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【型破りな教室】〜思い出し泣き映画〜
寒波襲来。寒い日が続きます。
それでも、映画館で観たかった
【型破りな教室】。
帰途、風は冷たくも、身体の内側は
熱を帯びた状態。これは…良い映画でした。
メキシコの小学校、実話ベースの
本作品。
ギャング、麻薬、殺人、
危険な環境下にある地域の小学校。
そこへ赴任してきた、型破りな教師。
机と椅子を脇に積み上げ、
教室を海に例え、生徒に問う。
「救命ボートが6隻、乗れる人数は同じ。
乗れない人は溺れる。君たちは23人。
さあどうする?」
教科書と黒板のニラメッコではない、
教室が円形舞台のような
生きた授業。
教室を飛び出し、校庭にまで及ぶ
体験を伴う授業から育つ
生徒達の自主性、想像力、創造力。
学ぶ喜びに湧く子ども達の姿に、
思わず頬が緩みます。
少し前にNHKで放送されていた
ドラマ【宇宙わたる教室】が
思い出されました。
学びで繋がり、
切磋琢磨されていく人間関係。
素晴らしいドラマでした。
ただ、やはりキレイ事ばかりでなく、
メキシコが抱える社会問題は、
子ども達の夢を閉ざします。
冒頭、中盤、ラストに、
学校にも通えず、
羨ましげに校内を覗き込むことしか
出来ない少年が登場します。
まるで明治時代のおしんのよう。
彼に救いの手は
伸びるのだろうか…。
ストーリーは、
実話の人物と、創作の人物が
綯い交ぜになっています。
哲学に目覚めながらも、
夢を中断せざるを得ない少女。
倫理を学び、
中絶問題について語るセリフは
大人を唸らせます。
ギャングの兄を持つ少年ニコ、
その成長過程に起きる厳しい現実。
胸を揺さぶられます。
鑑賞後も、
ニコを思い返し涙が溢れます。
この映画で知ることが出来た
可能性に満ちた、ある教室の存在。
子どもが好奇心を思う存分
ぶつけられる場所でした。
救命ボートを最大活用するための
柔軟な思考力、
今からでも養いたいものです。