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【夢日記】終戦の日に

1945年8月6日未明の広島にいる。
私は10代後半から20代くらいの男性のようで、原子爆弾についての記憶が、私にだけある。また、文明も現代程度のようだ。つまり日常生活の中に、「原子爆弾が落ちる現実」だけが入り込んでいる状態である。


自宅は爆心地から車で5分くらいの場所のようだが、山を挟んでいるので確か屋内にいれば大丈夫だったはず。
母に事情を説明し、祖母と父にも伝えてもらう。
4人の弟妹たちには、私が指示したら身を守る体制を取るようにと伝え、目や耳を押さえる方法を教えている。小さなきょうだいたちは興味津々で私の話に耳を傾けている。8,9歳くらいの妹が「目」の場所が分からないといっている。あれこれ塞ぐのは難しいようだ。


母が祖母や父に、百貨店集合と伝えている。百貨店は壊滅してしまうからだめだ、ここは爆心地にかなり近いが山の陰になるから大丈夫、他の場所はよくないと説く。母はなかなか信じがたいといった顔で、何度も「壊滅」という言葉を使う私をまじまじと見た。
それならいっそできるだけ離れた方がいいんじゃ、と言うので、マップアプリを立ち上げて確認してみる。
北東が爆心地で、それと家を隔てるように斜めに小さく山がある。南西側は海があって逃げられないし、南東に行くと山の陰から出てしまう。そもそも今何時だ。残り時間でどれくらい逃げられるのかーーーー、スマートフォンに表示された時間は8時15分。


「来る!」
とっさに叫ぶと、きょうだいが防御姿勢を取るのを確認しながら、私も伏せた。
ほどなく大音響と衝撃がやってきた。爆風や振動でいろいろな痛みを感じるはずなのだが、身体を押し付けられているみたいに感覚がない。塞いだ耳の向こうで母の金切り声が聞こえる。長い間息をしなかったので苦しくなって、口を開けたまま息を少し吸いながら、目が覚めた。

(2020.8.20)

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