イタリアで焼き物を売りませんか?
「日本を伝える」という使命をもとに決意した、イタリアでの起業。その背景となる思いや理由は、ひとつ前の記事につらつらと書いた。日本の良さを良いと認め、その良さを汲み取ってくれる人に届ける手伝いをしたい、というのが大きな柱である。前回の記事は、☟こちら 。
今回は、目指すビジネスの背景と内容を少し話してみようと思う。
i. はじまりはイタリアのお茶専門店
全てのことの始まりは、現在住んでいる街にある小さなお茶屋さんから始まった。ベルガモという街で、夫婦で営まれているお茶専門店 "Enchan.tè" に立ち寄った時、オーナーと立ち話をしたことがきっかけ。彼は自分で日本に足を運んで茶葉を買い付けるほどお茶へのこだわりが強く、特に茶道を含む日本のお茶文化が大好きだと熱弁してくれた。その熱は想像以上に熱く、カナダにあるティーソムリエの学校の講義を受け、晴れてソムリエにもなったらしい。話の中で、お茶アクセサリーに困っていると話し始めたオーナーは、イタリアのお茶関連市場がまだ小さいことや、自身のお客さんの要望になかなか答えられないことなどを話し始めた。
これはチャンスでは!?と思った仕事を探していた私は、それを解決するから雇って欲しいと打診したが、NON EUである私を雇うことは経営者として膨大な労力と手続きがあるから申し訳ないけど、と断られた。そこでふと、じゃあ起業しちゃえば良いんじゃない!?となるのが私の思考回路であった。
ii. イタリアのお茶市場と問題点
オーナーや彼の仲間の情報を元に調べると、お茶全体の需要は年々上がってきていることがわかった。あまり知られていないが、イタリアにもお茶は存在する。いわゆる紅茶類はもちろん、日本語で言うハーブティ類も充実していて、茶葉を計り売りしている薬局や”ハーブ専門店”も街の至る所にある。コロナの影響も相まって、リラックスティーの消費量は増えているそうだ。
もちろん、日本のSENCHAやMATCHAは普通に売っているし、Enchan.tèではほうじ茶や玄米茶まで扱っている。しかしその消費に伴うお茶アクセサリーが、全く欠けているのである。特にしっかりした急須と湯呑み、茶道の道具はなかなか手に入らず、そのクオリティも保証されていないのが現状だ。
オーナーが困っていると話していたことのひとつに、この保証の問題があった。例えばヨーロッパでは、チーズやサラミなどにD.O.P(原産地呼称保護)という保証マークがつけられており、これによって生産方法やレシピなど、その商品に関わる伝統が保護・保証されるようになっている。対して日本の焼き物は作家の印が器の裏に印してある、または箱に明記されているのみで、イタリア人が見ただけでは本物かどうか判断できない。「MADE IN JAPAN」や「JAPAN MADE」と書かれているものでさえ実は中国製であることも増えてきている中、イタリアのお茶小売店は、物を事前に確認できないまま複数の仲介を介して仕入れる相当なリスクを背負っている現状がある。
iii. 言葉の壁が高いイタリアと日本
さらに大きいのは、言葉の壁である。日本語を話す日本人とイタリア語を話すイタリア人が繋がるのは、どちらかが他方の言葉を話すか、両者が英語を話すか、または通訳などの第3者を挟むか、の3択しかない。しかも日本人もイタリア人も、総じて英語は得意ではないのが現状。これでは両者が友達になることも難しいのに、ビジネスにはなかなか結ばれないのは納得できるだろう。オーナーも過去に拙い英語とGoogle翻訳を使って日本の窯元や商社に問い合わせたが、全く返事がなくて諦めたことが何度もあると嘆いていた。
日本側から見ても、拙い英語でイタリア人が問い合わせてきたら不審に思うかもしれないし、ルーズなイメージのあるイタリア人相手にビジネスを展開しようと思わないかもしれない。そもそもイタリアにおけるお茶関連市場に、あまりイメージがわかないと言われても無理はない。
iv. ”つなぐ”会社を作りたい
そんな現状や背景を元に生み出そうとしている私の会社は、
日本の焼き物をイタリアの小売店に卸す会社
である。お茶業界、卸しの業界、焼き物の業界、どれも全くの無知・素人で始める怖さはあるが、新しいことに挑戦できるワクワク感はいつも生きるエネルギーを与えてくれる。そして、イタリアの現状をどうにかしたいという思いの隣に、一人の日本人として良いものを、本物を、届くべき人々に届けたいという思いが強くある。そもそも言語や地理的難易度が高い日本とイタリアをつなぐビジネスにいつ収束するかもわからないコロナが降りかかって、人も物も情報すらも行き来することが困難になった今だからこそ、立ち上げたい。そんな思いを元に、会社設立の準備をはじめました。
現在社名やロゴ、HP、連絡先など会社設立に向けて準備中です。
「海外に売り出してみたい」と思っている小さな窯元さん
「日本の代理店を通さずに、海外に売りたい」と思っている陶芸家さん
「日本では成功できない」と諦めそうな方。
人生が変わるようなお手伝いをしたいと思っています。
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