冷たい雨が暖かく感じる瞬間
気温が10℃前後になるとフード付きの洋服が恋しくなります。
こんばんは、ななすけです。
関東では冷たい雨が降り続き、仕事はひと段落したのに気分は朝からどんより。
"秋に降る雨が好きなんだ。気持ちが暖かくなるから"
私の髪の撫で、こう呟く彼のことを思い出す
当時1DKの角部屋に住んでいた私達は背中に雨音を感じながら明け方まで意味もなく起きていた日があった。
彼には色々な悩みがあって、まだ若かった私には支える事も、寄り添う事も出来なかった。ふたりの関係にも幕を引こうとしていた頃、また雨が降った。冬だった。
冬の雨は嫌いなの?
秋に降る雨は冷たいけど、暖かいんだよ。
最後に交わした会話の意味は今でもよく分からない。
秋に降る雨の暖かさも分からない。だけど私は、秋に降る雨が好きになった。
普段よりも強く感じる金木犀の香りを知った。雨上がりの彼岸花に滴る雫の美しさを知った。
最近婚約した女性と犬を飼い、仲睦まじく暮らしている様子を知ることが出来た。彼と出会ったのは19の春、離れ離れになったのは25の冬。互いが互いを沢山傷つけ合うような付き合いだった。
お揃いの記憶は色褪せつつ、懐かしく感じられるようになり、雨の日の彼の言葉を思い出しても胸が痛む事も無くなった。互いの幸せを願えるようにもなった。
あの時出したお互いの選択が間違っていなかったと、今この歳になって気付けたのだ。
今私が抱えている悩みも何年か先になればどれほどの重さだったのか分かるのだろうか。
時間が経たないと計れない重さなど私の肩には乗せたくないと言うのが今を生きる本音。
だけどこの先、いつか秋に降る雨の暖かさを知ることが出来たら今とは違った感情に出会えるのかも知れない。
この先の人生、楽しみ方は自分次第だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?