スミコ22〜あのころの私からあのころの私へ
二十二歳のころ何をしていたかなど覚えていてたまるかという年月が経ち、当時の属性は記憶していても、何をしていたのかしていなかったのか思い出すには関係者に尋ねねばならぬほどだが、ほぼすべて交流が途絶えてしまい、もはや検証する術がない
あることをぼんやりと目指してはいたが、目指し始めた時点で叶うとは思っておらず、本気で目指していると口走りながら、そのための努力すら放棄していた
実は一人、きわめて有力な証人がいるけれども、下手に突くのは藪蛇というもので、とても恐ろしくて訊けたものではない
私にとって若さとはすなわち疾しさであり、挫けたりいじけたりひねくれたり妬んだりといった病葉である
この作品の主人公に対しても、ねーちゃん何がそんなに楽しいねんという怪訝な思いばかりであった
だがしかし、感じたことを口にせずにはいられないあどけなさ、他者への悪意のなさ、ひいては自分を恃む育ちのよさは大いなる美徳にして、類い稀なる天真爛漫ぶりを少しだけ分けてほしいとあのころの私が願った
ついでに言えば、あのころの私は映画の道を目指していた
もっとちゃんと本気で目指せばよかった、わき目も振らずに書いたり撮ったりすべきであった
それをしなかったから現在の私がある
若い人たちに感謝される先達になるにはどうしたらよいかいつも考えているのだが、もはやあまり時間がない
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