「ジギー・スターダスト」にもかなり近い音像です。
こうして聴くとジギー・スターダストって、UKスワンプなんですよね。ロン・デイヴィスの曲もカバーしているし。
20歳そこそこのデイブ・ルイスのソングライティングも非常に素晴らしいですが、今回Numeroが取り上げた「The Songs of David Lewis」は彼がアンドウェラ在籍時、弱冠19歳のときにプロモーション用にデモとして録音したもの。
全曲素晴らしいですね…アンドウェラはおそらく彼の一部分に過ぎず、ブリル・ビルディング系からの影響も感じられます。オリジナルは僅か50枚(!)のプレス、2012年に日本でリリースされたアナログ・リイシューもすでに市場から姿を消しており、Numeroのハイセンスなコンパイルを期待する声も高まっています(主に谷口と吉村から)。
デント・メイと愉快な仲間たち
ここからは打って変わってお馴染みデント・メイ通信!何回やれば気が済むんだ⁉という感じですが、(自称)デント・メイ宣伝担当日本支部として引き続き頑張っていく次第です。
最新作「Late Checkout」のリリースライブが、さる9/3にBandcamp初のストリーミングライブとして開催されました。時差もあり、日本時間朝10時からというタフなスケジュールでしたが、ランブルメイトの中には有休を取得して観覧したというツワモノも…デント君喜ぶだろうなあ。日本からの応援の甲斐あって常時90人くらいがストリーミングに参加していました!うーん少ないぞ!
リリースパーティーも終わってしまい、ツアーも出来ないこんなご時世で盛り下がりを危惧したランブルでは、デント君周辺ミュージシャンをご紹介することにしました!
ヤバそうな人たちしかいない!デント君のスタジオ、ハネムーン・スイートを使った人たちや、彼がホストを務めたオンラインフェスの出演者を中心に選びました。今回紹介したのは上段の2人。
まずはJimmy Whispers。
最新のアー写でDAIGOばりの指ぬきグローブを着用している彼は、デント君の「Late Checkout」にて「Bless Your Heart」そしてファースト・リード・シングルでもある「I Could Use A Miracle」を共作しています。
かつてはJames Ciceroと名乗りLight Pollutionというローファイ・バンドでドラッギーに活動していたJimmy。
一念発起してクリーンになり、小さい頃のあだ名であるJimmy Whispersに改名し音楽性も一変してポップに!2015年にデビュー・アルバム「Summer in Pain」を発表、2019年10月にはWoodsのJarvis Taveniereプロデュースのもと、新曲「Your Car」を発表。これがネオアコ的、スコットランド風味ありで最高なんです!
こちらはMVも本人制作、「昨今のMVはちょっとした映像を組み合わせてるだけでストーリーが無い、ストーリーを取り戻すためにこれを撮ったんだ」という言葉通り、3:00〜のクライマックスシーンにご注目ください!
現在制作中のアルバムもかなり楽しみなJimmy Whispers、ランブルでも引き続き注目していきたいと思います。
続きまして、アー写からしてすでに異彩を放ちまくっているJoey Joey Michaels。
デント・メイやポール・チェリーのバックで鍵盤を弾いているSSWです。最高のミュージック・ビデオを是非ご覧ください。
当曲はデント・メイが共作とプロデュースを手掛けているのですが、まったくと言っていいほど話題になっておらず…(その割にYouTubeコメント欄は盛り上がっているのですが)まずは下ネタ連発のTwitterをどうにかしたほうが?
最近はA.M.Sonとのデュオ・ユニットを結成。ビージーズやアレッシー的な胸キュンサウンドです!
ステイ・ホーム・ライブ映像も最高。キワモノすぎる!
受け止めきれません。吉村さんからの続報をお待ち下さい。
次回のミッドナイト・ランブル・ショー
9/25(金)「ウェルクラフテッド・ポップスvol.2」ELO以来の回跨ぎ特集!前回大盛り上がりのウェルクラフテッド・ポップス、9月は90年代以降、ジェリーフィッシュからジョン・ブライオン、デント・メイまで!
ミッドナイト・ランブル・ショー#56
「ウェルクラフテッド・ポップスvol.2」
2020/7/30(木)
20:00スタート
ご予約ページはこちら
YoutubeLive で配信も行います
試聴室、現在15名までの制限中ですが、ミッドナイト・ランブル・ショーはまだまだご入場いただけます!大きな音でアナログを聴きたい方、是非ご予約の上お越しくださいませ!