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9月に読んだ本

「読んでばっか」

江國さんの言葉には無駄がないので、寝る前に読むのにピッタリだと思う。

内容を知るというよりも、風景を眺める。そんな感覚に近かった。

今回この本を読んで思ったのが、私って描写が綺麗な文章が好きだなぁと。

江國香織さん、小手鞠るいさん、川上弘美さん

今パッと思い浮かんだこのお三方も、描写が綺麗。そういう文章って、読むだけで風景を眺めているような、そんな感覚になる。

昔は今よりもっと「感覚」で読んでいたので、風景が見えない、自分が上手くイメージができないと読めなかった。

年齢と共に読める本が増えたのは、きっと自分の経験値も関係すると思う。

読むだけじゃ分からないことって、いっぱいあるなと気付き始めたこの頃。
長い目で見たら、まだまだ足りないかもしれないけど、それなりに経験をして見えてきたことも多い。

まだ何も知らないで読むのと、何かしら経験して知った状態で読むのとでは、体への入り方が違う気がする。

10代の頃には、きっとこの面白さは分からなかっただろうな。

「ツユクサナツコの一生」

いわた書店さんの一万円選書で出会った本。
(一万円選書についてはまた改めて書く予定です)

益田ミリさんは20才の頃から好きで、今までたくさん読んできた。

その中でもこの作品は今までにない展開で、何を書いてもネタバレになりそうなので、一度読んでもらいたい。

読み終えて思ったのが、これは手塚治虫文化賞短編賞をされるよと。偉そうかもしれないけど、納得できる作品だった。

この本が出たとき、文庫化されてから買おうかと思ってたけど、これは単行本で読んだ方が良い。読み終えて、改めてこのタイトルを見たとき、本の装丁を見たときの気持ちは、やっぱ単行本でないと味わえないと思う。

これはどの年代にも響く「なにか」がある本だなぁと思う。

「それでも食べて生きてゆく 東京の台所」

いわた書店さんの一万円選書で出会った本。

全然知らなかったけど、帯にあるようにメディアで紹介されて話題の本らしい。
ウチの母もこれ見たときに「知ってる〜」って反応で、私より母の方が興味深々だった。

キッチンではなく、台所というのが、生活のにおいがして好きだな。

住宅に関わる仕事をしていて、完成した形はたくさん見てきたけど、その先にある生活をみることは中々ないので、それがこの本でたくさん見られて面白かった。

一つ一つのエピソードが印象深くて、読み終えるたびに「あぁこれはフィクションではなくて、現実にあった話なんだ」と思い出していた。

フィクション、ノンフィクションってあるけど、その境目ってどこにあるんだろうか。

今まで自分で本を買うときは、なんとなく頭の中で分けて考えて選んでいて、ここ数年エッセイを中心に読んでいたのは、フィクションの面白さを素直に楽しめなくなっていたから。

というか、エッセイとかノンフィクションの方が身近だけど知らない世界が広がっていて、それが楽しいなと思っていた。

この本読んで思ったのが、自分で変に分けて考えなくても良いのかな?ということ。

フィクションであれ、ノンフィクションであれ、描かれているのは「人が生きている姿」で、本を通してそれを経験していくのも大切なんじゃないかな。

変に構えなくても、枠を自分で決めなくても、パッと思いついて気になったことをやっていくのも有りかも?と思った。

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