「永遠の布」ギャラリーカフェふく在廊日記
2023.7.14(金)
難波オーキャット、朝7時発のバスで河原パーキングまで。
ひやまさんが車で迎えに来てくれる。
新しく移転したギャラリーは若桜駅から徒歩すぐの場所。
元は小さめのスーパーだったらしい。コンクリートの色味が、抽象画みたいな床、格好よい。
2年前くらいに来たので忘れていたけれど、
若桜は水路が張り巡らせてありずっと水の流れる音がさらさら、ひたすらサラサラ鳴っている(透明な音)
もちろん店の前もさらさらと。
11じオープン、カセットコンロを借り、店内の机を運び出して軒先で花びら染め体験を準備。
ふらっと近隣や隣町から体験者がやって来てくれる。
道端の野花を採取して、ポジャギを散らし染めていく(3人で一枚の布。ネジバナ、ハイビスカス、つゆくさ、ヒメジオン、たんぽぽ)
蒸し上がりの瞬間、あの花はこんな色に移る!わぁ!とひと盛り上がり。
遅めのお昼はシズカゴハンのランチ。
いつもながら味付けがちょうどよい塩梅!
それから、おやつはコーヒーとドーナッツ。おからのドーナッツ、どっしりもっちり、なのに重たくない、不思議な味わい。
日曜日は流れで店番することになり、ふく式コーヒーの淹れ方を教わる。
店内の椅子でぼんやりと。
永遠の布たちは、ギャラリーの空間で気持ちよく並んで、とてもきれいで、嬉しくなる。
ポジャギ —永遠の布— について興味を持ってくださる方がいて、製作の方法や経緯についてお話する。
ゆらりと静かに揺れる布の重なりやその影や縫い目の線は生き物のようであなたたちは本当に綺麗ですねと思う。
お客さまの要望に応えることを第一信条にしなかった作品群は、とても個人的な製作でもあります。
捨てられてしまうような布屑も、愛を持って繋ぎ合わせればちゃんと輝く。同じ組成でも組み換えれば何度だって甦る。
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午後、ギャラリーに遊びにきた親子でまた花びら染め。
小学生くらいの女の子が、可愛い!楽しい!とにこにこしていた。
花びら染め体験してもらった風呂敷サイズのポジャギは最後繋ぎ合わせて大きな1枚の布にする予定です。
夕方。雨がパラパラ。
日曜日に落語会をする文五郎さんが前乗りしてくる。
夜は藤原さん(近くのお味噌屋)ご家族、ひやま(コマツ)さんご家族、をまじえて、宴。
ビールと日本酒。
しずかさんが永遠と唐揚げをあげてくれる。こんなに唐揚げ食べたのいつぶりくらいだろう。
テーブルには艶っぽい野菜たち。
近所の豆腐屋の豆腐があまりに美味しい。
理系だか文系だか、深いんだか浅いんだか、それぞれの出会いや今ここに集う経緯の話など、噺家のアレコレやらなんやらで宴会は盛り上がる。
チェーン店じゃない商店や、家のかたち、道なりの門構えや、水路にかけられた階段や、その錆びた色合いや、機関車や若桜駅や、全体がノスタルジックで懐かしい気持ちになる。
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「永遠の布」MMM MADE
@mmm_made_m.tsujioka
2023年6月29日 - 8月19日
営業日:木金土 11:00-17:00
Gallery cafe ふく @fuku_wakasa
〒680-0701 鳥取県八頭郡若桜町若桜396
最寄り:若桜鉄道若桜線 若桜駅 徒歩3分
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#ソーイングヒアー2023滞在製作日記 の後編が、 #永遠の布ギャラリーカフェふく在廊日記 となります
2023.7.15(土)
寝起きであたたかいお茶がある。染み渡る。
朝8時ごろから卓を囲んで皆で朝ごはん。
白米に岩のり、卵焼きとちくわ。
小松家、しずかさん、文五郎さん、ぼく。
旅行の朝みたい。または合宿。
ヤンキーハムスターの動画をPCで愛息子れんちゃんがみている。
ひやまさんがついついみちゃうGIFアニメみたいだよねと言う。
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10時。歩いてお茶屋さんへ。
抹茶のカキ氷。アミューズメントな美味しさ。
11時。
ギャラリーカフェふく、お店オープン。
しずかさんが、あじ工房へお弁当つくりへ(夜の落語会用)
ひやまさんは落語会の準備で店を出たり入ったり。
ひやま辻岡れんちゃんで花を摘みに行き、ポジャギに花びら染め。
(ホタルブクロ、ムクゲ、つゆくさ、たんぽぽ)
文五郎さんがとなりで植木鉢を植え替えている。
布に花を置く画を指し「カラフル畑」と、
染め上がりを見て「虹の国」と、れんれんが言う。
MMM MADE辻岡はお店番。
13時過ぎ。
岩瀬さん一家がキャンプ場に行く前に寄ってくれる。
意外とご家族とは初対面でした。
昨日仕込まれたキッチン業務やレジをあたふたしつつ、なんとか。
ドーナッツとコーヒーを出す。
お冷や足したりドーナッツテイクアウトに包んだりする。
ギャラリーカフェのスタッフ体験はおもしろい。
ちらほらと来客がある。山登り帰りの方など。
革靴をつくるイチゲキリダツの及川くんがきて、小一時間は話す。
ふくの向かいに及川くんの工房がある。
売れ線について、歩きにくいセクシーな概念としての靴のこと。
作家を続けることで、現在の自分のかたちを保っているというのは、わからなくもない。
ふくから徒歩10分くらいの場所、
三百田氏住宅という茅葺き屋根の歴史のある家屋があり、そちらで行う落語会へ。
シズカさんのお弁当と、日本酒と、文五郎さんの落語と。
寿限無と牛ほめ。
舞台の三百田氏住宅も相まって、落語の最中に噺の中の本人に見える瞬間がある。
おもしろい、意外のおもしろさ、
この感じが「をかし」とか「あはれ」という感覚か。
とっぷり暮れたら星が綺麗。
夜、落語会の片付けをして小松家へ。
そのまま、夜ご飯。というか宴会?
