死刑にいたる病
死刑にいたるやうな大罪を犯すことはできまいがやがて確実に死ぬ、だれがいつ死ぬかだれにもわからない、もう目覚めないかもしれないと思って寝る、生きてるのか死んでるのが分からず夢を見る、朝起きてまだ生きてたかと安堵とも失望ともつかぬ半端な気持ちで新たな一日を始めたくはないが始める、とにかくそういった生と死のあいだでのそのそと息をしてゐる中での夜明けの一本だ
殺人をめぐるドラマを遭遇したするたび、リアリティについて考えてしまう
誰かを精神的にいたく傷つけて半殺しにしてしまっていることがあるかもしれないが、少なくとも殺人を犯したことはない
経験がないなりに想像力を駆使して、こんなヤツはいない、こんなことはしないと思ってしまい、物語に集中できなくなる
つくった人々に対する冒瀆だとわかっていても、ネチネチとツッコミを入れずにはいられない
あれもちがう、これもちがうと首を傾げ、大量殺人の謎を通じて親子とか血のつながりを描こうとしているのかなと意図を考えているうちに終劇となった
心ないシリアルキラーは自分のほうかもしれない