7年も連載中断していたマンガの続きが舞台で行われる話-魔法少女育成計画F2P-
はじめに
本日、オッドエンタテインメント主催の舞台『魔法少女育成計画F2P』が発表された。本作は2016年にTVアニメも放送された宝島社のライトノベル・魔法少女育成計画シリーズのスピンオフコミックを原作とした舞台である。
まほいくシリーズは2016年のTVアニメ1作目終了から2023年に至るまでアニメのセールス失敗に端を発して7年にもわたり辛酸を舐めさせられた作品である。
それらの経緯と歴史は半年ちょい前に弊noteにも執筆したのでそちらを参考にされたし。
こんなん長くて読めねえって人向けに概略のツイートはコレ。
というわけでまほいくシリーズは原作が電子書籍化もされ原作10周年記念事業でパチスロ化や朗読劇やアニメ2期決定されました!めでたしめでたし!!!
……と、一人の遊技機メーカー社長の驚異的な原作への愛で2023年からまほいくシリーズはこれまでの7年間を精算するように前へ歩き出しているのだがその精算に置いていかれていた作品が本作まほいくF2Pである。
そんな本作がこれまでの朗読劇スタイルではなく舞台で演じられることが決まったようなので、興味を持たれたかた向けに魔法少女育成計画F2Pについて軽く紹介しておきたい。重大なネタバレ要素はありません。なにせ未完なのでシリーズのファンですらこの作品の結末を知りません。
ここまで書いたんですが、これを執筆しているのが告知が行われると予告カウントダウンされている10月25日の前日の10月24日木曜日です。もし25日当日に告知されたのが舞台じゃなかったら予想が外れて無駄な序文を書いた形になる可能性があります。その際はこの部分を鼻で笑って読んでください。
まほいくF2Pとは
上にもリンクを貼った自分の過去記事と内容が重なる部分もあるが軽く紹介する。
原作となるコミック・F2Pは宝島社のWEBコミックサイトこのマンガがすごい!WEBにて無料WEB連載された(無料で読めたのでFree to Playの略でF2P)。原作者・遠藤浅蜊先生によって書き下ろされたストーリーを原案とする、シリーズ本編ともリンクする要素のあるスピンオフコミックである。作画担当は柚木涼太先生。TVアニメの放送も近づいた2016年8月に連載が開始された。最初は完全にまほいく本編と独立した新規キャラクターたちの物語から始まり、アニメの放送や原作QUEENSの発売を挟みながら2017年の本編中盤から徐々にシリーズ本編とのリンクが明かされていく構造になっていた。単行本も2巻まで発売された。アニメ/原作1作目に登場した大人気魔法少女ラ・ピュセル/そうちゃんこと岸辺颯太に続くシリーズ史上二人目の男子魔法少女も1話から登場して大活躍。シリーズのファンを楽しませた。
が……2017年10月に第21話の公開を最後に更新が中断される。連載が中断した理由は公式曰く「悪い大人の事情」とのこと。
この段階で少なくとも「ラストまでの原作は完成していた」「22話は完成していた」ことは判明している。その後は2017年12月にLINEマンガで第1話から仕切り直しで連載開始。こちらが21話まで追いついたらこのマンWEBで未掲載状態だった22話以降が掲載される予定だった…のだが、こちらも2018年4月には最新話に届かず更新が停止・翌5月にはLINEマンガから消滅して連載再開の予定は反故にされた。
作画担当の柚木先生も再開を心待ちにしており、今でもまほいく関連のツイートをされているのだが2024年10月現在まで丸7年間も連載再開の兆しはない。
と、上述の通り2022年から始まった魔法少女育成計画10周年イヤー&2023年の朗読劇から始まったプロジェクトrestartの流れの中でF2Pは完全に置いてけぼりにされる形となる。なっていた。
ところが遊技機メーカーの社長は本作F2Pも復活させた。それも舞台で。あらすじをご覧の通り本作は「死をキャンセルする魔法」が重要な鍵を握る作品である。氏は連載中断で7年間死んでいたこの作品を舞台という形で再び復活させた。死をキャンセルする魔法はF市ではなくパチ屋のホールにあったのだ。
舞台版公演概要ページとファンイベントの詳細はこちら↓
https://www.odd-inc.co.jp/stage/mahoikurestart_event/
https://www.odd-inc.co.jp/stage/mahoikurestart_event/f2p.html
ありそうな質問とその答え
Q.観劇するつもりだけど、原作コミックや他の魔法少女育成計画を履修したほうがいい?
A.正直どちらも必要ないです。
このマンガがすごい!WEBの連載ページにて原作コミック第1~2話まで読むことが可能なので触りも触りの部分だけ無料で履修はできます。
シリーズ本編もアニメ1作目を各種サブスク配信で見て死体がゴロゴロ出るようなまほいくの世界観の一端をとりあえず味わうことはできます。
…のですが、まほいくF2Pは本作単体で楽しめるようになっている作品になっているのでいきなり舞台版から見てもまほいくの世界観がコミック同様にちゃんと説明されるものと思われます。
要するに原作本編シリーズは大量に出ていますが、いきなりF2Pを読んでもあまり問題ありません。
Q.我慢できなくて公開されているコミックを2話まで読んだ!中断されたところまで続きを読みたい
A.電子書籍化されていません。紙の本がもう新品で流通していません。ついでに単行本未収録が7話もあります。
序文で本作F2Pを「負の精算から置いていかれた作品」と呼んだ理由はこれです。2019年に宝島社が電子書籍化を解禁してまほいくシリーズも原作小説が全て電子書籍化されましたが、スピンオフコミックであるF2Pは現在(2024年10月24日)に至るまで単行本が電子書籍化されていません。その上で紙の本もすでに絶版であるため中古コミックスを買うしかありません。お値段は中古価格200~300円程度かブックオフとかの店頭では100円コーナーに置かれていることもあるので入手は容易です。ところが2巻までで14話までしか収録されておらず15~21話の7話分は単行本未収録のままです。要するにどれだけ策を弄しても未完で止まった部分まで見る手段がございません。なのであんまり無理して続きを履修しないほうがいいかもしれません。
Q.まほいくシリーズ本編も読みたくなった。F2Pは時系列的に原作のどのへんの話?
A.QUEENSと「黒」の間のお話です
藤氏のツイート抜粋。そして「黒」「白」「赤」の三部作にF2P初出のキャラクターが何名か特に説明もなくF2Pより未来の姿が登場しております。この登場キャラ達はF2Pでの戦いに生き残れたということになるのでその点では黒以降の3作品を読むと未完で結末を原作者以外知らないF2Pの結末の一部を推測できてしまいます。原作本編シリーズを読む際はそこだけご注意ください。
終わりに
というわけで本当に舞台化なのか、本当に未完の作品を終わらせてくれるかも分からないまま舞台化で興味を持った人向けのQ&A記事を書きました。F2Pが7年前に休載してから連載再開フェイント起きた話とかは上に貼った過去の記事を参照ください。