久しぶりに悲しくなった話
2023年4月3日に、空想委員会の三浦隆一さんが逝去されたと、本日公式発表がありました。
享年41歳。
あまりにも若く、早いお別れだと思います。
わたしはその知らせを仕事の昼休憩の時に目にして、あまりの衝撃に理解が追いつかず、お昼ご飯もそこそこに業務に戻りました。
正直、休憩以降退勤までの間のことはあまり覚えていません。
一応これでも役者の端くれのため、なんとか求められているわたしの姿として職務は全うしたはずですが、今度ばかりは絶対の自信がありません。
父親を亡くしてこの方すっかり忘れていた、本当に悲しいという感情に胸中が支配され、半日近く経った今でも茫然自失としています。
それくらい、わたしの中で占める空想委員会の、三浦委員長の存在は大きいものだったのです。
空想委員会は、わたしにとって愛してやまないバンドで、青春そのもので、救いでした。
12歳の時に父を亡くし、そこから先は急いで大人になろうとした弊害なのか、本当に暗く卑屈な性格で過ごした学生時代。
それを変えるきっかけをくれたのが空想委員会でした。
空想委員会を知ったのは本当に笑ってしまうくらい些細なことでした。
たしか、空想と妄想と想像の言葉の違いをインターネットで調べた時に、ネットサーフィンの末たどり着いたのが空想委員会の情報で、初めて歌声を聞いたときに一目惚れならぬ一聞き惚れをしたのがすべての始まりだったはずです。
知ってから沼に落ちるのは早く、初めてお小遣いでCDを買い、リリースイベントに足を運んでサインをもらい、生まれて初めてライブに参戦しました。
色んな音楽を聴き、ライブに行くために色んな場所に足を運び、そこでたくさんの人と出会い話すうちに、わたしの卑屈になった性格は元に戻っていったのだと思っています。
1人でライブに行ったことも多かったけれど、性格が明るくなってきた頃には高校でできた友達とライブに行ったこともあります。
あれは間違いなく青春でした。
卒業アルバムの自由頁で「自分の好きなものと撮る」というコーナーでは、空想委員会のマフラータオルを持って撮ってもらいました。
空想委員会といえば、あなたを思い出すよといってくれる人もいました。
わたしの中での空想委員会は、そのくらいなくてはならないものになっていたのです。
心の底から、この人の音楽を一生聞き続けていこうと思った出来事もありました。
それは、高校3年生のときに行ったリリースイベントでのこと。
その当時受験生だったわたしは受験勉強ですっかり参ってしまい、本当にしんどい日々を過ごしていました。
予備校にも通わず1人で黙々と机に向かい、なんのために勉強しているのかわからなくて辞めたくて、でも大人というものには漠然となりたくなくて。
日々迫り来る卒業というイベントに怯えていました。
そんな時にあったリリースイベントのサイン会。
たしか、受験勉強があるから次のライブは行けないけど、頑張ってくださいみたいなことを軽く伝えたような気がします。
そうしたら、そこまでただニコニコと接してくださっていた委員長の眼差しが徐に真剣なものに変わっていき、
「頑張れとは言わないけど、後悔しないような選択をしてね」
と、そう委員長は仰ったんです。
頑張れという言葉が好きでは無かったわたしにとって委員長のその言葉は、大人から頑張れという言葉無しで初めて送られた、まっすぐであたたかいエールでした。
あれが、本当に本当に嬉しかったんです。
サイン会というあの一瞬でそのメッセージが出てくる委員長の御人柄に対して、なんて素敵なんだろうという思いを抱きました。
この人が生み出す作品をこれからも追い続け、応援し続けようと思った大切なきっかけ。
今でも鮮明に思い出せるのだから、このことはきっと一生忘れることがないのだと思います。
委員長。
7年近く前に何気なく仰ったことかもしれませんが、そのひと言だけを軸にここまで突き進んでくることが出来た人間がここにいます。
今でもどうしたら良いか分からなくなった時はあの言葉を思い出します。
そしてこの先もそうやって、その言葉と空想委員会の音楽と共に生きていくと思います。
きっと周囲の方々、勿論委員長ご自身が一番悲しいし悔しい思いをされているとは思います。
ただの1ファンのわたしですらこんなにも本当に本当に悲しいのですから。
だから何も言わずに静かにご冥福をお祈りすべきだとは思ったのですが、流石にわたしの人生の半分近くを共にしたものがごっそり欠けるとなると1人で抱えるには耐えられず、ここで吐き出させていただきました。
もう委員長の奏でる音楽や歌声に生で触れることは叶わないですが、委員長が、空想委員会が作り上げた数々の作品たちをこれからも愛して、日々後悔の無いように生きていこうと思います。
いつまでもいつまでも大好きです。
これからもCDで委員長の歌声を聴き続けるし、空想委員会の楽曲を愛し続けていきます。
安らかにお休みください。
虹の橋の向こうで、委員長が大好きな音楽を奏で続けられることを心より祈っております。
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