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Ep-1. 東京都パートナーシップ宣言について
私たち(同性パートナー)は今まで10年もの間パートナーシップや公正証書も作成してこなかったが、齢45を目前にして将来を考え始めた。
というのも一昨年母の介護が始まったことで自宅の解約や家財の処分を行い、信頼できると思っていた親戚が母が死んだ後の保険やお金のことなどを考えていることを知り、死亡補償のない保険に変更して親戚ごと断捨離してしまった。
これで戸籍に記載された家族は「母」ひとり。
その後も賃貸契約などで「保証人」が必要であったり、割高ではあるが補償会社を通して契約をしてきた。しかし、「緊急連絡先」は意思の疎通ができない母では役不足となってしまい、パートナーの姉にお願いしてことなきを得た。
今回パートナーシップを結ぶにあたり、メリットとなるものを少し紹介したい。
会社員としてのお守り
働き盛りの40代〜30代には仕事が中心となってしまう時期がどうしてもある。
引越しを伴う異動や外部出向なども十分に考えられる。
どちらかに人事異動で転勤が発令されたとして、ここは婚姻によって「家族」となることができる男女であれば一緒に行く、又は単身赴任で帰省交通費をもらうなどの待遇があるため困ることは少ない。しかし同性パートナーは婚姻が認められていないため、どれだけ双方が深く結ばれていようとも「それって、付き合ってるだけだよね」と、そのへんのカップルと同じ様に考えられてしまう。
ここで自分たちを守るためにやったことは以下2点
①勤めている会社の就業規則を確認
②自治体のパートナーシップの要件を確認
①就業規則を普段から目を通している人は少ないとは思うが、ここには会社のルールが記載されており、時代に沿ってアップデートされていることもある。
近年では、会社の福利厚生の範囲は「婚姻によって家族として認められたもの」のほか、「自治体の発行する証明書の提出がある場合・・・」などに広がっている。
また、忌引き休暇や介護休暇なども、家族にパートナーが認められることの記載を行っている企業も増えている。
私も就業規則の一文を見つけ、パートナーに紹介した。
男女間であれば、転勤で離れ離れになっても「会社の規則」が守ってくれる。
パートナーでも、所定の手続きを取り会社に証明ができれば同様に会社がルールの範囲で守ってくれることとなるはずだ。
尚、東京都パートナーシップに関わる証明書のサンプルを見たが、なんと「当該証明書の提示を受けた者は他人に口外してはならない」とのおまけ付き。
会社で二人の関係を上司に伝えた場合、必ず広まってしまう。
そこには様々な感情があり、良くも悪くもフィードバックを受けることを避けて通りたいと思っている。上司に限定した相談であっても、必要に応じて人事の担当者、人事の上司、役員まで広がってしまう。自分の立場が上に上がれば上がるほど相談する先の影響力も上がってしまう。しかし、パートナーシップ宣言の証明書をスッと出せば、受け取って処理するしかない。つまり噂話やアウティングを防ぐことができるはずだ。
②パートナーシップ申請の流れ
まずは申請を行うサイトに両名それぞれで登録を行い、登録番号を受領する。
次に私の登録番号、生年月日、氏名住所を入力し、パートナーの登録番号、生年月日、名前を入力後、自身の戸籍抄本(または独身証明書)、運転免許、顔写真、東京都在住の証としての住民票をファイル添付して申請。
次に、パートナーがサイトから登録番号、生年月日、氏名住所を入力し、パートナーの登録番号、生年月日、名前を入力後、戸籍抄本(又は独身証明書)、運転免許、顔写真、住民票をファイル添付して申請。
これで10労働日の間に申請内容の確認、受理されて、専用サイトから証明書がダウンロードできる流れとなる。
証明書はA4ほどのサイズであるが、携帯用にカード型でも発行できる様になっている。携帯できるのは良いが、うっかり財布を落として拡散されないよう取り扱いは厳重に注意が必要です。
今後について
企業人としてはパートナーシップを宣言し、自治体が認めた証明書を提出することで守られる権利はあると思うが、二人の関係はあくまでも他人である事に注意が必要であるため、将来的には公正証書を取り交わし、婚姻と同等の権利が得られるようひとつずつ契約を交わしていく必要がある。これを「準婚姻契約」というらしい。9年ほど前にふたりで行政書士事務所へ相談に行き、教えてもらったことであったが、数十万円の費用がかかること(二人それぞれ個別に結ぶため、2倍)、
当時はまだ30歳前後だったので介護や病気、最悪の事態はまだまだ先だと思っていたこともあり、「いつか考えよう」としていた。
最近になって、「頑張って貯金しても、私が死んだら母、又は親戚の取られてしまうのか」「身寄りがなかったら国に持っていかれるのかも」「遺言でパートナーに残したいと書いたとしても、正式な遺言書にはならない?」「保険の死亡時の保険金の受取人は、原則家族、第三者受取はできるが税金がかかる」など、婚姻していなければ国の恩恵を受けられないのかと思うほど対策が必要。
私もまだ詳しくないが、これから勉強して対策を講じていきたい。