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御刀さんがやってきた


銘 源吉盛八月吉日 (短刀) さんをお迎えした記録。自分用に書いてたんだけど、長くなってきてうっかり消しそうと思ったのでnoteに上げる
自分用なので人の目を意識してない文章になってる。たぶん読みにくい

【お迎え前】

本当は刀屋さんに直接伺うべきなんだけどこのご時世なのでお通販。
わりと前から刀屋さんのHPをぽちぽち見てて、で、今回お写真でどうしても地肌が好きだなと思った地元の御刀さん(短刀)をお迎え
金剛兵衛です。太宰府宝満山の山伏であり刀鍛冶でもあったらしい、とのこと。鎌倉~室町の筑前の刀工として左文字と並べたり比べたりされてるのをよく見ますが左文字よりマイナー
みんな名前に「盛」の字を入れてて、直系?嫡男?は代々盛高さん。茎を卒塔婆型にするのが特徴なんだそうな。刃文と地金は古風で素朴な感じだと。
筑前発祥だけど途中から北部九州一帯に広がってて、盛高さんも細川氏と一緒に肥後に移るなどしている。今でも熊本では子孫の方が鍛冶を続けてらっしゃる。吉盛さんは筑前から途中で豊後に移ったらしい…?まだちゃんと調べきれてない
太宰府天満宮と青井阿蘇神社に奉納刀がある。たぶん宗像大社もかな?
購入した短刀は、年代は書かれてないけどたぶん室町頃の作品とのこと
あと刀屋さんの説明によると昭和刀剣名物帳(はっちさんが載ってるやつ)に「葉月吉盛」として載ってる刀らしい…んだけどどこかの段階で登載証書を無くしちゃってる。国立国会図書館に名物帳の問い合わせしたけども、そちらも押型や写真が無く目録だけとのこと。八寸九分の八月吉日銘の短刀、いっぱいありそうでは…?ていうか目録「八月日」なんだけど……ちょっと…分かりませんね…
あ、御刀屋さんは徹頭徹尾親切でした。めっちゃメールやり取りして疑問点とか逐一すごく丁寧なお返事くれた。ありがとうございました

太宰府天満宮で奉納刀の脇差見てからずっといいなあと思ってた一族さんです。日付が八月吉日なので、勝手に秋分点生まれと思うことにしている。わーい天秤座仲間!

自分用メモ
福岡市博アーカイブス No.270 筑前の刀工 金剛兵衛
http://museum.city.fukuoka.jp/archives/leaflet/270/index.html
発祥の地コレクション 刀工 金剛兵衛源盛高発祥の地
https://840.gnpp.jp/tokokongobyoe/
武士道美術館 金剛兵衛・源盛高を訪ねて その1~3
https://bushidoart.jp/ohta/2013/06/20/%E9%87%91%E5%89%9B%E5%85%B5%E8%A1%9B%E6%BA%90%E7%9B%9B%E9%AB%98%E3%82%92%E8%A8%AA%E3%81%AD%E3%81%A6%EF%BC%88%E3%81%9D%E3%81%AE1%EF%BC%89/
楽天市場 盛高鍛冶刃物楽天市場店
https://item.rakuten.co.jp/moritakahamono/c/0000000234/
古刀銘尽大全・下 17コマ 26コマ
福岡市美 1989 筑前刀展 図録(後半にちょっと写真)
ふくやま美術館 2018 筑前左文字の名刀 図録(コラム言及あり)


【4/23着】

思った以上にめっちゃ刃物。模造刀の「きらきら!ぴかぴか!刀だよカッコイイ!!」と明らかに光り方が違う。「…………気を付けて(圧)」て感じ。輝きが静かで重い
あと27㎝は思ったよりでかい。
いや打刀の模造刀と木刀は普通に使うんですけども
真剣も博物館でたくさん見せて頂いてるし展示即売会もお邪魔したし鑑賞会で太刀も持たせて頂いて、何なら試斬会では打刀振り回してる…のに家で見ると短刀でかい。
たぶん脳内で包丁(自宅で使う一番でかい刃物)と比べている
家で練習する時は模造刀使わないもんな…リーチが有り余ってそこら中ぶつかるので
(本丸での審神者と近侍の距離感はまじで一動作でどうとでもなる距離感だと思います。本当に攻守どうにでもできる)

