丸 子
カフェオレだけでなくオレ全般について
いっとき流行り、レシピを調べて作ってみた。 しかし本物を見たことも食べたこともない。 成功したかもわからない。 その後、時短やら食材節約やらして独自で編み出したレシピをここに遺す。 まずパスタにかぶるくらいの量の水を深皿に入れてレンジで温める。 ここでアルデンテの手前までパスタに火を通したい。 その間フライパンでトマトソースを作る。 にんにくと唐辛子をたくさん入れる。 トマトソースは少ない量で濃いめに作り、ソースの節約を試みる。 通常のトマトソースの1/3か1/2くらいの
ロイヤルミルクティーを家で飲みたい。 美味しくてカフェみたいなクオリティのもの。 調べるとコツが出てくる。 試してみたのを総合して自分流にしてみた。 熱湯でティーバッグを蒸らす。 お湯の量はカップ1/3。 茶葉が開いたら牛乳を入れる。 残りの2/3量。 それをレンジへ。 牛乳が温かくなったら取り出す。 ティーバッグを取り出して。 召し上がれ。 いい色に仕上がっているはず。
「いいか、人ってのは文字より数字に目が行くんだ。『大容量』よりも『1キロ増量』とあると買いたくなる」 「本当ですかあ。そんなんで騙されますかねえ」 「数字を見るわけだな」 「はあ」 「『6枚入り』と見ると『6枚切り』と思い込むわけだ」 「……だから今朝の食パン薄いんすね」
すごい時代になったもんだ。運転中でも歩道で動くものは認識されて、フロントガラスに映し出される。人はちゃんと「ヒト」と表示される。たいしたもんだぜ。まさかこんな時代が来るとはなあ。おかげでこの世界で人間は俺だけだってバレちまうよ。あーあ、そろそろ引越ししねえとなあ。
慰めや応援すら辛く感じることがあります。そんな時の為におはなしはあると思っています。読書をするにも労力と時間が必要です。疲れた身体でTwitterを見ながらさっくりと読めるのが #1日1物語 というわけなのです。読まなくてもいい、チラ見から心が弾む何かを届けられますよう。
ソワソワさんはじっとしていられない。 ある日おばあさんを助けたらお巡りさんに褒められた。小さな頃から叱られてばかりのソワソワさんが初めて褒められた! 嬉しくてもっと褒められたくてお巡りさんになっちゃった。街中を歩き回ってみんなを助けたら、たいそう喜ばれたとさ。
「あなたとは来来来来来世くらいで出逢いたいです」と手紙に書いた。今世や来世くらいでは到底かなわない恋だった。 そうしたらあなたから会いに来てくれた。タイムマシンに乗って。「宜しくお願いします」と見たこともない花を一輪くれた。遠い未来では恋人に贈る人気の花だとか。
「今から魔法をかけてやる」 「どんな?」 「悪よけだよ。悪いものから見えないようにするんだ。見つかってしまえば戦うしかない。そうなると勝つのは難しい。だから見つからないのが一番なんだ」 「戦わないために?」 「そのとおり!」
夢。何も話さない。悲しそうに笑うだけ。 夢でしか会えない。でも眠りさえすれば夜に会える。眠るのが楽しみになった。彼も嬉しそうなのが伝わる。 嬉しくてどんどん想いが溢れてくる。まるで初めて出逢った頃のよう。胸の中に泉がある。愛が湧き出る泉。 夢でしか会えなくても。
うちの猫がゾンビになった。 朝は元気だったのに仕事から帰ったら息がなかった。「すまん」と撫でると唸ったんで思わず落としちまった。キャリーに入れた途端に豹変だ。爆音ふかして引っ掻いてやがる。 一体何があった?うちだけか?猫だけか?人は? あやばいキャリーこわれたか
地域の歴史資料に、ここで若くして命を落とした人の名がある。 わたしは彼を知っている。 だって彼はわたしを守って亡くなったのだから。 わたしだけがまだここで生きている。 あれから数百年が経った。五百年を超えて数えるのをやめた。 「いてふ」 と彼は呼んでくれた。
「特別な能力を持って如何ですか」 「びびった。使いこなせるかって。短気だし。カッとなって使っちゃうんじゃないかって心配した。この前もそんな事件あったろ? けど、いざ能力を授かると慎重になるもんだ」 「あなたの能力は?」 「怒ると全裸になる」 「ありがとうございました」
神は存在する数だけいる。信じる者の中に信じる数だけ。 人に呼ばれると神の力は増す。助け赦し感謝。力に対する敬い畏れ。それらが神の彩となる。 縁切りの神を呼ぶ少年がいた。声が乞う「ぼくの弱さを切ってください」と。 無色だったその神に彩が迸る。
新しい街を探索していたら森の入り口に着いた。 一本道が奥へと続いている。 途中で人とすれ違う。一人だったり二人組だったり。 肩パッドの入った大きめのジャケット。袴にブーツ。羽織に帽子。刀?! 服装が古くなっていく。 森を抜けたら元の街。振り返ると道はなし。
「今日はいい日だったな」 少し嬉しい帰り道にとても綺麗な緑色の虫を踏む。靴底に感触が残る。 小さな命の灯を消してしまった。 心に灯った微かな喜びも消えてしまった。
その花の香りを鼻腔が覚えている。記憶にない懐かしい香り。 人生で初めて香水売場に入りその香りを探す。花の香りを再現したというその店にそれはあった。 同じ香りが背後からする。振り向くと泣き顔の見知らぬ女性が嬉しそうに呟く。 「無事でよかった」 僕はいったい誰?