「モフモフキマグレイトハキマリモモドキ」についてインタビュー風に解説してみる
みなさんこんにちは。大塚雅美です。今回はこの場を借りて、自分の作品解説をしたいと思います。今までnoteには自分が過去に書いた短編、中編小説をそのまま投稿しています。しかし、いきなり投稿して「書きました、読んでください」だけでは足りないと思うので、自分で作品について語ってみたいと思います。
まずは、最初に書いた中編「モフモフキマグレイトハキマリモモドキ」についてインタビュー形式で、お話しします。
あらすじを教えてください
大学でモフモフキマグレイトハキマリモモドキ(以下モフモフ)を研究している森下すぐる。今日も先生や同級生の山崎さんとモフモフの研究を行なっていた。あるとき、WMOという世界にモフモフを広めるための機関からやってきたリーサという謎の女性に出会う。リーサの活動に森下も参加するようになり、やがて世界がモフモフで埋め尽くされるようになる。
……というものです。今自分で説明しましたが、そんなに意味のあるストーリではないです。しかし読んだ人からは「構成力と文章力」を褒められました。短い小説ですが、たくさんの場面転換があり、海外に行ったり、未来になったりたくさんの出来事が起こるので、そこを楽しんでもらえたらと思います。
「モフモフキマグレイトハキマリモモドキ」とはなんですか?
そこ、気になりますよね。実は小説の中でも自分の中でも明確な答えは出ていません。答えというよりかはこの小説の「問い」です。もし、何の役にも立たないただ不思議な黒い毛の生えた球体みたいなもので世界が埋め尽くされてしまったら、人は何を考えるんだろう? と考えたくてこの生物をモチーフに描き出しました。
自分なりには、すぐに答えた出てしまうことや役に立つことが求められている社会に対して、ゆるいアンチテーゼになっている作品を描きたかった。小説では、そうしたメッセージは書いているうちに、より具体的な細かい出来事に消化されて、思想というよりかは出来事の形で並んでいます。
まずは、大きなテーマとして、小説を読んでくださった皆さんにこの問いを届けられたらいいなと思っています。
好きな登場人物はいますか?
途中で出てくるWMOのリーサが好きです。黒いボディスーツにサングラスというアイコニックな見た目が自分の描いた登場人物の中でも際立っていて面白い。また、一人で世界にモフモフを広げるという使命感を背負って活躍する強さが物語を支えてくれている気がします。
主人公のすぐるとの会話もぶっきらぼうでかっこいい気がします。
好きなシーン、場面はありますか?
物語のラストの「世界モフモフ大会の開会式」のシーンです。ちょうど、東京オリンピックの開会式がコロナ禍で無観客で行われていたところを想像していました。この世界では、新国立競技場で人々が席に座ってモフモフを使ったセレモニーを眺めている様子を描きました。
書いていた頃はコロナ禍で、家で引きこもっていたので、こういう未来が来たらいいなと自由に想像することができました。
書いている時のエピソードや書き方について教えてください
この「モフモフ」は、最初、手書き縦書きでノートに書いていたものをパソコンで打ち直して添削というスタイルで書いた小説です。日記の延長として手書きで書くことに慣れていたし、手書きならではの文章を模索しながら書いていました。
結局はパソコンで打ち直してしまうのですが、直している過程で削られるものや残るものを眺めながら、小説を「直す」面白さに目覚めました。
大学の主催する短編賞に投稿するために、書いたので、丁寧に一つの作品を一か月ぐらいかけて直しました。スケジュールを組んで、書いては直す。大変な作業でしたが、投稿することでフィードバックももらい、次に新しく作品を作るモチベーションと自信がつきました。
書く上で影響を受けた本や作品を教えてください
ちょうどこの頃かはわかりませんが、ジョニー・オデルの「何もしない」(竹内要江訳)という本を読んでいました。これは現代社会においての「何もしない」ことの価値を論じたエッセイで、生き生きとした思索が文体から伝わってきて、面白いです。
ただ単に本のタイトルに「何もしない」と書かれた表紙のデザインが好きで、色々なところに持ち寄って読んでいました。この社会に対して、何もしないというスタンスで自分を表明することの意味を自分なりに考えて、単にモフモフした存在について小説を書いてみようと思いました。
そこから、「スロー・イズ・ビューティフル」(辻信一)などにたどって行って、遅いことの意味、あえて社会を停滞させる謎の存在などにも想像を膨らませていきました。
今振り返ると、新型コロナウイルスも社会を停滞させる謎の存在でした。その脅威を感じながら家の中で希望を描くことができる小説を書きたいと考えて、これを書きました。
まとめ
これで「モフモフ」の解説を終えようと思います。改めて、気になりましたら読んでみてください。感想などもくださるととても喜びます。
noteに中編小説を書くと、記事が長いこともあって、ちゃんと届くのだろうか、分割して書いたほうがいいのだろうか、と色々考えてしまいます。
このインタビュー風解説は他の作品に対してもやってみたいと思うので、長い小説も読んでくださるきっかけになれば幸いです。
「大塚雅美の小説の書き方」の解説も書いてます。自己紹介としてもプロフィール記事にしています。
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