一応お手入れの仕方読み直してから抜いてみたけど、抜いただけで軽くパニックだった。どどどどどどどどどうすればどうもせんわ抜いて拭って塗りなおして戻すんだよ
柄が抜けなかったので刃の油だけ塗りなおして終了。刃文?見てないよ!それどころじゃなかった!!!!!
一時間くらいたってから指に残った丁子油(たぶん)の匂いに気付く。すごくいい匂い
お手入れ動画をいくつか見る。勉強してたつもりだったけど全っ然勉強不足だった。なるほどそこに道具並べとくと慌てなくていいのね…はあ…手つきはそう……なるほど……待ってハバキのとこもう一回…

【4/24昼】

所有者名義変更のはがきを出した。あとカシミヤティッシュを買ってきた
めっちゃ拳叩いてるけど柄はやっぱり抜けない。これ以上叩くとぴょーいしそうで怖いので今日も保留
乾燥してんのかな…鉄と木だから伸び縮みするんだろうな…まあ人間同士でも初対面でぱんつは脱がんしな(納得)まいっか…いいのか?
お昼の光の中で見るとまた違った感じ。肌のごわっとした質感がちょっと見えた…ような気がする…え、肌だよね?ゴミとかつけてないよね!?昨日の今日で!!(ゴミじゃなかった)(良かったあああああ)
油さらさらしている。透明だ…前に買った刃物用の椿油と違うな?たぶん鉱物油に丁子の香りをつけている?
「白鞘 抜けない」で検索。いろいろ方法あるみたいだけどまず待ってみるのが妥当っぽい。アレだったらお店に聞こう

刀剣鑑賞の時、服装とマナーに気をつけろとどこの本にもサイトにも動画にも細かく書かれてるの、てっきり安全面(人間も刀も)の話かなと思ってて、確かにそれもあるけど、刀に気合負けしないようにってのもあるのかな…と思った
アレよ…西洋占星術の用語で言うなら火星を受け止めるのは月じゃなくて金星、みたいな話…(???)

本当は気取らない綺麗なのたれ刃のはず。あまりしっかり見れてないけど

…ところで丁子ことクローブの精油は「油」という字がついているもののオイゲノールを主成分とした揮発性の高い有機化合物であって油脂ではないので、100%精油だと錆止めコーティングにはあまり向いてないだろうし人間の手につくと皮膚刺激作用もあるので、たぶん丁子油と言いつつ丁子油が主ではないというか、成分が薄い?んじゃないかと思うなど……
人間のアロママッサージ用オイルだとホホバオイルなどの基剤に数滴エッセンシャルオイルを加えて希釈して使うけど、御刀さんはそこんとこどうなんでしょう。抽出法が違うのか、何らかの基剤と混ぜてあるのか
(調べた)今は鉱物油+香り付けが多いのか。昔の御刀屋さんどうしてたんだろ。製法とか残してないのかな。脂溶性だし、一旦蒸留抽出しなくても何かの油に漬けとくだけでも香りづけできたりしてないかな。椿油とか
……あれ…?刀に防虫剤は禁忌と聞いたはずだけどオイゲノールは防虫成分だよな。何なら樟脳の成分でもあるのでは?薄いからいいのか?よく考えたら防虫剤ってめっちゃ幅広いが。どれがダメなんだ…?

【4/25昼】

茎は今日も抜けない。結構強めに叩いたつもりだったんだけど…びくともしない……左手痛くなってきたが…湿気があるといいのか?かと言って加湿器に近づけるのもちょっと…まあいいか。無理は良くない。とりあえずお店にどうしたらいいかだけ聞いとこう。
道具ちゃんと並べられるようになったし所作少し慣れてきた…と思う時がいつも危ないんだしっかりしろ。ていうかこんなに毎日油塗りなおして大丈夫なのか…?塗りすぎでは??ハバキのとこ大丈夫???
カーテン越しに日が差す仏間でいつも拝見している。
姿はわりとがっしりしている。というか太い。厚みが…なんかふっくら?している?
かなり目立つ板目&杢目肌のはずだけどやんわりした光に照らされるせいか強そうというより静かで優しい印象。日本画の雲みたいな感じ。夜蛍光灯の下で見るとちょっと変わるかな?ゆるーーーい湾れ刃。

いい匂いだなー、でもぼーっとはしないんですよね刃物だし。リラックスはしてない。緊張感があるかというと…あるな…あるけど…なんか不思議な時間だな…?


