濡鴉幼少期①〜気味悪いくらい聞き分けが良かったわたし〜
幼少期、スーパーのお菓子コーナーで同じくらいの歳の子が「おかしかって!」と駄々をこねる姿を見て、冷静に訳がわからなかった。
「親がダメだと言っている、それ以上は怒られるに決まってるのに」「そんなになるほどの魅力が、このお菓子のどこにあるのだろう」「ダメなものはダメ、わがままは言っちゃダメ、人に迷惑をかけちゃダメ」
本当にそう思っていた、一緒に行動していた母親にも「あの子はどうして言うこと聞けないの?」と問うほどに理解できなかった。
お菓子を欲しいと言わない子。周りが駄々をこねてもグッと堪えて言うことを聞く。そのときそのときで大人が何を求めているかを考える。言われたことは着実にこなす。
最初は無意識でやっていたのに、気づいたら板に付いていた。それをかれこれ二十数年……この歳になって限界がきた。
うるさい、うるさい、全部うるさい
だから、書く。今まで胸に溜めていた真っ黒な気持ちを全部吐き出す。わたしの文章から学ぶことなど一つもない。わたしの文章からあなたに届くものなんて何もない。ただ一つ、雨に濡れた鴉のような、じっとりと深い深い黒を。臭い臭い憂いをわたしはただただ、ここに零す。
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