アフターコロナのおひとり様と猫
コロナ禍でペットを飼い始めたお一人様が多いらしい。アフターコロナ禍でもその傾向は変わらずのようだ。
クロスマーケティングから発表された調査レポート(【ペットに関する調査(2021年)】)によると、お一人様に限定されないが調査データだが「在ペットを飼っている人は26.6%。そのうち昨年の第1回緊急事態宣言後にペットを迎えた人は19.8%」という数字だそう。どれだけの人がコロナ禍で癒しを求めてペットを飼い始めたのかよく分かる調査結果だ。
ペットを飼い始めた理由は、色々だろうが、多くは「癒し」「一人でいるのに気が紛れる」「生活のリズムを正してくれる」というのが主なものだ。
私自身は、子供時代からずっと猫がいる家庭で育ったので、ずっと猫を飼いたかったがなかなか手が出せず、コロナ禍でも指を加えて猫の動画を見て過ごしていて、アフターコロナになって、ようやく偶然出会った子猫をお出迎えできた口だ。
お一人様でペットを飼う場合に色々な障壁がある。例えば、「旅行が難しい」「仕事がある人は昼間お留守番させることになる(かわいそう・迷惑にならないか不安等)」「年齢的な制限(飼い主が死んだらどうなる的な)」などが主なものだろうか。コロナが発生してから、「飼い主がコロナに感染したらペットの世話をどうするの?」というのもあるようだ(実際にそんな体験記もネットにはたくさんあるが、なかなか預かってもらえない)。
こういう障壁を超えて「今なら飼えるかも」と思ったのは、世間的にリモートワークが許容されるようになってきて、完全リモートも場合によっては職場・職種を選べば可能だし、ペット可のマンションもコロナのお陰でグッと増えてきているからだ(とはいうものの、まだまだペット可のマンションの獲得競争は厳しい)。賃貸マンションの値段も一人暮らしに適した価格帯から広さ、設備なども考慮されているものなども増えたように思う。
私の場合、ペットは猫と決めていたので物件探しからかなり苦労した。犬は可でも「猫はだめ」という物件が多く、よい物件が出てくると奪い合いになると言われて、物件探しだけでも1年半かかった。ようやく物件を確保して、やっと猫探しだがこれも1年以上かかった。
猫ならなんでも良いわけではなく、結婚相手ではないが、家族に迎える猫だから相性良さそうか、一人ものでも生活に困らなそうか、など色々考えながらペットショップを眺める日々。
ようやく、お気に入りになりそうな子を見つけて何度か足を運んで「相性が合いそうか、慣れてくれそうか」様子を見て、やっとめでたくお迎えに。
「たかがペット」と思う人もいるかも知れないが、本人には大事(おおごと)である。
「ペットを買う」
ペットを飼うのに「買う」という行為をしたのは今回が初めて。これまでは家になんとなく居着いた子猫を家猫として飼っていたので、お金を払って商品として「ペット」を購入する、という手続きは個人的には初体験だった。
今のペットショップには、色々な支援体制が整っていて驚いた。初月の健康診断無料サービス、保険、餌の定期購入セット、飼うのに必要なキットのパック(ゲージ、おトイレ関係、水飲み、餌器、他)、近くの獣医さんも紹介してくれるし、何でも一応一通り揃っていて、初めてペットを飼う人でも安心して飼い始めらるような仕組みが出来ていて驚いた。
ちょっとビクッとしたのは、「「購入後1ヶ月以内に重篤な病気などが見つかった場合」などに子猫の引き換えができます」的な話。確かに商品なのだが「これ生き物」なので「替える」という感覚が私にはちょっと何となく気持ち的に合わなくて違和感というか罪悪感というか、何となく変な感覚を持った。
特にペット保険の仕組みとサービスの充実ぶりにはかなり驚かされた。健康診断サービス、ペットの健康保険証、アプリでのサポート、LINEでのQA、などなどとにかく手厚い。診療費の負担は50%または70%など割合によって金額が違ったり、各社によってサービスの差別化はあるのだろうが人間の保険サービスに遜色ないかもくらいの充実ぶり。
実際、子猫なのでまだ体も弱いので獣医さんのお世話になることがあり、初期の子猫向けの保証サービスで医療費が賄えて助かることに。
「一匹と暮らし始める」
さて、子猫をお出迎えして最初の日は、ドキドキの一晩だ。慣れてくれるか、ゲージの中で大人しく寝てくれるか、おトイレはしてくれるか、餌は食べるか、水は飲むか」ととりあえずチェック項目を一つ一つ確認(苦笑)。