追記)1時間くらいしてから猛烈な肩こりに気付く。めっちゃ緊張しとった

自分用メモ
くすりの博物館 身近な生活にある薬用植物 チョウジ~武士のたしなみ
http://www.eisai.co.jp/museum/herb/familiar/choji.html
伝統医薬データベース 丁子
https://dentomed.toyama-wakan.net/ja/%E7%94%9F%E8%96%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%83%85%E5%A0%B1/%E4%B8%81%E5%AD%90/SCC000055
国立国会図書館オンライン
最新工業製造化学 大正7年 73コマ
高山歯科医学院講義録 第2巻 いつ? 207コマ
家にあるやつ

炭素鋼 腐食 検索
防食技術 材料と環境 他 いきなり工学系の専門書がめっちゃ出てきた。分からんが過ぎる。文化財保護とかの分野で調べた方がいいのか?とりあえず置き場所決まったから保留

それはそうと大抵の鍛刀キャンペーンで富士札使うと必ず顕現する弊本丸の加州さんが、特に何のキャンペーンでもないのに連日出てくる。忘れてないよ

【4/26】

平日にくたびれて触るといろいろアレなことになりそうなので今日は触らない。例年どんたくの時期には雨が降るし、今年もやっぱり雨降りそうなので湿度があがったらまたトントンしてみよう

購入前に依頼してた文書複写、順調に進めて頂いてるっぽい~緊急事態宣言出てるのに有難い…でも無理はしないでほしい。ゆっくりでいい。論文とか書く訳じゃないから。趣味だから急いでない。いのちだいじに。まず御刀さんも柄から出ないし()
御刀枕がないので適当なふわふわにティッシュ巻いてるけど、あった方がいいのかな。着物の残り布とかで作ってあげるといいんです?何かいいサイズのやつあったかな
白鞘の材料の朴木、樹皮は漢方薬の厚朴らしい。へえ。あと花言葉が「誠意ある友情」だとの知識を得た。ふふふそっかあ。成立した時代も地域も何もかんも違うはずだけど、いいですね奇遇ですね刀に似合う
あとまな板とか下駄とかにも使うらしい

自分用メモ
図書館に行って見るやつ NDL 金剛兵衛で検索 日本古刀史 郷土刀の系譜


【4/27】

ちょっと曇ってきた!いけるかなどうかな

吉盛さんは途中から豊後に引っ越したらしいので、ひょっとして豊後刀方面から調べた方がいいのかもしれない。大分の博物館でちょっと前に展示会やってたな…図録とかあるかな
あとで調べる

【4/27②】

ぬけたああああああありがとう湿気!!!!ようこそこんにちは吉盛さん!!!!!
まあ今日もお顔見るだけでいいかもねって思いながらトントンしてたらガチャっつってゆるんだ…そうかそんな感じで嵌ってるのか…ハバキって乗ってるだけなんだな(それはそう)…こんにちは…
うおおおおおお字が書いてある(それはそう)えっこれ室町時代の方の署名なんです?本当に?????茎真っ黒だ…(それはそう)
めっちゃ手え震えた……知らんうちに30分くらいたってた……はああああ
惜しむらくは曇り空だったので地金も刃文もぼやっとしか見えなかったこと。二重ハバキかわいい。なかごはぺたーとして粘土みたいだった
ほあああああああどきどきしたあああああ……何かもう今日一日終わりでいいや……

……お写真撮り忘れた……

追記)みちみちに握りしめすぎてせっかくの卒塔婆型部分を見ていないというこの
ところで今日から慶長熊本&鍛刀はんじんさんですね!細川家の豊後刀二振りとも風雅で優美で一筋縄じゃ行かなくて良き。そういや真田家にも金剛兵衛の太刀?が伝わってる?のでしたっけか。
ンフフご縁ですね

【4/28】

図書館から複写の連絡来た!わーいありがとうございます楽しみ!!
大分の美術館と歴博の刀剣展、図録のお通販がない…だと…おおん…そうか…まあいいや何かそれっぽい検索ワードで探してみよ
現地に行けない情勢なのが痛い。しゃあない
御刀さんの取説というかトラブルシューティングがほしい。「写真で覚える日本刀の基礎知識Ⅰ.Ⅱ」は持ってる(すごく助かってる)けど例えばうっかり手切っちゃった時どうするのかとか
人間はふさがると思うんですよ、何故なら刃が鋭い&比較的汚染が少ないので。(せっかくなら研修医先生にお願いしたい。切り口きれいすぎて練習にならないかもだけど)まあその、よっぽど……取れちゃったらアレですね。冷やして持参するしかない(ビニール袋二重にしたやつあらかじめ準備しといた方がいいのかね。いざそうなったらテンパりそうだし……いやそこまでポロってなることまずありえないと思うけど→置いた)
水分塩分油分鉄分を浴びちゃった御刀はどうしたらいいのかと。血まみれの手で手入れしても塗り広げるだけだしツルッて落としそうじゃない…?かと言って救急外来行って帰ってくるまでの間に錆が浮いたら嫌じゃない??
どうしたらいいんやろ。とりあえず手ぐるぐる巻きにして拭って塗りなおして納刀して病院行って戻って落ち着いて手入れしなおし?それともきれいにするまで鞘に入れない方がいい?でも抜き身で置いとくのも心配じゃない???
わからん。とりあえず痛そう

【4/29 雨】

今日はお写真撮ったよ!!

