男性ブランコのコントライブ「やってみたいことがあるのだけれど」個々の感想
単独ライブを観る数週間前から、何となく気持ちが落ち込んでいた。しかしこのライブを観劇してからは心が軽くなって今なんとか楽しめてる、嘘みたいに。このライブがこんなにも精神状態を変えてくれるなんて思っていなかった。
言いたいことは前回の記事で大体書いたので、ここからは配信を観た上で改めて、コント一つ一つに着目していきたい。
【観光案内】
振り返ると伏線がたくさん。
「僕りょうたと言います」と名字言わない、「ファーストなんとか聞きたくない」息子だしそりゃそうだよね、思い詰めた顔をしていたこと、など。「りょうたと言います」のとき名字言わない違和感を感じなかったのは、"だからRの服着てたのか!"に頭が持ってかれたからだと考えられる。
自分のせいで親が音楽を辞めたんじゃないかと思い詰めていたみたい。
「自分で考え抜いた結論を、子供のせいにする親なんていない」
【音楽家】
寿命と引き換えにギターの技術が欲しい。
「25年…?………15!」と交渉を始める音楽家、笑った。"寿命を値切る"構図が面白すぎる。
カムバックキャンペーンとかないの?卸しを通さず直接とかないかな…とゴネる音楽家に、「25年ダヨ!!!」と痺れを切らす悪魔が可愛すぎた。それまで威厳のある口調だったのは、悪魔っぽいキャラになりきってたからなの!?と思ったら、カワ〜〜
しまいには、生活大変なの!と言い出し「大きいネコ飼いたいのー!」そんなキュートな悪魔がいたら私なら、寿命差し出しちゃいそうになる…笑
「毎年税寿命を納めなければ、全てなかったことになる。こうして存在していたことも。この世界では一番重い罰。」「寿命差し出さないでさ、少しでも長くその面白い楽しいした方がいいんじゃないの?」
つい高望みしそうになるけど、今でいいよと言われた気がした。
【おっちゃん】
何と言っても、リバーシブルの衣装を裏返して着ることで回想シーンを演じるという発想とそれを可能にする演技力。幼少期の回想シーンと現在のシーンを繋ぐのは、しゃがみ込むかっちゃんの「ムリや…ムリや…」
せいちゃんは、昔からムリや…が口癖のかっちゃんを置いてあの世へは行けなかったんだろうな、わたこさんと結ばれたことで安心して成仏できたみたい。
か「今これどういう感じ?」
せ「なんでわからへんねーん!」
のところ笑った。全然理解できてなかった…笑
ちょっと天然で、だけどその分優しい。天然すぎて自分の優しさに気付いていない、無意識に人に優しくできる人。回想シーンのエピソードが全部温かくて素敵だったな〜
それにしても、わたこさんへのプロポーズが面白すぎて爆笑しました。うん、言いたいことはわかるし一見それっぽいんだけど…いや全然違う!笑
【研究者】
「コーヒーゼリーから100%コーヒーを抽出した先に純粋なゼリーが待ってる、ただ透明なゼリーを作るのじゃダメ。」
「世の中不思議なことばかりじゃないか、複雑に絡み合ってるものばかり。だから純粋なものに憧れるんだ。」
何を言ってるんだと思う人もいたかもしれないけど、私は、いいなぁと思った。ちょっとだけ、いやかなりわかるなぁと思った。純粋な透明ゼリーに憧れの気持ちを持った。
なぜこんなことしてるかわからない!と言うクボくんに傾聴する博士、「どうしたのー?そうか、わかるよー!」傾聴が度を超え、矛盾してしまう博士。笑
はっはっえっ!、、、やめそう!!!
のところは、浦井さんの本当に辞めそうな表情が上手すぎて笑っちゃいました。
「猿芝居は終わりです、博士」
から急展開を迎えるこの場面、アツー!
前にも書いたが、狂気性のあるコント好きなのです。
人間の感情から恐怖心を抽出し、完璧な兵士を作る。実験台が必要だ。
クボくんに襲われる博士がちゅうしゅっちゃんの声をアテレコしたくだりが一番笑ったかも。
ちゅうしゅっちゃん暴走、クボくんに注入されてしまう。ずーっと笑顔のクボくんの不気味さよ。でも博士、クボくんの様子がおかしいことには触れない。本当に気付いてないか、気付かないフリをしてたのか。真意は定かでないし、黒を抽出した結果どうなったのかコントの中で言葉に表されることはなかったけど、浦井さんの表情が全てを物語っていた。
博士「これで君は純粋な人間になれたんだー、良かったね〜めでたしめでたし!」
めでたしという言葉に反し、なんだろうこの後味悪い感じ!ここの対比が気持ち悪くて最高。
冒頭で透明ゼリーに憧れた私だったが、透明ゼリーいやだ、コーヒーゼリーとして生きていきたい、と強く思った。このコントでは恐怖心と明言されてしまっていたが、人間の感情の黒は様々、劣等感とか不安とかのネガティブな気持ち、大事なんだ、と強く認識させられた。
【絵描き】
汚名を〜、おっしゃれっにっ着こなす〜♪
濡れ汚名はちょっとに〜おうっ♪
困難を歌い飛ばす!笑
濡れ衣のことをびしょ布と呼んでいたサーさんを少し思い出した(てんどん記に取り憑かれし女)
「外側の部分はどうだっていい。大事なのは、お前が今ここにあるということだ。」
世間の目や体裁を気にせず、"自分が本当にやりたいこと、今ここにいること"だけを見ている絵描きさん、強くてかっこいい。なかなかこんな風にはなれないだろうなぁ…
「良かったな。これでお前は自由だ。やりたいこと、なんだってできるな。」
正式な後継者では無くなってしまったけど、その分本当にやりたいことができるようになったってことか。
こういう、見方を変えて状況を前向きに捉える考え方をしていけたらなと思うし、そういう人に側にいてほしいし、自分も誰かにそういうこと言えたらいいな。
【エピローグ】
記憶を着ることができる服がある服屋さん
最後に浦井さんが漫才ジャケットを着て、「何してんの!なんやこの服〜!お客さんもう来てるから!」のとき。生で観劇していて、左右の空間が真ん中でパカっと割れてるように感じた。左と右の空間のズレ、変な違和感。左にいるのは浦井さんで、右にいるのは服屋さんだった、、心底凄いと思った。
*
正直なところ、横浜での配信より京都で観た時の方が満足感があった。そりゃ京都では生の舞台を観たのだから当たり前だけど、それだけじゃない。
数回の公演を経て、所々言い回しを変えたりして確実に面白さが進化してた。同じ内容でも、アプローチを少し変えるだけで受ける印象が変わるのが面白い。
もっと良いものを、というお二人の想いが表れているように感じた。
このように長々と感想を書きたくなってしまうほど、本当に素敵なコントを魅せてくれる男性ブランコのお二人。
まとめると、とにかく、男性ブランコのコントが大好きです。これからもずっと!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?