三十年目の極/ごく私的松本サリン事件
ほぼ毎週帰省する日常が続く
この日はほとんど利用したことのない実家最寄駅から帰京した
はからずも松本サリン事件から三十年目だという
中野や高円寺の駅前で歌ったり踊ったりアストラル音楽と称するノイズを流していた漫画チックな一団がかほどに大暴走するとは予想だにしなかった
サブカル的な興味で教団経営のラーメン屋に行った自分は、大衆迎合的に彼らを評価してみせた学者や評論家以下の愚昧な人間であったと思う
事件の発端となった食品工場予定地は実家と目と鼻の先、同じ共同体の一軒が騙されて売ってしまったのだと聞いた
事件現場は妻の実家からほど近く、生後4ヶ月の乳児を連れて里帰り中で、風向きが違っていたら犠牲になっていたかもしれない
マクロには無縁で、ミクロには何とも名状し難い、事件というにはあまりにも大規模な、すなわち某重大テロであった
首謀者はある種の天才、鬼才にして、ボタンのかけ違いがなければ塀の上をギリギリ歩き続ける成功者になっていたかもしれないし、どれだけ上昇志向が強くとも想定外の自分に到達したのだと思う
選挙で惨敗を喫したことが一大転機とされるが、そこに至る自己評価、自画像が腑に落ちず、何が彼をさうさせたのかいまだによくわからない
風土、境遇、資質、努力、妄想などなど、紛れもなく類い稀な人格をつくり上げる要素を考察し続けねばならない
※写真はあまり関係ありません