思った以上に緊張してるなあと自覚した。たぶん鞘を払う以前、箱を開ける前からすでに緊張しつつある
礼を尽くすのは負けないためだな。正座して、道具をきちんと並べて、深呼吸して丁子油の香りを感じて、一礼して、気持ちをすとんと丹田に落として初めて落ち着いて鯉口が切れる
他の人は違うかもだし慣れたらまた変わるのかもしれんけど、今の自分にとってはそう
まあ余計なことを考えなくなるので強制マインドフルネスぽさはある(これは道場もだけど)
あ、柄を外す時のグートントンは、左手首から拳までを一直線に固定した上でトン↑ではなくズドン↓がいいっぽい

気合はともかく、お手入れの工数自体は抜いて拭って塗りなおして戻す、なので万年筆や柘植櫛のお手入れとあまり変わらないかなあ。毎日の餌やりと週1回のお掃除が必要なハムちゃんが一番手間ひまかかるキャーカワイイカワイイ
問題は自己主張しないってところだ…ハムちゃんは夕方になるとガタガタ餌くれアピールするし柘植櫛と万年筆は日用品なので使ってるうちに「そろそろ」感をかもし出すけど御刀は自己主張しないしそろそろ感も感じにくいし……いや刀が日用品だったらおおごとだけどな???アピールしてきたらもっとおおごとだ
物静かなサボテンのような感じですね…。サボテンも静かだけど何だかんだ花は咲くし伸びますが、それもなく静かにしている。あとたぶん触ると痛い(痛いでは済まない)
人間が忘れないように工夫しないといけんなーと思う。(人によっては夢に出たりふっと脳裏をよぎって「あ、そろそろ手入れ」てなるそうですが)なんかスケジュール帳にアラームとか入れた方がいいかな
→入れた。とりあえず春分の日と秋分の日

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【4/30】

太宰府天満宮と竈門神社を巡ってきた。金剛兵衛の石碑あったよ!天満宮の宝物殿で金剛兵衛の刀と脇差を見た。ファミリーだ!
……まあ、まず鑑定に出さないと本当にファミリーかわかんないんですが(正確には鑑定自体は受けてるものの内容が古い)。ファミリーだといいねえ

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天満宮は歴代の統治者の崇敬があって、16世紀ごろは大友氏が来られていたと。本拠地は大分あたり。吉盛さんも16世紀ごろぽい?らしいし、大友家の治世下で豊後に移ったのかもしれないなーと思ったりした……キリシタン大名なのに神社と繋がるのはアリなのか…戦国大名難しい…(調べ)あ、宝満山が城になってるからか。戦略上の足掛かりになるのね
あと宝満山近くの「山の図書館」ていうところに大量の山関連書籍(登山ルート・野草や野鳥・歴史・写真など9千冊くらい)があり、宝満山の信仰や歴史の本もあった。新しい情報ってわけではなかったけど「宝満山歴史散歩」に金剛兵衛の記載がちょっとありますね。「宝満山信仰史の研究」の地図によると金剛兵衛一派が使っていた井戸というのがご近所にあったらしいけど…たぶん人ん家のお庭の中…かな…
すぐ近くにお蕎麦屋さんがあった。良いお水使ってそうですね!ちょっとお腹いっぱいだったからまた今度!
ところで太宰府駅からめっちゃ歩いたので\もう頂上だろ/くらいのつもりでおりましたがここ、登山口 だそうで…………

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9合目あたりに金剛兵衛の修行した岩窟があると聞きましたが私さんの豆腐フィジカルをなめないでほしい。死ぬ自信がある(サムズアップ)

あ、あと九博で、大昔は甲冑や刀の錆止めに金漆という素材を使っていたという情報を知った。ただ平安時代までらしい。で、丁子自体は正倉院の宝物にも上がってるものの、丁子油の導入は17世紀とのことで……金漆から丁子油に移行するまでの期間は何を使ってお手入れしてたんだろ?神社とかで漆漬けになった奉納刀が見つかる話は聞いたことあるけど、戦場でも?漆を?刀に?????

山の図書館 http://yamatosyo.starfree.jp/

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