#妊娠発覚
2022年3月末
生理が遅れていることに気づいた。
月経サイクルが規則正しかったので
5日遅れているということは
「確信」があった。
この時点での妊娠検査薬は
まだフライングで
薄い線があるような、ないような、
という具合だったが、
日に日にその線は濃くなっていった。
うれしかった。
子どもが欲しかった。
愛おしかった。
自分が置かれている状況への不安より
うんと、そんな感情が優った。
わたしは母になった。
自分の目に濃くはっきりと見えたその日、
彼に伝えることにした。
お風呂上がり、テレビを観ながら
アイスを食べ始めた。
検査薬を目の前に差し出し、
「妊娠した」と私は言った。
彼はアイスを食べるのをやめ、
「え?俺の?」
いや、他に誰がいるよ、笑
そして、彼は黙り込み、
アイスはドロドロに溶け、
それ以上なにを言うわけでもなく
静かに眠りについた。
わたしの胸の中だけが高鳴っていた。
ざわついていた。
彼が何を思ったか、
怖くて聞けなかった。
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