【#06】人間の思考のルールを応用する
デザインしたチラシを手にした人に取ってほしい「行動」は、ズバリ「申し込み」。
行動は、こんな順番で起こるものです。
「何か思ったり考えたりする」 → 「それに見合う行動を選ぶ」
意識していないところでもこれが起こっているので、「思考」が行動の鍵となります。
何かしてほしい行動がある時は、
・その行動が選択肢に含まれる考えを持ってもらうこと
・その思考の流れを邪魔しないこと
この二つがポイント。
デザインの場合には、申し込みのしやすさの全てをエスコート、サポートするには、と考えることがその鍵を握ります。
結果として、もし同じデザインであったとしても、申し込みしてもらえるように選択肢を制限し、思考を誘導・コントロールするというアプローチでは決してありません。
「興味がある」「申し込みたい」というお客様の気持ちを邪魔しない、という視点。
その行動をするときに、何が当たり前か?と、情報の整理整頓〜受け取ってもらう優先順位〜を考えることがポイントになってきます。
さて、チラシを見て取ってほしい行動が「申し込み」だとしたら、申し込み先はチラシのどこに入れるのが適当でしょうか?
申し込み先情報を配置すべきスペースは、画面の一番下のエリア。
前回お伝えした、人の視線は大きくZ型に紙面を移動するというルールを当てはめると、申し込み情報をおくべき場所はここ以外ないんです。
申し込みはいわば、チラシの「ゴール」。
視線が流れてきた一番最後のエリアは、オモテ面の起承転結の「結」にあたります。
視線の流れとともに、どんな内容でどんな人が対象で自分が行くに値するかどうか?という情報を順番に受け取ってきてからの「結」なわけです。
まだオモテ面なので、ざっくりした情報しか得ていないものの、申し込むべき人は、ここですでに「申し込みしたい!」という気持ちを感じています。
その気持ちをそのまま邪魔せずに行動に移してもらうことを考えると、この部分に申し込み先情報がないのは不自然ですらあります。
このように、掲載する要素には、必然の場所というのが必ずあるもの。
ここに入れたらカッコいい!というデザイナー個人の趣味や感性ではなく「ここしかない」という受け取り側にとっての必然が決めてくれるものなのです。
こういった必然の流れを考慮に入れずに、可愛い、カッコいい、おしゃれ!でデザインを進めてしまうと、その流れを遮る雑音が発生します。
その雑音は、手にしているチラシから離脱するという行動をサポートするものになってしまいます。
私は昔、申し込み情報や問い合わせ情報の部分のデザインをするのが、好きではありませんでした。
電話番号とか、メールアドレスとか、会社名や住所とか、そういうおしゃれじゃないものを、たくさん入れなくてはならないから(笑)
入れなくていいじゃん、と言うことができないこのごちゃごちゃしたテキストたちをどう配置したらいいのか?自由にならない!と、テンション下がりまくりでした。
しかし申し込み情報とはチラシにとっては命!それなくしては何の意味もない紙切れです。
チラシの雰囲気やアート性を誰に絶賛されたとしても、申し込みがなかったらそのチラシはクソなのですw
「どうしたら申し込みという行動をサポートできるか?」というところにフォーカスして、全力を注ぎましょう!
と言っても構えたり頑張ったりする必要はありません。
まず情報を伝えたい優先順位を決めれば、おのずとレイアウトも色の使い方も限られてきます。
なので、入れなきゃいけない情報が多すぎて、どうやってデザインしたら?と思ったら情報の絞り込みから見直しましょう!
まず、申し込みの方法は一つに絞ります。
電話のみ、メールのみ、あなたのお客様が一番申し込みやすく、慣れた方法を選択します。
ここで絞れないとしたら、対象となるお客さまのことを知らなさすぎるということ。調べてくださいね。
決められない場合には、経験から導き出した仮定をひとつ選び、それに従って一つに絞って実験するつもりでその条件で進めていきます。
一つに決めた方法では申し込めない人や質問を受けるためには「問い合わせ」として優先順位を低くした連絡先を別に用意します。
このエリアに置くならば申し込みよりは目立たないような大きさや色で配置することになります。
優先順位が低いがゆえに探して見つかるという場所にあってもいいわけで、裏に入れるという選択も出てきます。
こうやって、必要な掲載情報を選び抜いて、優先順位を決めていくことが、「これしかない」「ここしかない」を浮かび上がらせるわけです。
どんなデザインにしよう!と、こちらがひねり出して考える必要はないんです。
下の画像は申し込みエリアの情報のレイアウト例、申し込み先が複数あるのと一つに絞られているのと、どちらがわかりやすいと感じるでしょうか?
いつでもどこでも、情報の優先順位を考え、その順番で目に留めてもらうには?と、考えてみてください。
そういう考え方でいろいろ試していくことが、誰にでもできる伝わるデザインをする鍵となります。
どうも文字の大きさや太さや色を変えても、意図している順番で目に入ってこない、と思ったら、その差を少し極端にしてみてください。
2つのものの差を大きさを変えることで示しているつもりならば、大きい方をより1、2pt大きく、小さい方をより1、2pt小さく、という具合に、その差をさらに際立たせるのです。
色で工夫するのは一番最後にとっておきましょう。
そして、デザイン配置などで迷ったら、ぜひチラシの画像検索をして他の人がどうデザインしているか?を見てみます。
情報がすんなりと目に入ってくる、と思えるデザインがあったら、その要素をぜひ真似してください。
さて次回は「環境のルールを利用する」です。
チラシってそもそもどんなところで、どういう状態で使われてる?というところからルールを見つけ出し、それを味方にするデザインをしようというお話しです。
お楽しみに♪
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