「役不足です」って使い方、合ってますか?
社会人になって仕事をしていれば、誰かが助けてくれるとしても自分の思っている力量よりも大きな仕事を任されることがあります。
そんな時、「私には役不足ですが…」と謙遜の意味で使っていませんか?
実はこの使い方、間違えています!
今回はなぜ間違えているのか、どう言い換えるのが良いのかご説明していきます。
「役不足」って?
「役不足」という言葉は、例えば「与えられた仕事が大役ですけど頑張ります」というように、謙遜をしたいときに使われます。
役不足って聞くと、確かに謙遜の意味に見えなくもないですよね。
では、使われるようになった背景や本当の意味をみていきましょう。
「役不足」の本当の意味
役不足を辞書で引くと次のように書かれています。
1.俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと
2.力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。
(引用:goo辞書)
本来の意味は「自分にはふさわしくない」「もっといい役がもらえる力量があるはず」という意味です。
「私には役不足ですが頑張ります」と上司へ伝えた場合は、「私はもっと仕事ができるけどその仕事やりますね」という意味になることがわかります。
謙遜したつもりが不満を口にしていたことになり、意味を正しく知っている上司に対して使っていた場合には印象は最悪です。
「力不足」の誤用
正確にどうして使われるようになったのかは、定かではありません。
ただ、一番有力な理由としては「力不足」と間違えて使用していることが挙げられます。
“力不足”の意味は「与えられた役目を果たすだけの力量がないこと」と辞書にのっています。(引用:goo辞書)
先ほどの文章を力不足に変えてみると、「私には力不足ですが頑張ります」となり「私には大役ですが精一杯仕事と向き合います」という意味になり、謙遜している文章に変わりました。
1文字違うだけで大きく変わった文章になります。
この「力不足」の誤用であると言われても納得がいく理由ではないでしょうか。
似た意味の単語ってあるの?
ではビジネスシーンなどの自分にとって大事な場面で失敗しないために、役不足と力不足の似た言葉を紹介します。
一緒に覚えることで、どっちが正しいのかわからなくなることを防ぎましょう。
役不足に似た言葉
まず、「自分の能力よりも低い」を意味する役不足に似た言葉を紹介します。
・朝飯前
1.朝食をとる前
2.朝食をとる前のわずかな時間でできるような、たやすいこと。また、そのさま。
「朝食を食べるほどのわずかな時間で」とする説もある。
(引用:goo辞書)
朝飯前という言葉を聞いたことがありますか?
「こんな仕事は朝飯前だ!」と簡単な仕事を引き受ける際に使います。
・不満
もの足りなく、満足しないこと。また、そのさまやそう思う気持ち。不満足。
(引用:goo辞書)
「不満」という単語を使う人は多いのではないでしょうか。
「仕事(事柄)に対して不満がある」といった使い方をします。
・不服
納得がいかず、不満に思うこと。また、そのさま。不満足。
(引用:goo辞書)
不満と少し似ている単語です。
「この判決は不服だ」「不服な顔をする」といった例文が作れます。
力不足に似た言葉
では次に「実力不足」「能力不足」といった意味がある力不足について似た言葉を紹介します。
・未熟
1.果実・作物などがまだ十分に熟していないこと。た、そのさま。
2.学問や技術などの経験・修練がまだ十分でないこと。また、そのさま。
(引用:goo辞書)
今回の場合は2の意味で用います。
「まだまだ未熟なので精進します」といった形で使うことがあるのではないでしょうか。
・荷が重い
力量にくらべて、負担や責任が大き過ぎる。
(引用:goo辞書)
こちらは与えられた仕事を辞退する場合などに用いることができます。
「せっかくの機会ですが、私には荷が重いです」といった文章で、仕事を辞退したことがある人もいるのではないでしょうか。
意味を理解して日本語を使おう!
今回は、誤って使用していることの多い「役不足」について見ていきました。
反対の意味で利用していた人も多かったのではないでしょうか。
ぜひこれを機に本当の意味で利用しているか自信のない単語を調べなおしてみてはいかがでしょうか。