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サラちゃんへの妄想
この絵を描いていた時の妄想。天国があったらいいな的な。サラちゃんの口調とか全然わからんからそこは許して。
「」
殴られた。そう、私はそれで死んだのだ。
暖かな花の香りで目を開ける。一面の花々。死んでいると自覚出来ているからこそ、ここはあの世だと思う。まるで絵本のような、理想的な天国。温い風が頬を掠めていった。
ナツキとヒカルはどうなったんだろう。不安になる。私のように殴られたのか、上手くやり過ごしたのか。生きていればそれでいい。そんな風に思った。まだこちら側に来てほしくない。
この花畑の先には何があるのだろう。見渡す限りは花しかないけれど、他に何かあるのか。ここから動くべきなのか。いや、辞めておこう。花畑に腰を下ろして思う。もう少しこの空気を感じていたい。しばらく忘れていた懐かしさに。
柔らかい花と空気に包まれながら、さざ波のような時間を過ごした。短い人生だったな、まあでもしょうがないよな。あんな感じだったし。
「あーあ」
腕を広げて、空を見上げる。ミルクでフィルターをかけたようなマイルドな夕日。孤独感を感じさせない空の色に少し苛立ちをぶつけながら、2人を待つ。現実の時間の進みなんてわからないが、待てばいつか2人が来るような気がした。死んでほしくはない、と思いつつもまた2人には会いたい。
雲の流れを何千回か数え終えた時、懐かしさと温みの充満したこの空間に、ふと、ひやりとした感触を感じた。花達がザワザワ首を振っている。思わず立ち上がる。突風が吹き、花びらが舞い立った。それを目で追う。変化が訪れそうな気がした。
「サラ」
呼ばれて振り返る。ああー
サラは微笑む。寂しいような、嬉しいような。
声に向かってサラは走り出した。
終