フランスで出会った天使と母の煮物
フランスの思い出をふと綴ってみる。
(※大学の交換留学生として1年間フランス留学をした)
あれは冬のバカンスが始まる前の週だった。
美学の授業で、先生が私に名指しで説明をしている。
ただよく聞き取れず分からなかった。
席が離れているせいもあるだろう。
何度も聞き返す私に、観念したのか
「このクラスで英語話せる人いませんか」
とクラスのみんなに呼びかけた。
この時の私の心境たるや。
フランス留学の意味を問われた。
そんな忸怩たる思いの中、
シーンとしたクラスで一人だけ
ぱっと手を上げてくれた女の子がいた。
授業後に3人で話そうということになった。
要はテストのことについてで誰も英語など使わなかったのだが。
私はそれでも 英語 という言葉を
言われたのがショックでとぼとぼと教室を後にした。
校舎の前で、先ほどの女の子がいた。
目が合い、笑ってくれた
さっきはありがとう、から始まり
いろんな話をした
気がつけば、30分くらいその場にいただろうか
冬のバカンスの話
履修の話
家族の話
、、、
話したことはなかったのに、
いっぱい話してくれた
そしてそろそろ帰ろうか、となったとき、
「何かあったらいつでも言ってね!」
とすごく優しい笑顔で言ってくれた
帰り際、ビズをして
よい休暇をね!と言い合いながら別れた
本当に嬉しくて
バイバイと何度も手を振った
そうすると、寄ってきてくれて
またビズをした
今思うと、ほーんとに素敵な思い出。
天使みたいな人だったなぁ。
人生で一番、一人の殻に閉じこもっていた留学生活。
異国での生活はちょっとした意思疎通もなかなか難しかったりする。
環境に適応しながら既存の価値観にメスが入れられる醍醐味はあるものの、抵抗したくなることもいっぱいあった。
乗り越えなければならないことは
いっぱいあったし
自分の素を直視しなければならず
なかなか向き合えなかったなと思う。
でもこうした
あたたかい思い出ひとつでも
得ることができて
(もちろん量とかではないけれども)
今も、当時もとても幸せなんだなと感じる。
写真は参鶏湯が食べたい
(というか作りたい)
と言っていたら母が作ってくれた煮物
こういう一つひとつもすごく嬉しいね。
2016/1/26 東京実家にて
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