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Angel / SHE'S
竜馬さんの亡くなった愛犬に向けて書かれた曲。竜馬さんが『Angel』(天使)と呼ぶ相手であり、「生まれてくれてありがとう」など、こんなに素直でまっすぐな言葉をもって愛を伝える相手だ。これらの事実だけでもう、2人の絆は唯一無二の特別なものだと感じずにはいられない。
竜馬さんから愛犬・ルコちゃんへの愛は『C.K.C.S.』という楽曲でも歌われている。そのため、彼がルコちゃんにたっぷりの尊敬の念や愛情を注いでいることは知っていたし、この数年間ライブで『C.K.C.S.』をやってくれていたことがある種の供養なのかなとも勝手に感じていた。でもこの曲を聴いてから、2人が今まで築いてきたのは、我々が想像するよりもずっととても美しくて強固な、誰にも入り込む余地のない関係なのだと確信させられた。だからこの曲については、歌詞についてあれこれ言うのを躊躇ってしまう。
ただ、この曲が世に放たれたこと、音楽という形で2人の関係性を私たちに見せてくれたことを、本当にありがたく思った。そして、竜馬さんとルコちゃんの関係性は、楽曲として明確な形をもったことで、本当の意味で永遠に侵されることのない、二人だけのものになったんじゃないかなとぼんやり思った。
ドラマチックな曲調や歌詞の内容もあって、楽曲全体からあたたかい波や光のようなイメージを感じた。ふんわりとした柔らかさは、前曲『No Gravity』から通じているようにも思う。
1番のBメロから鳴り続ける音が心音のようで好きだ。2番からドラムなどの音数が増えるのも、どんなにどん底のような気持ちになっても時間は進み続けるし自分自身も前に進まざるを得ないのだと腹をくくり、再び歩き出すような感じがする。
この曲における竜馬さんの歌声は一層透明かつさらさらとしていて、からからに渇いたのどを潤す水みたいだと思う。空までまっすぐ届きそうだなと思うくらい、爽やかで心地よく感じられる。個人的には、前アルバムに収録されている楽曲『Silence』の、高音のサビが好きな人には、この『Angel』も堪らないと思う。透き通っているのに芯があって、繊細なのに広がりがあって、琴線にこっそりと触れてくる声。
『Angel』を含めたアルバム収録曲の英詞部分については、アルバムの歌詞カードに竜馬さんによる対訳が載っている。元の歌詞と和訳を見比べながら聴くと、「この表現はこう訳すのね…!」「この部分ってこんな口調だったんだ…?!」といった発見があったり、歌詞の解釈を深めることができたりと、楽曲の世界観によりどっぷりと浸かることができて本当に楽しいので、ぜひ体験してほしい(例えば、「The cold wind reminds me of warm feelings」の「reminds me of」を訳したときの言葉選びが、私は本当に目から鱗だった)。
ここからは完全に余談だが、FCブログやアルバムの歌詞カードなど、本当に好きでお金を払っている人にだけ対訳が公開される仕組みになっているのが、チームSHE'Sの信頼できる部分だなと個人的には思っている。もっとこの素晴らしさを世界中に知ってほしい!とも思うけれど。