見出し画像

<むすめ×わたし>コラボ*ラボ⑧「思春期、ゆれうごく、ゆりもどす」

むすめは、凹んでいた。
弱り目に、たたり目で発熱ダウン。

わたしも、凹んでいた。
ストレスのために腰痛、膝痛、胃痛。

理由は、それぞれ。

むすめは、中1の時から自分を否定され信用できなくなっていた担任兼部活の顧問が、今年こそ異動と思っていたら…残留。これで3年連続、担任兼顧問決定。中学最後の年こそ、青春を挽回しようと張り切っていたので、がっくり。

わたしは、PTA活動で反りの合わなかったある学校管理職が、今年定年のはずが再任用で…残留。今年こそ、ことごとく廃止にされた学校の伝統行事を復活させようと張り切っていたので、がっくり。

やられた、このままではいけない…。

わたしは、なんとか立ち上がった。
でも、むすめはナメクジのようになってしまった。

わたし:「いつまでも、落ち込んでても仕方ないし、気持ち切り替えていこうや。」

むすめ:「なんもやるき起こらん~。どうせがんばっても、あれこれいちゃもんつけてくるし。先生、言葉通じんき。」

娘の中学校は公立の中高一貫教育校なので、高校受験がほぼエスカレーター式。成績は、あまり気にしなくても大丈夫。万一、担任の機嫌を損ねて内申をどん底まで下げられたとしても、あまりさしさわりがない。娘はそのことは十分わかっているはずだった。

でも、どうしても、毎日ちょっとしたかかわりの中でことごとく自分を否定してかかるその先生の事を思うだけで、怒りで心が消耗してしまっていた。

むすめは、ナメクジを通り越して、どんどん夜更かしになり、話し方もすねたげになってきていた。そして、部活をやめると言い出した。あと2か月で引退。その前に大きな大会が3つあるというのに。今は、春休み中だけど、新学期が始まったら学校に行きたくないと言い始めるかもしれない。

小5の時に、いじめに対してきぜんと立ち向かった人間とは全く別人のようだった。


さて、どうしたものか。


ちょうど最近、町立図書室で借りた本が、意外にもたくさんのヒントをくれた。アニメと臨床心理学の関連で、ジブリについて詳しく知りたいとおもって借りた本だったけれど、ジブリ作品を細かく考察しながら、実は思春期の微妙な心を詳しく解きほぐしてくれている名著だった。

ジブリだけでなく、手塚治虫原作の「海のトリトン」も、引用されていたが、まさにむすめは思春期の心の「揺れ動き」と「揺り戻し」の中をさまよっている状態で、正常に成長している証といってもいい状態だった。

ちょっと、安心した。


大人の世界のみにくさ、理不尽さが明らかに見えてくる年ごろ。

許せないけど、頭から見下されて、子どもゆえになすすべもなく、自己嫌悪と他己嫌悪、自己肯定感と他己肯定感のあいだで揺れ動き、「信じたい」「信じられない」を行ったり来たり、揺り戻し。大人の汚さも見ながら良さを受け入れられるまで、成長痛に似た心の痛みと戦わなければならない。

泥の中にいてなお、光に向かって伸びて行こうとしているのだ。

かんたんに元気になれるようなものではない。

けれど、長い戦いに備えて脳みそにたっぷりブドウ糖を供給する必要がある。女子の「戦飯(いくさめし)」はこれに限る。ケーキとチョコの最強のタッグ。

私の、凹みはと言うと…大人の社会で自分が上位にいると錯覚している人たちとの戦い。上から目線の小物たちを、高い台の上から引きずりおろす戦い。

人間は、変わる。

いい人だったのになぁ…という人も、場合によっては、たった一秒で変わる。

そうなってしまった人を戻すのは、まず不可能といってもいい。

問題は自分なのだ。その人の過去の良さにすがって、自分の貴重な時間、残された人生を消耗することは許されない。人生は短いのだ。

バカな奴は、さっさと切り捨てて次へ行く。

むすめよ。しばらく泥の中から、母の戦いぶりを見ていなさい。


あ~でも、きっとむすめにはバレてる。もっと要領よくやってるお母さんたちはいっぱいいるのに、わざわざ、困難に向かって突進していくバカ母のこと。

むすめ:「不器用なのは、お母さんの方じゃね?」

ナメクジむすめが元気になったら、そんな憎まれ口もたたいてくるだろう。

ゆっくりジタバタしたらいいよ。あんたには時間があるけど、お母さんにはないんだわ。

メソメソ布団にもぐりんでると思ったら、こそっとスマホでおそ松さんみて笑いをこらえてふるえてるだけだった。


むすめはどんな時も、とことんオタクだった。


こりゃ、心配いらないわ(笑)





「なんにもない」があるところ

高知県本山町の

とあるオタクおやこの、春のひとコマ。


ではまた。

いいなと思ったら応援しよう!