せせりを焼いたの、とうもろこしごはん。
猪肉のミンチにマッシュポテトを合わせ大葉で巻いて食べる組み合わせがあまりにも美味しい。
話題は、それぞれの考え方、働く姿勢とその理念、地域環境との関わり、教育とは、博愛について、肉親と対面する死生観まで。
江戸時代に産まれていれば⁈
しゃべりすぎて楽しくなっちゃって寝れないね〜と深い時間。
1階からはお皿を洗う音(遅くまでおつかれさまです)
窓の外からは水の流れる音がずっとしている。
若桜は暑いといえど7月でもクーラーなしで寝れるくらい涼しい。
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2023.7.16(日)
#永遠の布ギャラリーカフェふく在廊日記 +1day
朝から昨夜洗ったおぜんをあじ工房へ皆で返却。
ギャラリーに置いた荷物をピックアップ。
朝の光で見る永遠の布は、また違って見えて、自画自賛したくなる。
ギャラリーの物販コーナーは小さな小さな道の駅みたい。
お土産にふくブレンドのコーヒー豆と香草工房のハーブを買う。
店の隣にある喫茶藍へモーニング。
トーストとコーヒー。
若桜のジーナは軽やかな微笑み。
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大山のほうへ車で移動。
約2時間くらい。
シズカゴハン&ふくの新しい食べ物を巡る旅に便乗。
すっきり晴れた夏空、車の横に海。
うみうみうみ!と、はしゃぐ。
お昼は琴の浦で、まかない風の海鮮づけ丼。なんせ魚介が美味しい。
甘エビ出汁の味噌汁の香りの良いことよ。
おやつに大風呂敷ソフト。きな粉とお餅が入ってるソフトクリーム。
車は、千と千尋みたいな竹林に包まれた小道を抜ける。
なんの気になしに立つ御神木がいくつか。
山下さんがしている畑があらわれた。
(言うなれば細身のカールおじさん)
半径2km以内に多種やさいを育ててらっしゃる。
ソース用のトマトや、ジャガイモや、ナスや、にんじんや、セロリや。
ジャガイモの品種とその味わいについて教えていただく。
レッドムーン
タワラマゼラン
タワラ○○と言う名のシリーズ
ポテトフライがあまりに美味しい。
中はしっとり、外はカリカリ。
本来の甘味がじわーっと。
未体験味、揚げたジャガイモ。
道の駅でスイカを買い、食べる。
ひとのおうちの庭にスイカの種を飛ばす。
ぺっ、ぺっ、ぺっ。
鹿野経由で鳥取駅へ。
振り返れば鳥取を横に走る、食べ物ツアー。
バスに乗って大阪へ帰る。
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2023.7.21(金)
後記
鳥取からの帰りのバスで徐々に縫い合わせた布が自分から離れていく実感がありました。物理的な距離が離れたのはあるかもだけど。
作品というのは己が混ざり込んでいるので、やっぱりある程度時間が経過しないと客体化しにくいんやなと。
つくればつくるほど、
周りの小商や作家を見るほど、
身を削るほどの情熱や、相手の解釈を無視してまで伝えたいことや、クリアーしたい障壁や、獲得したいこと。
それらがまるで無く、重厚さというか、自分には何もないなと(おかげで苦しまずに済んでオモシロおかしくやれてると)度々感じていましたが、今回頭で言葉で考えなくて自ずとわかったのは、
自分には、それらとは違うものがあるんだなと言うことです。
何もないのではなく違うものがある。
オモシロおかしくやれているのは、何も無いからではなく違うものがあるから。
企画展「永遠の布」は、縫製の際に手元に残る布やもう着られなくなった服の一部を、ポシャギとしてMMM MADEの辻岡が、1枚の布へ仕立てていくプロジェクト
「永遠の布」MMM MADE
@mmm_made_m.tsujioka
2023年6月29日 - 8月19日
営業日:木金土 11:00-17:00
Gallery cafe ふく
〒680-0701 鳥取県八頭郡若桜町若桜396
最寄り:若桜鉄道若桜線 若桜駅 徒歩3分
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