「小はしたけど大はまだ・・・」みたいなクダラナイ会話をLINEで家族とすること一週間。やっと「慣れてきたかなー」と子猫をなでなでしながら、家族には初めての子供ができた「新米ママ状態」と笑われながらの一日一日。
子猫が来てからというもの、生活のリズムは子猫に合わせたものになり、一定の時間に水と餌を与え、トイレを片付けて健康チェック。
子猫だから走り回るので寝かせるのも最初は一苦労。2週間ぐらい経って、ようやく落ち着き「眠り猫」状態の姿も増えてきて、新米ママとしては一安心(子猫は睡眠時間を一日18時間とる必要があるらしい)。
一日一日、子猫は慣れてきて、擦り寄ってきたり、にゃーと鳴いたり、じゃれついてきたり、グルグル鳴いたり、そのうちに人の体をふみふみし始めたり、と2週間ぐらいかけて子猫と関係を少しづつ築いていく。
猫にも個性があるから、その子によって人との距離感や愛情の表し方、家族の位置付けの認識の仕方、行動パターンなどが異なる。子猫を観察しながら、「この子はどんな子かな?」「どうしつけしながら付き合っていけばいいかな?」「どういうことが得意なのかな?」と考えて過ごすのは、「お一人様ライフ」にはない刺激だった。ぼーっと一人でする時間は少なくなったが、その分、子猫と一緒にいてあれこれ考えたり、どう行動するか試してみて楽しんだり、猫の健康・しつけなどをググって調べたり、生活にハリと刺激が生まれる。
さらに「アホ」「ドジ」なこともやらかすのが「笑い」にもなるし、「ゆる〜い気分」「癒し」になる。「全くおバカさんね〜」ってやつです。
個人的には「ペットを飼う」というよりは「一匹と暮らす」という感覚。だから「一匹と暮らし始める」と最初に小題を付けてみた。
「一匹と暮らしをデザインする」
子猫が迎えたら、まず部屋の模様替えが始まった。子猫の行動の特性を観察しながら、入って欲しくないところを塞ぎ、遊べるゆとりと空間を用意し、どんなところが好きか見ながらあちこち替えていく。
子猫は子猫で部屋を探索しまくり、擦りつきまくり、潜れるところは潜りまくりの、知らないものは噛みまくり、と子猫ながらにこの部屋でどう遊ぶか生活するかを何となく模索しているようだ。
それを見ながら、どう暮らしやすく、なおかつ安全に暮らしてもらえるようにするか、新米ママのお仕事になる。これも当面続きそうだ。
子猫と一緒でも清潔に保つために工夫も必要だし、子猫が嫌いなものや苦手なもの(匂いものなど)にも注意をしなくてはいけない。
子猫の成長ぶりと行動が活発になるにつれて、遊びも変わる。遊びが変われば部屋のデザインも替えなければと、レイアウトをあれこれ考えるのも暮らしの楽しみの一つになってくる。
「一匹と世界を見はじめる」
子猫を飼いたいと強く思ったのは、猫と一緒に世界旅行をした人のエッセイを読んだことだ。「旅行をしたい、でも猫も欲しい、どうしたものか」と思っていたところに「猫と一緒に世界旅行をした強者がいた」という話は勇気の出る話だった。
参考図書:『黒猫ノロと世界を旅した20年』平松謙三
拾われた子猫を偶然預かって育てることになった猫嫌いな男とその黒猫と世界37カ国を旅した20年間のフォトエッセイ。黒猫好きにはフォトもおすすめです(黒猫がなかなか可愛い)。
将来、この子猫と一緒に世界旅行に出る、が小さな夢になる。とりあえず、まずは旅行というより、近所の獣医さんまでの道のりからのスタートだが。「周りの音や人に慣れてくれて、動じない子でビビりにならないように」とか生活の中で何となく気に掛ける。
実際にはお出迎えして2週間の子猫にはハーネスをつけるところから苦戦中なので、世界旅行はまだまだ先の話だ。
色々ネットで調べてみると海外の方が猫におおらからしい。ホテルとかでも「猫可」というところあるようだ。日本ではまだまだ少ないようだ。ネット検索で、将来、猫と一緒に泊まれるところはないかと探し始める。
「猫と一緒の旅」の情報サイトが意外に少ないことも気がついたのも、猫を飼い始めてのことだ。猫可のカフェも意外に少ない(ペット可とあるが大体は犬であることが多い)。ペット界での猫の立場は犬に比べるとまだまだ弱いと見える。
猫を飼うことで、猫の立場、猫を飼っている人の立場で世界を見る、知る、という機会が増えることで今までと違った視点で「世界」を見るようになったのも「一匹と暮らし始めた」ことで変わったことだ。
「おひとり様の猫ライフ」について考える
ということで、おひとり様の猫ライフとそれに絡んだ色々なことについて、合わせて個人的な猫ライフで思ったこと・気づいたことを少しづつノートしてみたいと思う。
次回は、「ペットテック」について少し調べたものをノートしたいと思う。